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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第2話

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何でも、長い間ある邪教団体の奴隷として成長期を過ごした上、呪いによって8年間石化するという不幸に見舞われ・・・本来の年齢よりもだいぶ若い体を持っているのだそうだ。

サマルやアレンたちと一緒にいる金髪の青年アレフは、生まれてから世界を救うまで「勇者」として魔王討伐だけを目標に生きてきた、生まれきっての英雄だ。
独特の価値観を持っていて、ラダトーム城の王に拾われた孤児だったせいで親の顔も名前も一切知らないのだと言う。

レックは話を聞くと、「聞いてくれるか!?」ととても嬉しそうに話し始めた。
夢の世界を旅して回ったこと、自分は現実には無い存在だったこと・・・だが、現実世界の自分と融合して旅を続け、大魔王を倒すまでに至ったこと。
レックは話がとても上手で、聞いているとその風景が自然と頭に浮かんでくる。
話し方や言葉遣いは丁寧なほうではないが、聞いていて不快になるような粗雑な言葉は使わない。
とても楽しげで、無邪気といっても良いくらいの明るさを持った青年だった。

エイトは華奢な体とやや高めな声のせいか、年齢よりも幼く見える。
落ち着いた感じで、人の良さそうな・・・どこか安心するような笑顔をする。
王宮近衛兵の一員だったが、ある事件をきっかけに世界を旅することになり・・・やはり最終的には世界を救うこととなったらしい。

エックスはレックとウマが合うようで、ソロと3人でよく話している。
エックスが冒険をした「アストルティア」と呼ばれる世界では人間の他に、オーガ、ウェディ、エルフ、ドワーフ、プクリポという5つの種族が存在し、それぞれが自由に世界を旅して回っているのだという。俺たちから見ればなんとも不思議な世界だ。

・・・気になるのはソロの過去だ。
勇者になるまでは何も知らずに育った村の少年で、仲間とともに旅をし大魔王を打ち破ったということ以外は話したがらない。
・・・・・・・何かあったんだろうか。
まあ話したくないというのなら無理に聞き出すこともないだろう。

こうして俺たちは互いのことを話し合い、意気投合していった。


・・・俺は安堵していた。
みんな世界を救っただけあって、落ち着いている。自分の願いを押し通そうとする様子は見られない。
・・・・・・・そもそも武器を奪われているのだから、戦おうにも・・・いや、魔法や素手で殺すということも不可能ではないが・・・。
とにかく、みんな好戦的ではなかったので安心した。


俺たちは今、この世界の端にある小さな屋敷に向かっている。


━─━─第二話   Victim


アルス「ふー、ここは綺麗にしてあるんだね」

レック「すぅ・・・はぁ・・・。あー、無臭っていいな・・・」

エイト「なんだか体が軽くなったような気がしますね」


門をくぐれば、そこには周りの血だらけの世界とは対照的な庭があった。
澄んだ水をたたえた池、整えられた植木や芝生。
隅のほうには、小さな花まで咲いている。

そしてその奥に佇む、西洋風の小さな屋敷。
まるで俺たちを誘うように、玄関扉が開いていた。

ここの空気は血のような生臭い匂いがすることもなく、むしろ肺にたまった嫌な空気を洗い流してくれそうな気さえした。

アレン「入れ・・・ってか」

アベル「おそらくね。中は暗くてよく見えないけど」

ロト「・・・罠ってことは?」

エックス「えー?そんな開始早々・・・勘弁してくれよ」

ソロ「いや、それはないと思う。ここは多分安全だ」

レック「なんでそんなことわかるんだ?」

ソロ「外の空気があれじゃあ、俺たちは弱ってしまう。そのうちゲームに乗るつもりだった奴も、そのせいで戦意喪失してしまうということも有り得るだろう。相手側が俺たちに殺し合いをさせて得るメリットが何にせよ、それじゃあ相手側の目的が達成されない。こういう休める場所は、何をさせるにしても必要だ。だからきっとここは安全なんだ・・・他に露骨な安全地帯がない限りはな」

・・・なるほど。
言われてから考えると実に簡単な答えだ。
これぐらい、少し頭を使えばわかったことだろうに・・・・・・・・。
俺は自分で思っているよりもだいぶ、気が動転しているのかも知れない。
周りを見るとみんなそれぞれに、不思議そうな表情をしている。
きっと俺と同じようなことを思っているんだろう。
・・・無理もないことだ、いきなり何の予告もなしにこんな状況になっているのだから。

それに比べて、ソロは実に冷静だ。
今までも何度か思ったが、あの巨大な目玉が現れたときも怪訝そうな目をしただけで眉一つ動かさなかった。
現に今、誰も気づかなかった「当たり前」を易々と見抜いてみせた。
・・・彼の冷静さは今後きっと必要になってくることだろう。
そしてできれば、敵には回したくないものだ。



1日目 03時15分 ―レック―

ソロのやつ、なんか表情が薄いというか・・・何があっても動じないような感じの雰囲気はあったけど、けっこう頭良いんだなぁ。
あいつにはこれから頼ることがいっぱいありそうだぜ。

オレたちはソロの意見を信じて、その屋敷に入ってみることにした。


中は想像よりずっと広かった。
綺麗だし、設備も整っている。

アルス「・・・わぁ、なんかすごいね」

サマル「あっ、見てみて!あそこ何か置いてあるよ」

レック「ん?」

見ると、広間の奥に小さな三脚のテーブルのようなものがぽつんと、扉の前に設置されている。
その上には何やら、封筒と・・・鍵と思しき物が置いてあった。

アレフ「何でしょうね・・・」

エックス「行ってみるか?」


エックスとオレ、それからサマル、アレフの4人でそれに近づいていく。
近くで見るとそれは、おそらくこの目の前にある扉のものだと思われる鍵と・・・
これまた血のような、どす黒い赤色の焼印が押された気味の悪い手紙。

サマル「・・・何だろ」

サマルがまず鍵を手に取る。
オレは手紙を少し眺めたあと、エックスにいるか?と視線を送る。
エックスは首を横に振り、隣にいるアレフに目をやる。オレもアレフを見る。
・・・アレフは仕方ないなぁ、と言いたげにため息をつき、手紙を手に取った。


エックス「おーい、みんな!」

オレたちは戻り、みんなに手紙と鍵を見せた。

ナイン「これは・・・どこの鍵なんでしょうか」

レック「たぶんあそこの扉じゃねえかな。わかんねえけど」

エイト「その手紙は?」

アレフ「まだ読んでいないので・・・。開けてみましょうか」

アレフが焼印を剥がし、封筒を開けて中から手紙を取り出す。
オレたちの目は自然と、アレフの手元に向けられた。

手紙は3枚入っていて、どれにもずらりと細かい字が並んでいる。
だがその文脈から3枚で一連の文章なのだということがわかった。

・・・アレフが手紙を読み上げ始める。

アレフ「・・・『皆様がこの屋敷に到着されたということは、只今より第一のゲームが本格的に始まることとなるのでしょう。
第一のゲームにおける皆様の勝利条件は、実に単純かつ複雑なものとなっております。皆様がこの第一のゲームをクリアし、次のステージへ進むことができる条件・・・
それは、この血染めの庭からの脱出。