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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第17話

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7日目 19時06分 ―レック―


レック「悪いな。・・関係ない話しちまって」

サマル「ううん、なんだかちょっと楽になったような気がしたよ」

今までこいつの様子を見ててずっと思ってきたことだった。
うまく話せるタイミングがなかなか見つからなくて、あの場で言ってしまったが・・・・

サマル「ありがとう」

レック「ん?」

サマル「今まで自分でもわかってはいたけど、なかなか直視できなかったことだったから。
・・・・・ありがとう」

そう言ってサマルは、小さく微笑んだ。

オレも少し、つられて笑った。



━─━─第十七話 Lost monologue



レック「お前が聞きたいことわかるぜ。あの屋敷の赤い落書きのこと・・・
それから、あの時」

・・・・・・・・・・・。

レック「・・・・・・・・屋敷の中で・・何があったのか」

サマル「・・・うん」

レック「オレも同じこと考えてたんだ、今まで。あの時何があったのか。・・当事者なのに何一つ理解してなかった。ただただ信じられなくて・・・何も考えられなかったんだ」

・・その時サマルの視線が下に落ち始めたので、目を見て強くこう言った。

レック「でももう今は違う。あの時何があったのか全部理解した。どうしてああなったのかも」

サマルがはっと顔を上げる。

サマル「・・・ボクにも何かできることあったのかな・・・・・・」

小さく呟いたのが聞こえた。

レック「あったかも知れない。なかったかも知れない。ただするべき時に何かすれば、結果が変わる可能性は必ず生まれる。・・ソロはそのことを・・・どうにかしてオレに気付かせようとしてたんだ。オレは・・・・・・・オレはそれを汲み取ることができなかった」

・・・・・・・・しばらくの間、沈黙が続いた。

ソロが直接、具体的にこうなるからこうしろああしろと言ってこなかった理由は、本当のことを知ったあとに自分なりに考えて答えを出した。

何らかの代償が生まれるのだ。先に起こることを明らかにして対策をとっても、いずれ他の場所が崩れる。知っていてはうまくいかない。ソロはそれがわかってるんだ。

サマル「・・・・・・・・やっぱり・・あの壁の落書きって、・・・・・・・・・」

どうしてもその先が言いにくいのか、サマルはそこで言葉を詰まらせた。
オレは頷いて、その先を答えてやった。

レック「ああ、ソロがやった」

サマルが目を伏せた・・・。

レック「でもまあ正しくはソロじゃない方なんだけどな」

サマル「・・・。・・なんて言う人なの?」

レック「あいつはロベルタ・・ソロの弟とでも思ってくれ。・・まだ子供なんだ。子供のままあいつの時間は止まってる・・・。
だから頭の回転だけが早くて、まだ周りを見て行動したり人の気持ちを考えたりすることはあまりできない。今はこれで納得してくれ」

サマル「・・・・・・なんとなく、わかったかな」

レック「自分の存在に気付いて欲しかったんだと思う。でもソロがそれを許さなかったんだ、プライド高いから。で、それがエスカレートした形で・・・」

サマル「・・・・ムーンを、・・・・・・・・・・・・殺したんだね・・・・・・・・」

オレは胸が苦しくなった、今のこいつの心情を思うと・・・・・・・。

大切な人が殺された。突然、いなくなってしまった。
なのに殺した相手を恨むことも責めることも、きっとできない。
誰かを恨むなんて余裕はこの場にはないから。

・・かけがえのない人を失った悲しみと怒りを何にぶつけることもできない。

ただただ、乾いた虚しさだけが残る・・・・・・・・・・・。

レック「・・責めないでやってくれなんて言わないぜ。あいつは許されないことをしたからな」

サマル「・・本当にそうなの・・・?」

レック「え?」

サマル「本当に、あの人が殺したの・・・?・・あんな人が・・・・・・?」

・・・・・・・・・・・・・・・・。

レック「信じたくない気持ちもわかるけど・・。
・・・・・・・・・オレだって、信じたくないし実際今も信じられないんだ。ロトもそうだろうし、ソロだってああ見えてすごく気に病んでる・・・責任は全部自分にあるって」

サマル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

サマルは泣きそうな顔をしてうつむいた。

レック「・・・そうだ、お前にはこれも知っておいて欲しい。
ソロって時々ひどく咳き込んだり、ひどい時は血ィ吐いたりするだろ?あの丸い部屋でオレが針の中から見つけた液体は、簡単に言うとそれを抑える薬みたいなもんなんだ。
それで、あれがないと・・・・・・」

そう言いかけた時。

廊下の向こうから、誰かが急ぎ足に近づいてくる足音が聞こえた。

サマルも足音の聞こえる方を向いた。

レック「!? おい・・・!」

ふらふらとした足取りで、壁に手をつきながらソロがこっち来ようとしていた。

サマル「え・・・」

レック「・・何やってんだ、まだ休んでなきゃダメだろ・・」

オレは慌ててその体を支えに行った。すると目前で、ソロはガクリと膝を落としてその場に座り込んでしまった。

レック「・・・?」

声をかけようとした時、ソロはオレを見上げて

ソロ「・・・・・・・助けて・・・・・怖いよ・・・・・・・!」

!!

レック「・・・ロベルタ・・・?なんで・・・」



7日目 19時50分 ―サマル―


ソロ「知らない人がいる・・・ずっと見てくる・・・・・・・!」

突然床に座り込んで、今にも泣き出しそうな顔でレックさんを見上げている。

一瞬呆気にとられて、でもすぐに思い出した。
あの人だ。
どうしてまた・・・・・・・

レック「落ち着け。ソロはどうしたんだ?」

ソロ「わかんない、いなくなっちゃった・・・」

いなくなった?・・どういうことなんだろう。

ソロ「みんないなくなっちゃった・・・」

みんな?

・・レックさんはソロさんの前にかがんで、落ち着いた様子で話を聞いていた。

レック「ちょっと待て。知らない人が見てくるってどういう意味だ?」

ソロさんは首を左右に振ってうつむいた。

ソロ「知らない、見たことない人がずっと近くにいて、僕のこと見てくるんだ・・・
きっとすごく悪い人・・・・・・・お兄ちゃんと入れ替わるみたいにあれからずっと・・・!」

肩を震わせ、ついに泣き出してしまった。
小さな子供のように、両手の甲で目を押さえて・・・。

レック「でもまだ休んでなきゃダメだ、部屋に」

ソロ「やだ・・・!あの人がいる・・・!」

一層声を上げて、泣きじゃくり始めた。
さすがにただ事じゃない雰囲気を感じたのか、レックさんは・・・少しの間、困ったような顔をして視線を左右に泳がせたけど、しばらくしてから意を決したように、泣き続けるソロさんの頭を撫でて・・

レック「大丈夫だ。何も怖がることなんてない、オレたちがついてる」

ソロさんははっとしたように少し目を見開いて、・・少ししてから静かにレックさんの顔を見た。

ソロ「・・本当に・・・・・・?」

レック「ああ」

レックさんは穏やかな笑顔だった。