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興味と関心 後編

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結婚式はしなくていいと言ったが、
「ケジメだから」と五月が言うので
ガラにもなくウエディングドレスに
身を包んだ。

年齢も年齢だ。

少女漫画ではよく結婚したら
ハッピーエンドになるけれど
実際は結婚が終わりじゃない。

結婚式に対して、
そんなどこか冷めたとこが私にはあった。

「先生。おめでとうございます。」

「おー、ありがとう。」

五月の教え子が、
たくさん式に出席してくれた。

五月と出会った時に言っていた、
40で初婚だったという
友人も来てくれた。

「ゆきちゃん」と彼が呼ぶその人は、
この結婚が心底嬉しいようで、
ずっと酔っ払って泣いていた。

「諭吉さん、大丈夫かよ…」

「うん。でも一葉さんいるし。」

五月の教え子がボソボソ言っている。


「馬村も。来てくれてありがとうな。」

「…別に。コイツに無理矢理連れて来られただけだし。」

「相変わらずだな。お前は。」

友人も教え子も、みんなフレンドリーで、
人付き合いがあまり得意でない私は
ついつい緊張してしまう。

でも一応こういう場なので、
頑張ってコミュニケーションを
とってみたりする。

「五月?教え子さん?」

「ああ、悪い。こいつは馬村。
 何年前になるっけな。
 10年前か。担任してたの。
 そんでこっちも教え子でちゅんちゅん。
 2人夫婦でさ。」

「ちゅ…?へぇ。すごい。同級生で結婚。
 ホントにあるんだ。」

失礼ながらそんなのは漫画の中だけの
フィクションかと思っていた。

でも2人が纏う空気は温かく、
信頼しあっているのがみてとれる。

「いいね…」

思わずボソッとつぶやいていた。

「え…何が?」

五月がちょっと怪訝な顔をした。

「いや、2人の空気が温かい感じだから…
 私こう、無愛想なもんで…」

「ちゅんちゅんも最初は
 相当無愛想だったよなぁ、馬村?」

「…うるせえ。」

どちらかというと、旦那の方が
無愛想に見える。

でも彼女に向ける視線は優しい。

ふと五月のほうを見ると、
五月の視線もまた優しかった。

ずいぶん思い入れのある生徒さんなんだな、
と思っていたけれど、
料理に出てきた寿司に
目の色を輝かせる彼女に、

「ホンットキミは寿司に目がないね。」

と、五月がいう言葉で
ピンときてしまった。

ー寿司柄ネクタイ?ー

だとすると、彼女の旦那だという教え子が、
五月に好戦的なのも口が悪いのも
なんとなくうなずける。

そう言えば、
五月の部屋に鎮座していたあのネクタイは
いつの間にか目にしなくなっていた。

ふと、その場にいたもう1人の教え子が、
「ハハッ、先生のお嫁さんと与謝野、
 なんか雰囲気似てんな。」
と言った。

「えっ、どっ、どこが?」

与謝野と呼ばれた彼女は、
困った風で、でも顔の造作は違えど
言葉のテンポみたいなものが
確かに似ている気がした。

「似てないよ。」

五月が間髪入れずに真顔で答える。

でもすぐに笑って、
「うちの奥さんはちゅんちゅんほど
 食い意地張ってないからなー。」
と返していた。

ドッと笑いが起こり、
似てると言った子は
「そういうのじゃなくてさー。」
と、不本意そうである。

式が終わり、式場となったホテルの一室にもどる。

今日はここで1泊だ。

作品名:興味と関心 後編 作家名:りんりん