興味と関心 後編
「はぁ、懐かしい顔に会えたけど
やっぱり疲れたな。」
「…無理に笑うから。」
「え?!」
五月はたぶんほうっておくと
ずっと無愛想だ。
下手すれば私よりも。
でも長い間培った処世術だろうか、
ヘラヘラと笑ってその場を過ごすのが
癖になっているらしい。
「無理してたつもりはないけど…
さすがだね。」
「別に。変にテンション高かったから。」
「そりゃ結婚式だから。
無愛想にしとくわけにいかないでショ。」
それもそうだ。
「気遣ってモヤモヤするのも嫌だから聞くけど、
あのちゅんちゅんと呼んでた彼女が
寿司柄ネクタイの子?」
「っ……」
やっぱり。
五月はどう説明したもんだかと困っていた。
「別に責めてるわけじゃ。
似てるって言ってたか…」
「似てない!」
かぶせ気味に五月が私の言葉を遮る。
「それはない。本当に。」
「わかってるよ。」
わかってるなんてウソだ。
何かを聞こうとしたんだ、私は。
似てるから好きになったの?
って。
でも違うのだろう。
「違うんだ。ホントに。
一緒にいて俺が素でいても
カッコ悪くてもいいと思えるのは
キミだけだから…」
「…知ってる。」
うん、知ってる。
彼女の前では、普段通りを
「装って」いたから。
「でも意識はしてたでしょ?」
「それは…まぁ。
…怒ってます?」
「?なんで?」
「なんでって…じゃあ
有紀子こそなんでそんなこと聞いてきたの?」
「……なんでだろ?」
「わかった。別に隠すことなんか何もないし、
聞きたいこと全部聞いて。
スッキリさせてからスタートしよう。」
「どんな気分?」
「何が?」
「彼女が結婚式に来てくれて。」
「…やっとケリついたなぁって。」
「ケリ?」