興味と関心 後編
ガバァッと抱き抱えられた。
「ひゃあ!」
こっ、これはいわゆる姫抱っこ!!
恥ずかしすぎる////
「やっ、降ろして!歩けるってば!」
「バッ、暴れんな。今日ぐらいいーでしょ?」
この人は...根っから天然タラシだなと思った。
「~~~////今日だけよ。」
私は少し睨みつけた。
「ん。」
ふわっと五月が笑ってまたキスをした。
自分はこういうのを提供するだけで
無縁だと思っていたのに。
溶けそうだ。
これから先のことはわからない。
でも今この人と居て幸せなのは確かで、
きっとこの人がいないとダメなのは私も同じだ。
そう思ったら涙が流れた。
「珍しいな。泣くなんて。」
「私、今日、生まれて初めて
女でよかったと思ったかもしれない...」
「ええっ?」
ビックリした顔で五月が私の顔を見た。
「それは俺のせい?」
「他に誰がいるというの...」
またギュウウッと強く抱きしめられた。
「嬉しすぎて壊しそう...」
「はっ?」
「覚悟してね。」
その夜は本当に何度も何度も愛し合い、
裸のまま朝まで抱き合って寝た。
五月が目覚めて笑う。
いつも人にする適当な笑いじゃなく、
本当に満たされた笑みを。
「っ...」
「?どうかした?」
五月がハッとして顔を赤くした。
「いや...あんま笑わない有紀子が
あんまり可愛く笑うので...照れたんです。」
「はっ?////」
今? 私、笑ってた?
「五月につられたんです。」
「...可愛い。」
「はぁ??」
甘い!甘い甘い甘い!
「や、やめる!」
「えっ?」
「結婚やめる!」
「はっ?今更何言ってんの?」
「だってこんなの人間ダメになる!」
「何言って...」
顔が熱い。普通の顔が保てない。
「...照れてんの?」
「えっ、やっ、見ないで!」
顔を腕で隠すが、
細いのに意外に力のある五月に
簡単に腕を取られてしまう。
「ブー。もう手遅れです。
俺はもうキミのものなので。
どんだけ甘いことも言ってみせるよ。」
「ダメ!仕事にならなくなるから!」
「今日休みじゃん。マジ可愛い。」
ああ、もう、自分の輪郭は溶けてなくなってるんじゃないだろうか。
「あの...」
「ん?」
「立てなくなりました...」
ガクガクして、溶けて、くだけてる。
起き上がれない。
「いいよ。今日はずっと俺とこうして寝てれば?」
「ええっ?///」
再び五月が優しくキスを落とす。
「カワイイ」「好き」「愛してる」
「キミじゃなきゃダメなんだ」
「ずっと一緒にいて。」
言葉と一緒にひとつ、またひとつと
キスが降る。
漫画家さんと打ち合わせしてて
ヒーローから出た吹き出しのセリフを、
音声で聞いたカンジだった。
これはでも現実なんだ。
私に向けられた言葉だ。
ヒロインはこんな気持ちになるんだ。
満たされた何かに溺れてしまいそうだ。
そりゃハッピーエンドだわ。