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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第9話

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ロト「おい、どうした?」

少し離れていたロトも、心配して戻ってきた。
するとソロはいきなり、がくん、と首を落として意識を失った。苦しそうな息遣いは消え、死体のように微動だにしなくなってしまった。

レック「な・・・おいっ、ソロ!?」

驚いて肩を揺らすとロトに止められた。
今は休ませておこう、とずれたブランケットを直し、ロトは寝室のほうに歩いて行った。
――――――
――――

・・とてもじゃないが眠れる気分ではなかった。
オレは死んだように眠るソロの傍らに、起こさないよう静かに腰を掛けた。

レック「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

カチ、カチ、と秒針が時を刻む音以外、何も聞こえない。
休んでおかないと自分が大変なのはわかってる。けど、嫌な胸騒ぎがして眠れない・・・。

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

・・・・ソロ。なんでお前は・・・教えてくれないんだ?
・・この調子じゃ、あの鉄の扉の奥で何があって、なんでこんな大怪我をしたのかも言ってくれなさそうだ。

どうして・・・・・・そんなに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。エイトたちが帰ってきて、みんなが眠ってしまってから、1時間くらい経っただろうか。
部屋がなんだか薄暗く感じる。

・・・・・その時、弱い力で誰かに腕を引っ張られた。

レック「・・?」

見ると、ソロが体を起こさないままオレの腕を掴み、じっとこっちを見つめていた。

レック「・・・ぁ、すまん。起こしちまったか?」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・。」

ソロは答えない。瞬き1つせず無言でオレを見上げ続けている。
・・・・どうしたんだろう。

レック「・・・・・・・・・?どうかしたのか?」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・。」

・・・今度はまるで人形か置物のように見えた。
しかし暫くすると、1度瞬きをしてにこりと笑った。その時オレは、一瞬奇妙な違和感を感じた。

そしてまた、オレの腕を掴んだままくいくいと引っ張る。
・・・・・・・・・本当にどうしたんだ?

レック「・・・。・・・・ソロ?・・何してるんだ?」

するとオレがそう言った途端、ソロはピタリと手を止め無表情に戻った。
そして・・・・・・・・

・・・・・・・・違うよ。

声は聞こえなかったが、唇の動きでそう言ったのがわかった。

レック「・・・・・・・・・・・・ソロ・・・・・?」

呼びかけるとソロは手を離し、無造作に自分の体の上に置いた。
そして一旦目を閉じると、少し不機嫌そうにオレを見上げた。

・・・・・・・・・・・・?

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・――・・・・・・―・・・・・・・。」

何か言っている。
でも、声が出ていないのでさすがに何と言っているのかわからなくなった。

どうしたんだ・・・まさか、あの時みたいに・・・部屋を滅茶苦茶にした時と同じように、不安定な状態になっているのだろうか?

そう考えると、急に胸が苦しくなった。
・・・・別れる時にソロは、いつか本当のことを話すよ、と言っていた。
なら・・・これもいつか説明してくれるんだろうか・・・。

オレは憐れみを込めて手を伸ばし、ソロの額を撫でた。
するとソロは驚いたように瞬きを繰り返すが、暫くすると楽しそうに笑い始めた。
しかし一切声は聞こえない。

息遣いは聞こえるのだが、声だけがまったくない。
まるで声の出し方を知らないかのようにも見えた。

するとソロはまたオレの腕を掴んで、何か短い言葉を言った。
やはり声は出ていなかったが、・・・ソロは・・・こう言った。

・・・・・・・お兄ちゃんは、どこ?

オレの全身が凍りついた。

――――――
――――
――

4日目 08時11分 ―レック―

・・・・知らないうちに、オレはソファに座ったまま寝ていたらしい。
サマルに起こされ、隣を見ると・・・ソロはまだ眠っていた。

サマルに聞くと、起こそうとはしているのだが一向に起きる気配がなく、さっきアベルにまだ休ませておいたほうがいいかも知れないと言われたのだそうだ。

話し合った結果、オレたちは二手に別れて屋敷内の探索を進めることにした。
あの血の池の青い扉にはまだ行かないほうがいいという意見が一致し、それ以外にもう調べられそうな場所はないので、屋敷内の手がかりを探すわけだ。

・・・おかしいな、どうしてだろう。
変な夢でも見たんだろうか?

なぜかソロのことが気になった。ただ眠っているだけなのに。・・・昨日あいつと一緒に他の誰かと話していたような気がする。だけど・・・それが誰なのかどうしても思い出せない。

まあ、いいか。後でソロに聞いてみよう。

――――――
――――
オレ、アレフ、アレン、ロト、サマルで1階を、アルス、アベル、エイト、ナイン、エックスで2階を。
ソロを1人にしておくのも心配なので、ムーンに留守を頼んできた。
ムーンは前回外で戦った時に力の限界を感じたらしく、最も体力が少ないから、と自ら待機することを申し出てきた。

念のため部屋には鍵をかけておいたし、その鍵はロトが持っている。ムーンが内から鍵を開けておいたりしない限り、2人に危険が及ぶことはないはずだ。

・・・オレたちは玄関ホールから見て左側に、狭い隠し通路のようなものを見つけた。

ロト「・・・なんだ、これは?」

アレフ「隠し通路・・・でしょうか・・・」

ヒト1人がやっと通れそうな幅の、埃っぽい・・・どちらかというと隙間に近い感じだ。
天井付近には蜘蛛の巣が張っている。

サマル「・・・おかしいな、全然気付かなかったよ」

アレフ「いえ・・・前回私どもが調べた時には、ありませんでした」

レック「え?見落としてたんじゃないのか?」

アレン「お前・・・もう少しましな言い方ができないのか」

アレフ「いいですよ、アレン王子。・・しかし、確かにこのようなものはありませんでした。
このあたりの壁はしっかりとくまなく調べております」

ロト「・・確かか、アレフ?」

アレフ「はい、ロト様。その時その場にいた全員が何もないと判断しました故・・・」

・・その先は、アレフが口に出さなくてもわかった。
前回そんなにも細かく調べて見つからなかったのに、今回は特に何をするでもなくあっさりと見つけた。・・・というか、壁に普通に穴があいてるみたいに、割れ目があったのだ。
それに手をかけてみると簡単に開いた。
確かにこんなもの、前を通りさえすれば気付きそうなものだ。

アレン「前まではなかったものが現れた・・・。ゲームがきちんと進んでいると見ていいのだろうか」

レック「多分な。こういうことなんだろう」

サマル「・・どうする?行ってみる・・・?」

ロト「まあ、ゲームを進めるためには行くしかないんだろうな」

・・・・・・・・・・・中を覗き込んでみると、薄暗く、手入れの行き届いた屋敷内とは違ってかなり汚い。壁はごつごつした石で出来ていて、小さな壁掛けランプの灯りが上から僅かに照らしている以外、何もない。