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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第10話

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ソロ「・・・・・・・・・・・・・・。」

ソロはオレの顔を見ると、探し物を見つけた子供のようにぱっと笑顔になった。
そして持っていた鋸を捨て、笑顔のままオレのほうに歩み寄ってくる。

ソロ「・・・・・また会ったね・・知らないお兄さん。ねえねえ、おにごっこしようよ。
お人形さん遊び、飽きちゃったんだ」

そう言ってソロは、ソファに腰掛ける変わり果てた姿のムーンを見た。

ソロ「みんなはどこ?」

きょとんとした顔で、平然と訊ねてくる。

レック「・・・・・・ソ・・・・・・・ソロ・・・・・・・!?」

もはや後ずさることもできなくなったオレは、その場に立ち尽くした。

ソロ「・・あっそうだ、お兄ちゃんが言ってたよ!レックっていうひとをさがしてるんだって―」

  ドンッ

・・・背後から聞こえた銃声と、何かがモノに当たった鈍い音が混じりあった。
ソロは喉を仰け反らせ、少量の血を吹き出しながら壁まで吹っ飛んで倒れた。
振り返るとロトが肩で息をしながら、先端から煙の出ている銃を構えて立っていた。

ロト「レック・・・・・・・逃げるぞ・・・・・・・」

レック「・・・・・・え」

ロト「逃げるんだ殺されるぞ!!
あいつはソロじゃない!!!」

ロトがオレの腕を引っ張って出口に向かおうとする、だがオレは自分の足が言う事を聞かなくなっていることに気付き叫んだ。

レック「だめだ・・ロト、先に逃げろ!!」

ロト「何を・・・!」

そのやり取りの間に、オレは背後で蠢く気配を感じていた。
見るとソロは頭に銃弾を食らったにも関わらず、しっかりとした足取りで立ち上がり始めている・・・!

ロト「な・・・!」

そしてくすくすと小さく笑い出したかと思うと、何事もなかったかのようにオレたちの方に近づいてくるのだ。

ソロ「・・ふふふふふふふ・・・・・・ははハハははハハハハ」

レック「・・・・・・・・・・ッ」

ソロ「わかった、かくれんぼがいいんだね?いいよ、ぼくかくれんぼ大好きだから」

そう言って足元の鋸を拾うと

ソロ「じゃあ、今から100数えるよー。ふふふ、はやくかくれに行きなよ!」

そしてソロは壁のほうをむいて、いーち、にーい、と数を数え始めた。


━─━─第十話 Outoforder Suggestion


4日目 08時29分 ―サマル―

ロト様とレックさんが隠し通路に入っていってから、10分くらい経った頃。
ボクたちは、ロト様たちが戻ってきたら次はどこに行くかを話し合っていた。

そう言えば東側廊下には鍵の掛かった扉がまだいくつかあったし、調べていてわかったんだけど、いろいろな部屋に、武器庫では置いてなかった強力な武器が隠すように置いてあるんだ。

サーモスコープっていう、肉眼だと見えないものを見えるようにする特殊なフィルターみたいなものを使ったライフルとか、テーザーガンっていう電撃で攻撃する銃もあった。
相手にダメージを与えるとともに、一定時間動けなくする効果があるらしい。

それらは一応回収して休憩室に置いてあるんだけど・・・みんな強いもんなあ、果たして使う場面があるんだろうか。

サマル「・・・・・・・・・・・アレフ様、ロト様たち・・・遅くない?」

アレフ「見た目よりは深い通路なのでしょう。・・・・・・?」

通路の奥で何か聞こえたような気がした。なんだか・・・・叫び声のような・・・

アレン「・・・ムーンの声・・・?」

・・・なんだろう、すごく嫌な・・・・・・嫌な感じがする・・・・。

不安を感じながらも、ボクたちはそこで待っていた。
・・・・すると、通路の奥からロト様とレックさんがただ事じゃない様子で出てきた。
そしてボクたちを見ることもせず、休憩室に向かって走っていった。

サマル「・・ど・・・どうしたんだろう・・・?」

アレン「アレフ様、俺たちも・・!」

アレフ「・・・・・・・・・いえ」

アレフ様は落ち着いた表情で、ボクたちに言った。

アレフ「・・・私たちはここで待っていましょう。今はそのほうが良い」

・・・・・・理由は言ってくれなかったけど、ボクとアレンはその不思議な落ち着きと説得力にすんなりと頷いた。

アレフ「・・・・・・・・・ムーン王女とソロ殿に、何かあったのでしょう」

アレン「え・・・鍵をかけておいたのに、ですか?」

アレフ「・・・何があったのかはわかりません。ですが・・・私たちはとにかくここに居るほうが良いでしょう」

・・きっと、ロト様の血を直に受け継いでいるアレフ様にはわかるんだろう。
迫っている危険の気配が・・・・・・・・。
だから、ボクたちを守ろうとしてくれている。
・・・・・でも・・・・・・

サマル(・・・やっぱり・・・守られる側、なんだ)

ボクは・・・ボクは、本当にいつもそればっかりだな。
もう今更、頼りになる存在になりたいなんて思わないけど・・・・・・。

・・・・・・・・・・暫くすると。
休憩室のほうから、ロト様たちが戻ってきた。
2人とも酷く切羽詰まったような表情で、背後・・・いや、休憩室のほうを凄く警戒してるように見える。

アレフ「ロト様、レック殿・・・一体どうなさったのです?」

アレン「ムーンとソロは・・・!?」

レック「・・・・・・・・・・・・・・ここにいないほうがいい」

ロト「アレフ、2階のみんなを集めて屋敷の外に出すんだ。お前たちも外で待っててくれ」

緊迫した声だった。

サマル「ど・・・どういうこと?ムーンとソロさんは・・・!?」

ロト「とにかく急ぐんだ!時間がない!」

アレフ様が頷いて、ボクとアレンに先に外に出ているよう言うと、2階のほうに走っていった。

レック「・・・アレン、サマル。いいか、みんなにも言っといて欲しいんだが、オレたち2人が出てくるまで屋敷には入ってきちゃ駄目だ。・・できるだけ離れていろ。いいな?」

アレン「っ・・・・・・・わかった」

アレンは一瞬何か言い返そうと思ったみたいだけど、レックさんの険しい表情を見て従った。

ボクとアレンが屋敷の外に出るのを見届け、ロト様とレックさんは銃を構えながら辺りを見回している。

サマル「アレン・・・」

アレン「・・・何だ?」

サマル「ムーンの叫び声・・・聞こえたよね?さっき・・・」

アレン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

サマル「・・・どうしよう、・・ムーンが死んじゃったら・・・・」

無意識のうちに、呼吸がどんどん荒くなる。息が苦しい。
ああ、ああ・・・・

サマル「ッ・・はぁ・・はぁ・・・はっ・・・」

体がガタガタ震えて、膝が砕けて座り込んでしまった。嫌な汗がにじみ出てくる。

アレン「・・サマル、しっかりしろ・・・大丈夫だ、きっと大丈夫だ・・・」

アレンがボクの肩を支えて、頭を撫でてくれた。・・でも、アレンの声も僅かに震えていた。

────────
────

4日目 08時34分 ―ロト―

少しして、アレフと2階に行っていたメンバーが屋敷の外に出たのを確認し、玄関扉を閉めた。

これでこの屋敷の中にいて・・・生きているのは、俺とレックとソロだけだ。