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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第9話

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・・・だがよく見ると、埃のたまった床には歩いた跡がある。もう既にこの通路を使った者がいるのだ。

サマル「・・・もう誰か入ったみたい・・・」

・・・・・・・・・・・・。

念のため、ロトと2人で先に様子を見に行った。5人全員じゃいくらなんでも進みにくいしな。
・・銃を構えながら注意深く進んでいく。

コツ・・コツ・・・コツ・・コツ・・・・・

足音が響くのは、幅は狭くても天井が高いせいだろう。
暫く行くと、少し上のほうの壁に何か取り付けてあるのを見つけた。
・・・・・・・レバー?

ロト「・・無闇に動かさないほうがいいだろう」

レック「まあ・・・そうかもな」

入口までの距離を一度確認し、さらに進んでいく。暫くすると奥の方から僅かに、シュ―――・・・という音が聞こえてきた。空気が漏れるような音だ。

レック「何の音だ?」

ロト「わからない・・・とりあえず突き当りまで行ってみるか」

何度目かの曲がり角を曲がったところで、錆びて赤茶色になった金属製の扉が見えてきた。
狭い壁に挟まれ窮屈そうに佇んでいる。
空気音はどうやらこの扉の向こうから聞こえるようだ。

レック「なんだろうな・・・」

ロト「・・・・・・・・・・・・・。」

扉の上部には、ガラスのようなものでできた長方形の窓があった。そこから覗いてみると、中はどうやら広い部屋のようだ・・・しかし、一面を覆う赤黒い何かでよく見えない。
目を凝らして見てみるとそれは、蠢く赤い霧だった。・・この霧が噴き出している音なのだろうか。

ロト「霧・・・?」

レック「そうだな・・・あれ?なんか、どっかで赤い霧について説明されたような気がする・・・」

確か・・・初日の、そうだ、最初の注意書きにあった!

探索の際はトラップに気をつけること・・・特に、
赤黒い霧には近づかないほうがいい・・・!

そうか、きっとこの霧のことだ。
多分毒か何かなんだろう。

ロト「そう言えば近づかないほうがいいって書いてあったな・・・」

レック「ああ。・・・トラマナとか効くのかな」

ロト「今入る気か?よしたほうがいいだろ」

レック「冗談だよ。でも鍵がかかってるかどうかだけ確かめていこうぜ」

念のため息を止め、ノブに手をかけて回すと・・・・

ガチャン。

レック(・・・・・かかってない・・・)

ため息をつきたい気分になった。少しだけ、ほんの少しだけ手前に引いてみる。
その途端、ドアの僅かな隙間から赤黒い霧がぶわっと出てきた。

あわててドアを閉める。

レック「・・こりゃダメだ、戻ろう」

ロト「ああ・・・そうだな」

オレたちはその扉に背を向け、歩を進めた。

・・・と、その時。
ポケットにしまったトランシーバーから、電波受信を知らせる音が鳴った。

不気味な空気音の中に、無機質な機械音が響き渡る。

レック「・・・?」

トランシーバーを取り出し、なんとなく隣のロトを見た。
・・・・・・・・・・ロトの顔は、青ざめていた。

ロト「・・・・・・・・・嫌な予感がする」

レック「え?」

・・・・・オレはロトのその表情にひどく不安を覚えながらも、トランシーバーの通話ボタンを押した。

『ザザ・・・・・・・・・ザッ・・・・・・・・ズ・・・』

心臓の鼓動が早まっていく。
・・ソロと話した時と同じノイズ音・・・・・・・・・。

レック「・・・・・・・・・・・・。」

暫くノイズ音が続いた。だが、かかってきたのだから何かあったに違いない。
震える手で小さな機械を支え、耳を澄ませる。

するとノイズに混じって、ガシャガシャン!と何かが倒れる音がした。
そして、向こうでトランシーバーを掴んだものと思われる物音が聞こえ――

『・・・・・・て・・・・・・・・・っ』

女の子の声だ!

レック「ムーン!?おい、どうした!?」

絶え間なく床を這いずるような音が聞こえる・・・。
ロトも強ばった顔でオレの手元を見つめている。

『・・すけて・・・・たすけて・・・助けてッ・・・!!』

切羽詰まったムーンの声。

レック「どうした!?何があったんだ!!」

『助けて・・・お願い、ぃ・・やめ・・嫌ッ、
いやあぁあああァぁぁぁあああぁぁああぁぁあああぁぁあぁあああ!!!!』

バキバキッガシャン・・・ザシュッ ・・ガタ・・・


レック「━━━━━!!! 」


『ザザッ―・・・・クスクス・・・ふふっ・・あははハハハハハハ・・・・・・・・・・・・ブツッ』


ツ―・・・ツ―・・・ツ―・・・


ロト「レック・・・ムーンが・・・・・!!!」

ロトがオレの腕を掴み、余裕のない声で言う。

オレは頷き、一気に走り出す。

隠し通路を出ると、外で待っていた仲間達には目もくれず走った。
休憩室を目指して。

全速力で駆け抜け休憩室に着き、鍵がかかっていて開かないことに気付くと、ほぼ扉にかじりつくような勢いでロトが叫んだ。

ロト「開けろおおおおお!!!鍵がかかってるんだ、開けてくれええええ!!!」

しかしロトはすぐに自分がこの部屋の鍵を任されていたことを思い出し、それを取り出すと鍵穴に捩じ込むようにして開けた。

バタン・・・

ロト「・・・・・・・――!!」

レック「・・・・・な・・・・・・・・・!?」

部屋に足を踏み入れたオレたちは絶句した。
真ん中にあるカーペット、照明、大部分の床が血の海になっている。・・そしてテーブルには・・・

・・・人間の手足と頭がバラバラに・・・・・・・・・散乱している・・・・・・・・・・・・・。
・・・柔らかくカールした、あの紫色の長い髪は・・・・・・・・・・

ロト「・・・・・・・ムーン・・・・・・・・・・・?」

ロトは目を見開いたまま、がくんと膝を落とした。
オレは足が竦み、全身がガタガタと震えて動けなくなった。

・・・・・・ソロが寝ていたはずのソファには、首から上と肘から下、膝から下をそれぞれ失ったムーンの胴体が座っている。
その膝の上には、テーブルの花瓶に活けてあったピンクのスターチスとホワイトレースフラワーが添えられている。

そして・・・奥の壁際に。
壁のほうを向いて、・・・ソロが立っている・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

レック「・・・ソロ・・・・・・・・」

オレはゆっくりと近づいていく・・・・・・が、・・ソロの手に握られているものを見て硬直した。
血にまみれた大型の鋸だった。

ざりっ、と後ずさる。
その音に反応してか、ソロが振り向いた。