ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第4話
レック「え!ああいや。・・・なんか今のフレーズ聞き覚えあるような気がしてたもんで」
『・・・ああ、注意書きか?俺のところにも来たぜ。やっぱり、この世界には俺たち以外の誰かがいるみたいだ』
レック「まぁそうなんだろうけど・・・っつか、お前昨日と言ってること違くないか?」
『何が?』
レック「だから、昨日はオレたち以外ここには誰もいないって断言してたじゃんか」
『・・・・・あぁ、そう言えばそうだったな』
レック『ちょ・・・』
『それより、鍵が必要なんだろ?・・・ああ面倒だ』
レック「・・?」
『これからまた屋敷に戻らなくちゃいけないのか』
レック『・・・・・・・なんでだ?』
『なんでって、鍵を取りに』
レック「なんで嘘、つくんだよ?」
『っ・・・!?』
ソロは詰まったような声を上げた。
・・・図星か。
レック「・・・・オレさ、実は屋敷出る時にちょっと細工をしてみたんだ。休憩室の扉に」
『・・・・・何だって?』
レック「つっても簡単だけどな。あそこは両開きの扉だから・・・
全員出たのを確認してから閉めた。ついでに、扉の隙間にお前の部屋で見つけた紙切れを挟んでな」
『・・・・・・・・。』
レック「びっくりしたか?・・・ま、もしかしたら気付いて戻すとかするかと思ったけど・・・お前けっこう慌ててたんだろ。紙千切れてたし」
考えてやったことがうまくいくと気持ちいいなぁ。まあソロは頭いいから、ここまで言えばもうわかるだろ。オレの言いたいこと。
『・・・ふ・・・アハハハハ。やるなぁお前。・・・俺の負けだ。ハハハ』
黙り込んだと思ったら、カラカラ笑い出した。
・・やっぱりソロは頭がいいんだな。五分の一を説明しただけで全部を一瞬で理解した上に、もう負けを認めた。
レック「オレ、たまにしか頭使わないからさっ。人は見かけによらないって言うだろ?」
『ああ、全くだ』
レック「そんじゃ、嘘付いた理由は後で聞く。もう切るぜ」
『わかった』
トランシーバーの電源を切ると、笑みを浮かべてオレは振り返る。
そこにはちょうど廊下から出てきたソロがいた。
「よっ」と手を上げると、それに気づいたソロもこっちを見てへらっと笑った。