ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第9話
ロト「・・またあの手紙だったのか?」
ムーン「はい。それと、このような物が置かれておりましたわ」
俺たちはあれから屋敷に戻った。レックは相変わらず浮かない顔をしているが、さっきよりは落ち着いたようだった。
休憩室にはアレフとサマル、ムーンがいた。他の3人は屋敷内の探索をしているらしい。
サマル「・・・これってこの前レックさんが使ってた、トランシーバーっていうやつだよ。離れてる人と会話ができるんだって」
エックス「そうか・・でも、2つともここにあるんじゃ意味なくないか?」
ロト「2つしかないとは限らないぞ。他の場所にもあるのかも知れない」
そのトランシーバーという小型の機械と一緒に、例の手紙・・・注意書きが置いてあったのだそうだ。
内容は、そのうちまたこれらを使うことになるだろうから持っておくといい、うち1つはこの部屋に、1つは管理できる者が持っておけということだった。
エックス「・・どうする?誰が持ってたほうがいいとかあるか?」
アベル「そうだね。・・・頻繁に外に出ることがある人がいいかも」
・・・・・・・・・・・・・。
ロト「そうか・・じゃあ」
俺はテーブルに置かれたトランシーバーをひとつ手にとった。
アレフ「ロト様がお持ちになられますか?」
ロト「いや、俺が持っていてもそんなに役には立たないよ」
俺は椅子に座って考え事をしているレックに、トランシーバーを手渡した。
レック「・・え?」
ロト「これはお前が持っておけ。・・お前が持っていたほうがいい、そんな気がするんだ」
レック「・・・・・・何だよそれ?」
ロト「わからない。でも・・・とにかく持っておけ」
エックス「なんか珍しいな、お前がそんな曖昧なこと言うなんて」
ロト「はは。こういう勘はよく当たるんだ」
レックは首を傾げながらも、トランシーバーを受け取った。
━─━─第九話 Atonement
――――――
――――
――
―
3日目 17時09分 ―レック―
サマル「そっか、もう行かないといけないんだね。・・・大丈夫かなあ」
レック「一応、お前らはここで待っててくれ。トランシーバーで連絡も取れるし」
アレフ「鍵が手に入ったら、一度休みますか?」
エックス「そーだな。またすげえ魔物と戦わなくちゃいけないんなら、体力とか回復させとかないとな」
もうすぐ50分経つ。
あいつが無事に鍵を探し出せているなら、そろそろ出てきていてもいい頃だ。
ひょっとしたらもうこの部屋に向かってきているかも知れない。
ムーン「・・お気を付けてくださいまし。・・・・・・・何か嫌な予感がしますの」
エックス「?」
ムーン「できれば急いだほうが良いかも知れませんわ」
アベル「ちょっと待って。その嫌な予感っていうのを詳しく教えてくれるかな?」
突然のムーンの発言に、オレたちの表情が強ばる。
ムーンは扉のほうを見つめながら、不安げな表情で言った。
ムーン「誰かが・・・・・・・私たちを見てるような気がしてならないんですの・・・・。
何か、待ち伏せされてるような・・・・気配が」
サマル「待ち伏せ・・・」
ロト「・・・視線を感じるのか?」
ムーン「いえ・・・その、気配です。ただ気配がして・・・」
一瞬、嫌な想像が頭をよぎった。
・・・・・・・・・・・・・・・あれ。・・・?
無音。
突然、室内が静まり返った。
レック「・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
みんな、止まっている。ピタリと。微動だにせず。
まるで時間が止まったみたいに・・・・・
・・・・・・・・・・・・・!
レック(これ・・・って)
この前サマルが言ってた、自分以外の時間が止まって足音が聞こえたってやつか・・・!?
オレは身動きを止めて、耳を澄ませた。
・・・・・・・・足音は、聞こえてこない。
・・しかし
―――・・・くっふふふふふふふふふふ
レック「!!」
またあの、子供の笑い声だ!
ふふふふふふふっ・・・・・くすくすくすくす・・・・・
ひひひひひひひひひっひひひ・・・・・・・あははハハハハハハ・・・・・
・・フフッはハハハハハハっひひヒヒヒひひひひひひきひひひひひひひ
あっははははははははははははははははははははははははははははははハハハハハ
レック「!?」
今までないくらいに笑い声が大きく、はっきりと聞こえた。
しかもそれは今までのくすくすという含み笑いと違って、狂気じみた高笑いだ。同じ笑い声が何度も何度も反響して聞こえる。
ふふふふふふふふふ・・・ふっひひひひひひひひひひひひ・・・・・・・・
くひひひひひひひひひひひひっハハハハハハはハハハハハハ・・!
レック「っ!」
オレはびくりと体を震わせた。
その笑い声はもはや頭の中に響いてくるのではなく、・・・自分の真後ろから聞こえた。
オレの背中に密着してけたたましい笑い声をたてているかのような・・・リアルなものに変わっていたんだ。
思念体が、具現化してしまっている!
・・・・これはまずい・・・はやくここから出たほうが・・・・・
そうは思っても体が動かない。みんなも止まったままだ。・・どうしようもない。
そんな時、突然ぴたりと笑い声が止まった。そして
――――・・・みぃつけた・・・・・・・・・・
無邪気な子供の、嬉しそうな声。
ひやり、と右腕に何か冷たいものが当たったような気がした。
・・・バタァン!!
レック「!!」
気がつくとオレは、両手で休憩室の扉を開け放って外に出ていた。
エックス「・・どうしたんだレック、大丈夫か?」
・・みんなが不思議そうにオレを見ている。だが・・・・・
レック(・・・・・・・。)
ひとりサマルだけが、オレと同じように顔を青くして怯えるような表情をしていた。
――――――
――――
――
―
ロト「・・・おい、本当に平気か?だいぶ顔色が悪い」
レック「ああ・・・大丈夫だ、気にすんな・・・」
・・・・どうしてだ。なんでこんなにオレは不安定なんだ?
今日になって酷く気分が沈んでいる上に体調もいいとは言えず、得体の知れない焦燥感と不安感に駆られている。・・・怖い。
疲れてしまっているのだろうか?どうも落ち着けない、そう・・・例えるなら、暗闇の中で何かに後ろから追いかけられているような感覚。
オレ、ロト、エックス、アベルの4人は休憩室を出て、アレンたちには留守番を任せた。
早くあの、ソロがいるはずの扉まで行かなくてはならないのに・・・そこまでの道のりがひどく長く感じる。
オレは思ったより精神を消耗してしまっているらしい・・・・・。
立て続けに変なことが起こったからか、はたまた何らかの別の力が働いているのか――
――・・・・・・・・・!?
ロト「・・・何だこれは・・・」
アベル「いいよ、気にしないで行こう。今は先に扉に向かうんだ」
廊下の壁一面に、またしても血文字で落書きがしてあった。
いっし ょ に あそぼ う よ
か くれ んぼ しよう
それ と も お にご っこ がい いか な ?
・・反対側の壁には、
ムーン「はい。それと、このような物が置かれておりましたわ」
俺たちはあれから屋敷に戻った。レックは相変わらず浮かない顔をしているが、さっきよりは落ち着いたようだった。
休憩室にはアレフとサマル、ムーンがいた。他の3人は屋敷内の探索をしているらしい。
サマル「・・・これってこの前レックさんが使ってた、トランシーバーっていうやつだよ。離れてる人と会話ができるんだって」
エックス「そうか・・でも、2つともここにあるんじゃ意味なくないか?」
ロト「2つしかないとは限らないぞ。他の場所にもあるのかも知れない」
そのトランシーバーという小型の機械と一緒に、例の手紙・・・注意書きが置いてあったのだそうだ。
内容は、そのうちまたこれらを使うことになるだろうから持っておくといい、うち1つはこの部屋に、1つは管理できる者が持っておけということだった。
エックス「・・どうする?誰が持ってたほうがいいとかあるか?」
アベル「そうだね。・・・頻繁に外に出ることがある人がいいかも」
・・・・・・・・・・・・・。
ロト「そうか・・じゃあ」
俺はテーブルに置かれたトランシーバーをひとつ手にとった。
アレフ「ロト様がお持ちになられますか?」
ロト「いや、俺が持っていてもそんなに役には立たないよ」
俺は椅子に座って考え事をしているレックに、トランシーバーを手渡した。
レック「・・え?」
ロト「これはお前が持っておけ。・・お前が持っていたほうがいい、そんな気がするんだ」
レック「・・・・・・何だよそれ?」
ロト「わからない。でも・・・とにかく持っておけ」
エックス「なんか珍しいな、お前がそんな曖昧なこと言うなんて」
ロト「はは。こういう勘はよく当たるんだ」
レックは首を傾げながらも、トランシーバーを受け取った。
━─━─第九話 Atonement
――――――
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3日目 17時09分 ―レック―
サマル「そっか、もう行かないといけないんだね。・・・大丈夫かなあ」
レック「一応、お前らはここで待っててくれ。トランシーバーで連絡も取れるし」
アレフ「鍵が手に入ったら、一度休みますか?」
エックス「そーだな。またすげえ魔物と戦わなくちゃいけないんなら、体力とか回復させとかないとな」
もうすぐ50分経つ。
あいつが無事に鍵を探し出せているなら、そろそろ出てきていてもいい頃だ。
ひょっとしたらもうこの部屋に向かってきているかも知れない。
ムーン「・・お気を付けてくださいまし。・・・・・・・何か嫌な予感がしますの」
エックス「?」
ムーン「できれば急いだほうが良いかも知れませんわ」
アベル「ちょっと待って。その嫌な予感っていうのを詳しく教えてくれるかな?」
突然のムーンの発言に、オレたちの表情が強ばる。
ムーンは扉のほうを見つめながら、不安げな表情で言った。
ムーン「誰かが・・・・・・・私たちを見てるような気がしてならないんですの・・・・。
何か、待ち伏せされてるような・・・・気配が」
サマル「待ち伏せ・・・」
ロト「・・・視線を感じるのか?」
ムーン「いえ・・・その、気配です。ただ気配がして・・・」
一瞬、嫌な想像が頭をよぎった。
・・・・・・・・・・・・・・・あれ。・・・?
無音。
突然、室内が静まり返った。
レック「・・・・・・・・・・・・・え・・・?」
みんな、止まっている。ピタリと。微動だにせず。
まるで時間が止まったみたいに・・・・・
・・・・・・・・・・・・・!
レック(これ・・・って)
この前サマルが言ってた、自分以外の時間が止まって足音が聞こえたってやつか・・・!?
オレは身動きを止めて、耳を澄ませた。
・・・・・・・・足音は、聞こえてこない。
・・しかし
―――・・・くっふふふふふふふふふふ
レック「!!」
またあの、子供の笑い声だ!
ふふふふふふふっ・・・・・くすくすくすくす・・・・・
ひひひひひひひひひっひひひ・・・・・・・あははハハハハハハ・・・・・
・・フフッはハハハハハハっひひヒヒヒひひひひひひきひひひひひひひ
あっははははははははははははははははははははははははははははははハハハハハ
レック「!?」
今までないくらいに笑い声が大きく、はっきりと聞こえた。
しかもそれは今までのくすくすという含み笑いと違って、狂気じみた高笑いだ。同じ笑い声が何度も何度も反響して聞こえる。
ふふふふふふふふふ・・・ふっひひひひひひひひひひひひ・・・・・・・・
くひひひひひひひひひひひひっハハハハハハはハハハハハハ・・!
レック「っ!」
オレはびくりと体を震わせた。
その笑い声はもはや頭の中に響いてくるのではなく、・・・自分の真後ろから聞こえた。
オレの背中に密着してけたたましい笑い声をたてているかのような・・・リアルなものに変わっていたんだ。
思念体が、具現化してしまっている!
・・・・これはまずい・・・はやくここから出たほうが・・・・・
そうは思っても体が動かない。みんなも止まったままだ。・・どうしようもない。
そんな時、突然ぴたりと笑い声が止まった。そして
――――・・・みぃつけた・・・・・・・・・・
無邪気な子供の、嬉しそうな声。
ひやり、と右腕に何か冷たいものが当たったような気がした。
・・・バタァン!!
レック「!!」
気がつくとオレは、両手で休憩室の扉を開け放って外に出ていた。
エックス「・・どうしたんだレック、大丈夫か?」
・・みんなが不思議そうにオレを見ている。だが・・・・・
レック(・・・・・・・。)
ひとりサマルだけが、オレと同じように顔を青くして怯えるような表情をしていた。
――――――
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ロト「・・・おい、本当に平気か?だいぶ顔色が悪い」
レック「ああ・・・大丈夫だ、気にすんな・・・」
・・・・どうしてだ。なんでこんなにオレは不安定なんだ?
今日になって酷く気分が沈んでいる上に体調もいいとは言えず、得体の知れない焦燥感と不安感に駆られている。・・・怖い。
疲れてしまっているのだろうか?どうも落ち着けない、そう・・・例えるなら、暗闇の中で何かに後ろから追いかけられているような感覚。
オレ、ロト、エックス、アベルの4人は休憩室を出て、アレンたちには留守番を任せた。
早くあの、ソロがいるはずの扉まで行かなくてはならないのに・・・そこまでの道のりがひどく長く感じる。
オレは思ったより精神を消耗してしまっているらしい・・・・・。
立て続けに変なことが起こったからか、はたまた何らかの別の力が働いているのか――
――・・・・・・・・・!?
ロト「・・・何だこれは・・・」
アベル「いいよ、気にしないで行こう。今は先に扉に向かうんだ」
廊下の壁一面に、またしても血文字で落書きがしてあった。
いっし ょ に あそぼ う よ
か くれ んぼ しよう
それ と も お にご っこ がい いか な ?
・・反対側の壁には、