ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第2話
1日目 02時24分 ―ロト―
・・・・・・・・・・そうか。
そういうことだったのか・・・・・・・・・・・・・・・。
俺が声をかけたのは、・・・俺の遠い子孫たちだったのだ。
彼らの話を聞くと俺は、世界を救ったあとアレフガルドから忽然と姿を消したらしい。
・・・どうもその辺の記憶が曖昧だ。
よく覚えていない。
俺は結局、あれからもとの世界に帰れたのか?
・・・・・いや・・・もしかすると時間の感覚がおかしくなっているだけで、俺はついさっきまでアレフガルドにいたのかもしれない。
そしてこのゲームに呼び出されたがために、突然姿を消した・・・
むしろ、そう考えたほうが自然な気さえしてくる。
「・・・おーい、えっとなんだ・・・トロさん?」
・・・この声は。
レック「あー間違えた、ロトだっけ。あのさ、そろそろ動き出したほうがいいんじゃねえの?」
レックの軽い口調に、サマルたちの顔が少し強ばる。
俺はあわてて子孫たちに言った。
ロト「ああいや、怒らないでやってくれ。彼は悪い人間じゃない」
アレン「で・・・でも、ロト様を呼び捨てに」
ロト「構わないさ。俺はそんな様づけで呼ばれるほど立派な人間じゃない・・・君たちの話を聞いてると、未来の世界ではだいぶ美化されて伝えられてるみたいだしな。好きなように呼んでくれて構わないよ」
レック「なあ、知り合い?」
ロト「ああ、俺の遠い子孫たちさ。俺も今知ったけどな」
レック「へーえ!子孫って・・・ふーん、言われてみりゃあ顔もなんとなく面影あるような気もしてきたぜ」
サマル「えっ、ほんと!?ぼくロト様に似てる!?!?」
ムーン「うーん・・・私はどっちかと言うとアレンのほうが似ているような気がしますわ」
アレン「本当かムーン!!」
3人はまたさっきまでのようにはしゃぎ出した。
彼らは一緒に旅をして共に戦い、3人で世界を救ったのだという。
それぞれ俺の子孫の血を引く国の王子と王女で、俺がその昔大魔王ゾーマを打ち破った話は、勇者ロト伝説となって彼らの世界に伝えられているらしい。
・・・すると、向こうから一人の青年が歩み寄ってきた。
レック「・・・・あ、エックス!なんかあったか?」
「いや、あの人がそこにいる人と話したいらしくてさ」
ロト「君は・・・」
「あ、さっきレックが言ってた人か。ロトさんだっけ?俺はエックス、よろしくな」
ロト「・・・ああ」
手を差し出され、握手を交わす。
エックスは焦げ茶色の髪を頭の中央より少し右寄りで分けた特徴的な髪型をしていて、服装もなんだか変わった感じだ。
ほんの少し茶色がかった健康的な肌の色もあり、どこかの民族のように見えなくもない。
レックと同じく明るそうな、元気そうな青年だった。
エックス「あの金髪の人。ロトさんと話したいんだってさ」
ロト「ん?」
彼が目で示すほうを見ると、緑髪の青年・・・ソロと何か話をしている、金髪を立たせ赤い服を着た青年がいた。
なんだか緊張しているような、そんなふうに見えた。
エックス「おーい、ソロ!」
エックスが2人に向かって手を振る。
ソロがエックスの声に気付き、金髪の青年と共にこちらに駆け寄ってくる。
エックス「この人はロトさん。俺はエックス、んでこっちがレックな」
「・・・ああ・・・やはり、やはりロト様・・・・!!」
ロト「・・・え」
金髪の青年は俺の姿と名前を確認するなりひざまずき、俺の手を取って・・・なんだかすごく嬉しそうに話しだした。
「ああ、感無量でございます・・・!このアレフ、これほどの緊張と喜びを味わったのは初めてです!
あなた様の姿をこの目に映すことが出来ようとは夢にも・・・・!!」
ロト「? ???」
涙まで流しながら、アレフと名乗った青年は俺の手をがっちり掴んで話し続けている。
俺は周りに目で助けを求めたが、レックたちもサマルたちも何も言えない。
ソロに至ってはかなり引き気味である。
俺はとりあえず、その青年の話を聞いてみることにした。
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ロト「・・・・・・・・・・・・・・なるほど。つまり君は俺の子孫であり、サマルたちの先祖でもあると言うことか」
アレフ「はい。私はこれまで、伝説の勇者ロト様の子孫であることを誇り、自らの力とし、旅をして参りました。
叶わぬ願いとは知りながらも、たった一度だけでもお会いできたらと・・・・どれほど・・・・・!」
ムーン「ロト様、私たちも・・・アレフ様と同じ思いでしたのよ。
私たちにとってあなた様の存在は勇者の証であり、強さと不屈の精神の象徴なのですわ」
アレン「その通りです!俺たちはあなたがいたからこそ、世界を救うことができた・・・」
サマル「本当に会えるなんて、夢みたいだ・・・!!」
子孫たちは俺に会えたのが嬉しくて仕方ないようで、俺をまるで神のように崇め讃えている。
別に嫌な気持ちはしないが、ここまで持ち上げられるとちょっと恥ずかしい。
レック「はは、人気者だなあロトは!羨ましいぜ」
エックス「よっぽど会えたのが嬉しいんだな・・・」
ロト「いや・・・その、俺は・・・」
エイト「・・・あのー?」
ロト「! エイト!」
エイト「そろそろ移動をしようかと・・・今取り込み中ですか?」
ロト「あー・・・」
・・・・・どうしようか・・・・・・。
レック「そうだなあ、もう1時間くらいはここにいるような気がするぜ」
ソロ「時間は限られてる・・・できれば急いだほうがいいかもしれないな」
俺はなんとか子孫たちに落ち着いてもらい、レックたちと共に他の勇者が集まっているところへ向かった。
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___
俺たちは崖を降り、血に染まった草原をかき分けて進んでいく。
話すうちに、他の勇者たちとも徐々に打ち解けていった。
「それにしても気味の悪いところだよね・・・なんだろうこれ、血?」
植物の葉に付いた赤い液体を見ながら、緑色の頭巾をかぶった少年が言った。
彼はアルス。
フィッシュベルという漁村で育ち、好奇心から旅を始め結果的に世界を救うこととなったらしいが、自分がこのゲームに呼ばれた理由はよくわからないのだと言う。
「モンスターはいないみたいですね・・・でも、この空気を吸ってるだけで体力が奪われてるような気がします・・・」
アルスの横で不安そうな顔をしながらつぶやいたのは、元天使のナイン。
襞がついたケープのような不思議な服を着た彼。かつてはとある村の守護天使だったらしいが、ある事をきっかけに人間となり、選ばれた戦士として世界を救った・・・いわば勇者としては特例だ。
そしてレックやソロと話している、紫色のマントとターバンをした長髪の青年はアベル。
グランバニアという国の現国王であり、同時に天空の勇者の父親でもあるというが・・・とてもじゃないが子供がいるようには見えない。
・・・・・・・・・・そうか。
そういうことだったのか・・・・・・・・・・・・・・・。
俺が声をかけたのは、・・・俺の遠い子孫たちだったのだ。
彼らの話を聞くと俺は、世界を救ったあとアレフガルドから忽然と姿を消したらしい。
・・・どうもその辺の記憶が曖昧だ。
よく覚えていない。
俺は結局、あれからもとの世界に帰れたのか?
・・・・・いや・・・もしかすると時間の感覚がおかしくなっているだけで、俺はついさっきまでアレフガルドにいたのかもしれない。
そしてこのゲームに呼び出されたがために、突然姿を消した・・・
むしろ、そう考えたほうが自然な気さえしてくる。
「・・・おーい、えっとなんだ・・・トロさん?」
・・・この声は。
レック「あー間違えた、ロトだっけ。あのさ、そろそろ動き出したほうがいいんじゃねえの?」
レックの軽い口調に、サマルたちの顔が少し強ばる。
俺はあわてて子孫たちに言った。
ロト「ああいや、怒らないでやってくれ。彼は悪い人間じゃない」
アレン「で・・・でも、ロト様を呼び捨てに」
ロト「構わないさ。俺はそんな様づけで呼ばれるほど立派な人間じゃない・・・君たちの話を聞いてると、未来の世界ではだいぶ美化されて伝えられてるみたいだしな。好きなように呼んでくれて構わないよ」
レック「なあ、知り合い?」
ロト「ああ、俺の遠い子孫たちさ。俺も今知ったけどな」
レック「へーえ!子孫って・・・ふーん、言われてみりゃあ顔もなんとなく面影あるような気もしてきたぜ」
サマル「えっ、ほんと!?ぼくロト様に似てる!?!?」
ムーン「うーん・・・私はどっちかと言うとアレンのほうが似ているような気がしますわ」
アレン「本当かムーン!!」
3人はまたさっきまでのようにはしゃぎ出した。
彼らは一緒に旅をして共に戦い、3人で世界を救ったのだという。
それぞれ俺の子孫の血を引く国の王子と王女で、俺がその昔大魔王ゾーマを打ち破った話は、勇者ロト伝説となって彼らの世界に伝えられているらしい。
・・・すると、向こうから一人の青年が歩み寄ってきた。
レック「・・・・あ、エックス!なんかあったか?」
「いや、あの人がそこにいる人と話したいらしくてさ」
ロト「君は・・・」
「あ、さっきレックが言ってた人か。ロトさんだっけ?俺はエックス、よろしくな」
ロト「・・・ああ」
手を差し出され、握手を交わす。
エックスは焦げ茶色の髪を頭の中央より少し右寄りで分けた特徴的な髪型をしていて、服装もなんだか変わった感じだ。
ほんの少し茶色がかった健康的な肌の色もあり、どこかの民族のように見えなくもない。
レックと同じく明るそうな、元気そうな青年だった。
エックス「あの金髪の人。ロトさんと話したいんだってさ」
ロト「ん?」
彼が目で示すほうを見ると、緑髪の青年・・・ソロと何か話をしている、金髪を立たせ赤い服を着た青年がいた。
なんだか緊張しているような、そんなふうに見えた。
エックス「おーい、ソロ!」
エックスが2人に向かって手を振る。
ソロがエックスの声に気付き、金髪の青年と共にこちらに駆け寄ってくる。
エックス「この人はロトさん。俺はエックス、んでこっちがレックな」
「・・・ああ・・・やはり、やはりロト様・・・・!!」
ロト「・・・え」
金髪の青年は俺の姿と名前を確認するなりひざまずき、俺の手を取って・・・なんだかすごく嬉しそうに話しだした。
「ああ、感無量でございます・・・!このアレフ、これほどの緊張と喜びを味わったのは初めてです!
あなた様の姿をこの目に映すことが出来ようとは夢にも・・・・!!」
ロト「? ???」
涙まで流しながら、アレフと名乗った青年は俺の手をがっちり掴んで話し続けている。
俺は周りに目で助けを求めたが、レックたちもサマルたちも何も言えない。
ソロに至ってはかなり引き気味である。
俺はとりあえず、その青年の話を聞いてみることにした。
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ロト「・・・・・・・・・・・・・・なるほど。つまり君は俺の子孫であり、サマルたちの先祖でもあると言うことか」
アレフ「はい。私はこれまで、伝説の勇者ロト様の子孫であることを誇り、自らの力とし、旅をして参りました。
叶わぬ願いとは知りながらも、たった一度だけでもお会いできたらと・・・・どれほど・・・・・!」
ムーン「ロト様、私たちも・・・アレフ様と同じ思いでしたのよ。
私たちにとってあなた様の存在は勇者の証であり、強さと不屈の精神の象徴なのですわ」
アレン「その通りです!俺たちはあなたがいたからこそ、世界を救うことができた・・・」
サマル「本当に会えるなんて、夢みたいだ・・・!!」
子孫たちは俺に会えたのが嬉しくて仕方ないようで、俺をまるで神のように崇め讃えている。
別に嫌な気持ちはしないが、ここまで持ち上げられるとちょっと恥ずかしい。
レック「はは、人気者だなあロトは!羨ましいぜ」
エックス「よっぽど会えたのが嬉しいんだな・・・」
ロト「いや・・・その、俺は・・・」
エイト「・・・あのー?」
ロト「! エイト!」
エイト「そろそろ移動をしようかと・・・今取り込み中ですか?」
ロト「あー・・・」
・・・・・どうしようか・・・・・・。
レック「そうだなあ、もう1時間くらいはここにいるような気がするぜ」
ソロ「時間は限られてる・・・できれば急いだほうがいいかもしれないな」
俺はなんとか子孫たちに落ち着いてもらい、レックたちと共に他の勇者が集まっているところへ向かった。
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俺たちは崖を降り、血に染まった草原をかき分けて進んでいく。
話すうちに、他の勇者たちとも徐々に打ち解けていった。
「それにしても気味の悪いところだよね・・・なんだろうこれ、血?」
植物の葉に付いた赤い液体を見ながら、緑色の頭巾をかぶった少年が言った。
彼はアルス。
フィッシュベルという漁村で育ち、好奇心から旅を始め結果的に世界を救うこととなったらしいが、自分がこのゲームに呼ばれた理由はよくわからないのだと言う。
「モンスターはいないみたいですね・・・でも、この空気を吸ってるだけで体力が奪われてるような気がします・・・」
アルスの横で不安そうな顔をしながらつぶやいたのは、元天使のナイン。
襞がついたケープのような不思議な服を着た彼。かつてはとある村の守護天使だったらしいが、ある事をきっかけに人間となり、選ばれた戦士として世界を救った・・・いわば勇者としては特例だ。
そしてレックやソロと話している、紫色のマントとターバンをした長髪の青年はアベル。
グランバニアという国の現国王であり、同時に天空の勇者の父親でもあるというが・・・とてもじゃないが子供がいるようには見えない。