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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第4話

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そう考えると、胸が苦しくなって・・・きゅうって痛くなって、喉が熱くなる。
不安で、・・・不安で・・・泣きたくなる。

・・・・・・・そっか、だから寂しいんだ。
置いてかれてる、みんなに必要とされてないんじゃないかって。
不安になる・・・。だからだ。
・・・・・・・・・・・・・・。
どうしてボクは、こんなに心が弱いんだろう。

そんなことを考えていたら、いつの間にか休憩室に着いてた。
すると後ろのほうにいたレックさんがボクの横を通って、すたすたと歩いていく。
そして扉に手をかけると・・・笑った。

一瞬ちらっと見えただけだから確証は持てないけど、多分笑ってた。
ちょっとだけだけど。
なんでだろう。

――――――
――――
――

レック「・・・・・・足音?」

サマル「うん・・・」

休憩室に入ってから少しして、落ち着いた頃。
思い切って、レックさんに話してみた。
・・・なんとなくだけど、レックさんはわかってくれそうな気がしたって言うか・・・。
ううん、他の人はわかってくれないってわけじゃないんだけど。

レック「ふーむ・・・なんだろうなあ」

サマル「ボク以外の人には聞こえなかったみたい。っていうか・・・
ボク以外は止まっちゃってたんだけど」

レック「そうか。・・・それ、どこから聞こえた?」

サマル「えっとね、ホールにいて・・・ちょうどこの休憩室のあたりかな?
この辺の廊下とか」

遠くから響いてきたあの足音。
全く心当たりがないってわけじゃないけど、やっぱり誰かに確認しておきたかった。

レック「そうかそうか・・・わかったわかった」

レックさんはコクコク頷きながら、少し考えるような顔をしたあと・・・
にこり、と笑った。

・・・あ、さっきの。ここの扉に手をかけた時にしたのと同じ笑い方だ。

サマル「何かわかったの?」

とりあえず聞いてみる。

レック「おう。やーっとわかってきたぜ・・・」

レックさんは立ち上がって背伸びをすると、さっきみたいにちょっとだけ微笑むような感じじゃなく、どこか嬉しそうな明るい笑顔で言った。

レック「このゲームの進め方が!」

サマル「え?」

そう言うや否や、レックさんは廊下に出て行ってしまった。
あわてて追いかけると、レックさんは部屋を出てすぐのところで壁に向かって立っていた。
でも・・・・・その手には。

サマル「あ・・・!」

あの注意書きだ。
一体どこにあったんだろう。

レック「お。ほら、新しいの来てたぜ」

レックさんが注意書きの紙を差し出す。
受け取って見ると、そこには一行「今からは2階に移動しても良い」とだけ書いてあった。
そしてレックさんのもう片方の手には、・・・なんだろあれ。

サマル「ねえレックさん、それ何?」

レック「あー、わかんね。ん・・・、トラン・・・シーバー?って言うらしい」

レックさんは、その機械と一緒に持っていた小さなメモみたいな紙を見ながら言った。
そしていきなり、

レック「あ・・・あー、あー!なーるほどそういうことな!!」

サマル「え、え?」

レック「よっし、よし。把握。じゃあサマル、オレちょい行ってくるわ。
先戻ってて」

そう言ってレックさんは、すたすたと廊下をホールのほうへ進んでいく。
呼び止めようか迷ったけど、多分聞かないだろうから黙ってた。

サマル(・・・・・・レックさんも大概不思議な人だよなぁ)

首を傾げて、ボクは仕方なく休憩室へ戻った。


2日目 09時23分 ―レック―


オレはサマルに戻っているように言い、指示通りホールに出てからトランシーバーのボタンを押した。

『ザザ・・・ザッ・・・・――ズ・・・』

ノイズ音。

レック「・・・・・・・。」

・・・いや、そのノイズ音に混じって微かに・・・足音が聞こえる。
走ってるみたいだ。

レック「・・・おい、誰かいるのか?」

トランシーバーを耳に当てて、話しかけてみる。
すると少しして

『・・・・!・・・――!!・・・・!』

・・・声。
ノイズ音が邪魔をして何を言っているのかはわからないが、これは確かに人の声だ。
しかも、聞き覚えのある―――・・・

レック「ソロ・・・!?ソロなのか!?」

そう呼びかけた瞬間、トランシーバーの向こうで背後から何か、・・・化け物の雄叫びのようなものが聞こえる。しかもそれにも聞き覚えがあった。

この雄叫びはさっきオレたちが戦った、3本足の赤い化け物だ!

『レッ・・・ク・・・!?』

レック「おい!ソロだよな!?お前今どこにいる!!?」

『・・・この・・・―の・・・・・・・ド・・・・・』

ノイズ音がどんどん酷くなって、もはや途切れ途切れなんてレベルじゃない。
音声らしきものが辛うじて確認できるだけだ。
それでもオレが必死に聞き取ろうとしてトランシーバーを強く握った瞬間、

『ザシュッ!! ガシャンッ ガラガラ・・・ブツッ』

レック「!!」

・・・無音。
切れた・・・!?・・・まさか、今の音は・・・・・・

『ザザ・・・・ザッ・・・』

その時、再びノイズ音が聞こえ始めた。
やがてその雑音は徐々に小さくなっていき・・・

『・・・レック・・・レック、聞こえるか?』

レック「・・・ああ、聞こえるぜ」

ノイズ音は完全になくなった。

『・・・・・・・・・・・。』

レック「・・・おい、大丈夫か?・・・怪我でもしてんのか?」

『いや・・・何でもない。そうだ、それより・・・銃は手に入れたか?』

レック「え?あー、まあ」

『じゃあ、今から外に行くのか』

レック「・・・いや、今戻ってきたところだぜ」

『・・・・・?どういう・・・』

レック「さっき外から帰ってきたんだ。いやぁ、武器があるんならもっと早く出せやって感じ!おかげで大変だったぜ、オレ死にかけたし」

『・・そ・・・そうか』

レック「あ、そうだ!さっきお前魔物と戦ってたんだろ?3本足で目がいっぱいあって、赤いグチョグチョのキモいやつ!ほんと強いよなアレ、オレらもさっき倒したんだけどさ・・・」

するとオレが言い切るよりも先に、トランシーバーの向こうで息を呑む音が聞こえたかと思うと

『トライポッドを倒したのか!?素手で!?!?』

レック「ふぇっ?」

いきなり大声を出されたので少しびっくりした。

レック「あ、うん。トライポッドていうのアレ?ああ、倒したぜ。まぁ素手っつうか魔法だけど」

『・・・・・・――。』

よっぽど驚いたのか、ソロはしばらく無言になった。

レック「・・・ああそう言や、聞きたいことあるんだった。さっきサマルがさ、ちょうどオレらが戦ってる時廊下で、なんか自分以外全部時間が止まったみたいになって・・・んで、休憩室のほうから足音が聞こえたらしい。・・この際単刀直入に聞くけど、それってお前?」

『・・・・・・・・・・。』

レック「おーい、聞いてるか」

『・・・・ああ。それは・・・まだわからない』

レック「何だよそれ?」

『まだ、な。・・まあ、いずれ分かるさ』

レック「!」

『? どした?』