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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第1話

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____ここはどこだろう。




1日目 00時01分 -ロト-



・・・目が覚めると、俺は知らない場所にいた。
手に武器はない。
目の前に広がっているのは・・・

ロト「・・・・・・!?」

・・・死体?
何人もの人間が無残に横たわっている。だが自分だけはしっかりと立っている、まるで倒れたまま動かないそいつらに囲まれているみたいに・・・・・・・

ロト「・・・な・・・・・んだ、これ」

体が麻痺しているのかうまく動かない。頭もぼやけている。

何だ。何なんだ、これ。
誰なんだよ、こいつら。俺はなんでこんなとこにいるんだよ。
何で体が動かないんだよ、こいつら死んでんのかよ何なんだよ、誰か・・・

「・・・う・・・」

ロト「!!」

少し遠くにうつ伏せて倒れていた男が呻いて、身じろぎをした。
やがて顔を上げ、目を見開く。

「・・・・え?」

ロト「おい、お前!」

俺が呼びかけると、そいつはキョトンとした顔で俺のほうを見た。
短い茶髪に赤いバンダナをした、・・・少年と呼ぶには逞しく、青年と呼ぶにはまだ幼さの残る男だった。

ロト「・・・お前、動けるのか?」

「え・・・、あ、はい」

ロト「じゃあちょっとさ、手ぇ貸してくれないか。動けないんだ」

とりあえず俺はそいつが何者なのか知ることより、自分の体の異常を直したくてそう言った。
金縛りみたいなものなら、これで動けるはずだ。

するとそいつは不思議そうな顔をして、俺の足から頭までを往復2回ほど眺めたあと、無言で歩み寄ってきた。
そして手を差し出しながら口を開いた。

「・・・・・・あの、なんなんですか、ここ」

ロト「・・・俺が聞きてえよ・・・」

思った通り、他人に触れられることで俺の金縛り・・・らしきものは簡単に解けた。
ふうっと息を吐くと、痺れて麻痺していた体に少しずつ感覚が戻ってくるのがわかった。

「・・・あなたは、何者なんです?」

ちょうど俺が聞こうとしていたことを向こうが訪ねてきたので、素直に答えてやることにした。

ロト「俺はロト。・・・勇者だ。お前は?」

「僕はエイトと言います。えっと・・・ある城で兵士をしていました」

ロト「へえ。・・・あのさ、俺お前に会ったことあるっけ?」

エイト「さあ・・・僕は覚えてませんけど」

そこで俺たちの会話は止まった。
その理由は単純明快、2人とも同じだ。


奥に倒れていた少年が、ゲホゲホと咳き込みながら起き上がったからだ。

エイト「・・・・・・・・。・・・あの、大丈夫ですか?」

「うぅ・・・あ、れ?・・・ここ、どこ・・・・・?」

ロト「・・・俺たちにもさっぱりわかんねえんだ、それが」

エイトが歩み寄り、少年が起き上がるのを手伝ってやる。
俺も言いながら歩み寄っていく。

「・・・・・だ、誰?」

エイト「大丈夫です、危害は加えません。・・・僕はエイト、この人はロトさんです。多分、僕たちは」

エイトは周りを横目で見ながら言った。

エイト「みんな同じ境遇でしょう」



_________倒れているのはあと・・・・・9人。



全員が目覚めるまで、あと23分38秒。





━─━─第一話  Awakening





1日目 00時27分 ―ロト―


「・・・・・・・どうだ、立てるか?」

「・・・・・・・・・。」



俺は少し離れたところでその2人を見守っていた。
苦しげな表情で立ち上がろうとしているのは、深い緑色の髪を肩まで下ろし、金色で青い宝石をあしらった兜――どちらかというと装飾品のようだが――を装備した青年。

彼に手を貸し手助けしているのは、青い髪を立たせハデな色合いの服を着た青年・・・二人共俺と同じくらいの歳に見えた。

二人が俺の視線に気付き、青い髪のほうが声をかけてきた。

「・・・なあちょっと、そこのあんた!万能薬かなんか持ってないか?こいつさあ、なんか具合悪いみたいなんだ」

ロト「・・・悪いが生憎何も持ってないよ。誰ひとり何も持っちゃいない、たぶん俺たちが気絶してる間に誰かが奪ったんだ」

「マジかよ?・・・あ、そう言やオレの剣がねえ!」

ロト「武器も何もかも、袋まできれいさっぱりなくなってるぜ。・・・言っとくが、俺はお前たちと同じ立場の人間だからな」

そんなことを話していると、エイトが駆け寄ってきて言った。

エイト「・・・ロトさん、これで全員です」

ロト「ああ」




・・・見れば12人、誰もが不安そうに辺りを見回したり何か道具がないか探したり、落ち着かない様子だ。
無理もない、いきなり気がついたらこんな状況なんだ。
俺だって未だにわけがわからない。


俺が目覚めてからどれくらい経ってるんだろうか。まあそんなにたいした時間ではなさそうだが、俺にはなんだかとてつもなく長く感じた。

エイト「・・・あの、皆さん。こんな状況で混乱しているかも知れませんが、一応自己紹介ぐらいはしておきませんか?これから何があるのかまったく見当がつきませんし・・・」

そう言ったエイトの言葉は、突然吹いた強風にかき消された。
ゴオッっと暗闇の中を竜巻のように円を描きながら、散らばった俺たち12人の中心で大きくなっていく。

エイト「な・・・・」

そしてそれが止むとそこには、とてつもなく大きな――人の頭の5倍はある――目玉があった。

「!?」

「っ・・・・・!?」

誰もが驚きを隠せない中、赤く充血した不気味なソレは声と思しきものを発した。




『・・・・・ヤア、勇者タチ。ゲームヲシヨウ。今カラオ前タチニハ、殺シ合イヲシテモラウ』



俺は背中がぞわりと冷たくなるのを感じた。
地の底から湧き上がり腹に響き渡るような、気味の悪い・・・とても人の声とは思えない。
当然、こんなモノが人だと思えるはずもなかったが。

全員が凍りつく。目玉は淡々と話しだした。

『ココハ外ノ世界ヨリ完全ニ遮断サレタ隔離世界ダ。ココデ起キタコトハスベテ幻ダト思ッテクレテ構ワナイ。ダガヒトツダケ、外ノ世界ニ反映サレルモノガアル。ソレハ、死ダ』

・・・今こいつ、何つった・・・死・・・・・・・?

『全員デ殺シ合イ、最後ニ残ッタヒトリダケガ栄光ヲ掴ムノダ。ダガオ前タチハ、ソレゾレ別ノ世界ヨリ集メラレタ英雄。ソレ以外ノ方法ヲトロウトスルコトモアルダロウ』

・・・・・・こいつ・・・何言ってんだ?さっきから・・・殺し合い・・・・・・!?

『タイムリミットハ30日。最後ノヒトリニナッタ時点デゲーム終了ダガ、逆ニ30日経過シテモ生存者ガ2人以上ダッタ場合、誰モ元ノ世界ニ還ルコトハデキナイ』

・・・誰も何も言わない。・・・・・・否、言えない・・・。

『ダガ、コレデハヒドク一方的ナゲームニナッテシマウ。ソコデ、オ前タチ全員ガ無事ニ元ノ世界ヘ還ルコトノデキル方法モ用意シタ』


ロト「・・・っ!」

突然、左手首の甲に焼けるような痛みが走った。
手袋を取って見るとそこには、青白い光を放つ「23.2」という数字がくっきりと浮かび上がっていた。

どうやら他の奴らにも同じことが起きているようで、全員が自分の左手首の甲を見ていた。