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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第14話

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MT.kWSのヴァリエーション

初期個体: 専用の装置による細胞操作により生まれたRe.arの成長途中の名称。
通常、科学者たちの命令に絶対服従するよう人工知能と、万が一に備えて身体の4箇所に遠隔操作式の爆弾を、生まれてから3時間以内に埋め込まれる。

完全体: 初期個体が成長し、クリアを自在に使用できるレベルに達した者の名称。何か特別な特徴がなければ、大半は耐久レベルの実験や薬品開発のためのプロトタイプとして扱われる。

自発生体: 装置を使用せず、生命としての自然な営みにより発生したMT.kWS及びRe.arの名称。非常に稀なケースであり、自己的に成長するため本能を失っておらず、「自分と自分の仲間以外の生命は視界に入れば即座に殺す」という行動式を例外なく持つ非常に危険な個体であるため、捕獲され次第爆弾の内蔵手術(人工知能は個体の思考レベルにより)が行われ、拘束の上、地下に格納される。あまりに危険度が高い個体は薬物処理される。

自発生完全体: 自発生体が完全体化した者の名称。同様の処置を施される。

原初体: 自然発生した個体の中で、生殖機能を持つ者の名称。
通常、Re.arはMT.kWSから進化する過程において生殖機能が退化してしまう(原因は解明されていない)が、何らかの理由によりそれが生じず、遺伝子を残すことができる唯一の存在である。
また、クリアは天空人の翼が細胞の発達により変異したものだと考えられているが、この個体はそれを使って他の個体やヒトなどと意思疎通を取ることが可能である(クリアを相手の脳に接続し微量な電波を発生させ、思考や情報を行き来させるようだ)。
そして決定的なのは、クリアの射程と活動力が大幅に上がっていることである。
確認されたものの中での最高は、クリア本数203本、射程(活動範囲)12キロメートル、力は1ステーヌにも及ぶ。
未だに十数体しか確認されていない、誕生はほぼ奇跡に近い個体である。

アダム(Adam),イブ(eve): 原初体のコード。アダムは男性型を、イブは女性型を表す。
名前は最初に地上に作られた人間のもので、生殖機能を持っており繁殖できることから由来している。


――MT.kWS研究書“Jule(ジュール)”より





━─━─第十四話 Torture conductor




5日目 08時21分 ―エイト―


ひどい耳鳴りがした。
誰かが声を張り上げている。

・・・・?気持ちが悪い。左半身がおかしい。変な感じがする。
あれ、僕・・・どうなったんだっけ・・・・・・

・・なぜだか妙に軽く感じる体を起こすと、片膝立ちになったエックスさんが・・・ぐったりとしたレックさんの体を抱えて、何度も名前を呼んでいる。

周りの床は完全に血の海、僕の服も大部分が赤く染まっていた。

・・・・レックさんはピクリとも動かないけれど、その瞳は少し開いていた。
虚ろに虚空を見上げたまま・・・

エイト「・・・・・・・・・・・・・・・・あの・・・・・・」

声が掠れてる。

エックス「エイト!」

こっちを見たエックスさんの表情は、不安、驚愕、絶望、焦燥・・・全てが入り混じったものだった。どういう状況かは幾秒も経たないうちに理解できた。

エックス「・・っ何か出血を止められるものを探してくれ・・・レックが死んじまう・・!」

エイト「あ・・・」

左半身にじんわりとした痛みが広がっていく。痺れるようで、不快で、今まで味わったことのない感覚だ。

エイト「・・・・・・・・・・・。」

どうしていいか分からず辺りを見回す。すると部屋の端のベッドの上に、何か紙が乗っていた。
近寄って手に取ると、・・・・・注意書きだ。なぜこんなところに・・・まあ今更そんなに驚くことでもないんだろうか。

『そのまま90度左を向いた方向に背の高い棚があるだろう。
上から2段目に治療道具が入っている』

急いで書いてあった通りの場所から、とりあえず一式の道具が入っていると思われる木箱を取り出してきた。

中には赤い液体の入った透明な袋が数個・・・細いチューブのようなもの、針、何かはめるもの、・・・他にもよくわからないものが色々と詰められている。
どうすれば・・・とそれらの道具に目を滑らせていると、隅の方に1枚の紙が入っているのを見つけた。

エックス「それでどうにかできるのか!?」

エイト「えっと・・・これで・・・」

折りたたまれている紙を広げ、説明を読もうと思った。
けど自分ひとりでどうにかなるものなのか、という疑問が瞬時に生まれる。
気づいたら僕は、その紙を取り落として床に膝から崩れ落ちていた。

気持ちが悪い。

エックス「エイト!?」

エイト「・・・す、すみませ・・っ・・・・・・」

よろよろと立ち上がり、落とした紙と床に置いた木箱を持ってエックスさんの方に走った。

・・・・・・・そこからは、僕はもう何もできなかった。
手が震えてしまってどうにもならなかった。
ただ頭を抱えてすすり泣いているばかりで、情けないだとか・・・自分の無力さを恥じるだとか、そんなことを感じる余裕は、なかった。

ただ怖くてたまらなかった・・・・・・・・・


恐怖と焦燥が入り混じり肺を焦がすような、ぐちゃぐちゃな感情の中。

レックさんがこのまま死んでしまったら、それはそれで都合がいいかも知れないと。

人殺しに携わった裏切り者なのだから死んで当然なのだと。

心のどこかで考えている自分が。

恐ろしくてたまらなかった。

左半身は完全に麻痺していて、生温かくどろどろした液体が感覚のある部分に伝わっていく気味の悪い感触。
痺れ。
吐き気。
頭痛。
早鐘のように打ち続ける心臓。

それらすべてが、ひび割れた自分の体から流れ出す心に思えた。




5日目 08時33分 ―レック―


こめかみに鋭い痛みが走って、半ば強制的に目を開かされたような感じがした・・・
何だこれ?

「・・・・レッ・・・ク」

誰かに名前を呼ばれた?

寒い。尋常じゃないくらい寒い。
体が空っぽになっちまったような・・・・・・・

くすぐったいような、痛いような、何だろう・・・とにかく不快な細かい痺れが全身を覆っている。

目の前に誰かいる。

「・・・・・大丈夫か・・・・・・」

・・・・・・・・・・。・・視界が
・・・・・・ぼやける・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・ゆっくりと息を吸い込むと、胸の中に冷たい空気が流れ込んでくる。
途端にふわっ、と体が軽くなった。

同時にぼんやりしていた視界が徐々にはっきりし始め、どうにか目の前の光景を視認することができるようになった。

エックス「レック・・・よかった・・・・・・・」

泣きそうな顔でオレを見ながら、エックスが・・・・いや、実際泣いていた。
オレを抱きかかえている。

レック「・・・エックス」

小さく掠れた声だった。

あ、・・・・そうだ、・・・・

レック「・・・・エイトは・・・・・・」

エックス「大丈夫だ、そこにいる」

エックスの視線を追うと、ベッドに座って下を向いているエイトの姿があった。