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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第26話

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―いいものが見られたよ。やっぱり彼の目は確かだ。素晴らしいね

―あら、あんたもう戻ってきたの。久しぶりね

―これはこれは。来てくれたんだねえ。うん・・・そうだね、1552年と198日43分12秒ぶりか。懐かしいねえ

―見てたわよ。ずるいじゃない、あんた一人だけお楽しみなんて

―いいじゃないか、減るものでもないんだしさ。それより、じきにもっと面白いことが始まるよ

―ふん、それだって特等席はあんたが独り占めなんでしょ。遅れてきたからって蔑ろにしないでよね

―ははは、そんなつもりはないんだけどねえ。まあもしよければ、君も遊んでみるといいさ

―いずれね。それにしても、粋狂なことをしたもんね

―ん?・・ああ、あの子のことか。きっと面白い反応をしてくれると思うんだ。それはそれは気の毒で痛々しくて、滑稽なね

―あんたもいい趣味してるじゃない。・・・くすくすくす・・・私も思ってたのよ、あの子はイイ顔をするわ・・・。本当に虐め甲斐がある。どこまでも堕としてやりたくなるわ

―ふふふっ、やっぱりねえ。楽しみだよ。これからどんなことが起こるのか想像するだけで、どうしようもなく素敵な気分になる

―ええ、楽しみだわ。本当に楽しみ。うっふふふふふ・・・・・・・







2日目 11時37分(8日目 01時55分) ―レック― 



・・・どういう・・・・ことなんだ・・・・・・?
ロベルタ・・・・・・!?

どうしてお前が・・・・・・!


ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

アレン「・・あれもお前一人に任せないといけないわけじゃないよな?
はは、さっきの礼だ。お前は下がってろ、俺たちで始末する」

エックス「そーだな、正直俺らも戦いたいし・・気楽にゆっくり見物でもしててくれ」

そう言いながらも、前に進み出たアレンたちは少しも笑ってなどいなかった。
あいつらは本当に責任を感じているらしい。

するとナインやアルス、アベルまでもが続いて前へ出た。
その表情は少し曇っている。
・・・無理もない。相手はソロと同じ姿をしているのだ。

オレは思わず叫んだ。

レック「ま・・・待ってくれ!違うんだみんな・・あいつは・・・」

ソロ「畜生ッ、そういうことかよ・・・・!!」

オレよりも大きな声で、しかし絞り出すようにソロは言った。
言ったというよりは、毒突いた。

ロト「・・・みんな、頼む。銃を下ろしてくれないか。あれは戦う相手じゃない」

状況を把握したロトが静かな声でそう言うと、みんなはそれぞれ少し困ったように顔を見合わせたり、ロトの方を見たりした。

サマル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

サマルは最初から銃を手に取ってはいなかったが、痛々しい表情でうつむいている。

アレン「・・・ロト様・・・何かご存知なのですか?」

ロト「・・・そうかもな。ソロ、・・・・説明するにはいい頃合いだぜ」

重く沈んだ表情で、ソロを見る。


すると。


「どうして・・・?どうして・・・?なんでみんなお兄ちゃんを庇うの!?
いっつもそうだ!!いつもお兄ちゃんばっかり・・・!!」

エックス「・・・・・え、っ・・・!」

アレン「何言ってやがるんだ、あいつ?」

エックスが目を見開いて凍りついた。
気付いちまったか。




━─━─第二十六話 Reverberation




レック「っ・・・・・ソロ・・・どうすれば」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ロベルタは少し下を向いた状態から、顔を上げた。


ロベルタ「・・許せない・・・・僕をひとりぼっちにしておいて・・・!
自分ばっかり!許せない!!」

次の瞬間、爆発的な突風がオレたちを襲った。
だが・・・

ソロ「!」

それがこちらに届くよりも早く、別の何かによってオレたちの体は持ち上げられたかのように宙に浮き、飛ばされた。
着地すると・・

レック「・・ソロ!!」

ソロだけが、まるで何かに弾き飛ばされたかのように吹っ飛んだ。
信じられない速さで壁に叩きつけられ、その部分は一瞬で大きく凹んで崩れた。

そして間髪入れず、めり込んだ壁からずり落ちかけたソロの体は不自然に浮かび上がり、直後、地面に埋まるほどの勢いで叩き落とされた。

ロベルタ「許せない・・・許せない・・・!!
嫌なことは全部僕に背負わせるくせに自分だけっ・・・!!」

ロベルタの顔は憤怒に染まり、目には涙が溜まっていた。

ロベルタ「本当は僕のことなんてどうでもよかったんだッ!!」

吐き捨てるように叫ぶと、右手を前に向け、何かを絞るように広げた指を折りたたんでいく。

ソロ「・・・ぐ・・・ぁ・・・・っ」

クリアで首を絞められているようだった。

ソロの右腕が縋るように伸び、ロベルタのほうに向けられる。
なんとか防いでいるようだ。そうでなければ、首など一瞬で握り潰されていただろう。

ロベルタ「もういい、死んじゃえッ!!そんなに生きてるのが辛いなら望み通り死なせてあげるよ!!」

ロベルタが吠えた、その時。

ソロの右手が、何かを切り払うように動いた。

その瞬間。

ロベルタ「っ!?」

血飛沫が飛ぶ。

オレは息を飲んだ。

ロベルタの右腕が、肘上あたりから切れて・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・地面に落ちたのだ。



・・・・・・・・・・・・ソロが喉元を押さえてむせ返りながら、よろよろと体を起こす。

そして苦虫を噛み潰したような顔でロベルタを見た。

ソロ「・・・・・・・・・すまない・・・・・・・」


ロベルタは体の力が抜けたようにその場に崩れ、座り込んだ。

そして目を見開き、なくなった自分の右腕を凝視する。
やがてぼろぼろと涙を零して・・・・

ロベルタ「・・・・いたい・・・・・・ぃたいよ・・・・ひっく・・ぅ・・・」

・・血が溢れ出すそこを押さえ、転んで怪我をした子供のように泣き出した・・・。

レック「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

誰も、何も言えなかった。

ソロはゆっくりと歩き出し、ロベルタに近づいていく。
そしてある程度進むと・・・立ち止まった。

ソロ「・・・・・お前の正しい心も、笑顔も、・・生きるべき道も、人の温かさも」

一言ずつ。

ソロ「・・・・何もかも奪ってしまったのは・・・この俺だ。本当に悪かったと思っている。
・・・だけどな・・・」

顔を上げ、ゆっくりと明かし始めた。

ソロ「お前が生まれたのは、俺のせいじゃない」

いつか話すはずだった、心の内。
誰にも言えなかった本音。

ソロ「お前が辛い思いをしたのも、自由に生きられなくなったのも、俺のせいだ。
それは間違いない。
・・だがお前が生まれてきたのだけは、俺のせいじゃないんだ。
・・・俺のせいじゃないんだよ・・・」

オレはその言葉に込められた意味を、静かに理解した。
そして涙を流した。


・・あまりにも残酷すぎた。
まっすぐに見てはいけないことをソロは見てしまったのだろう。
だが、そうせざるを得なかったのだ。そうでもしなければ、まともに受け入れることなんてできるはずなかった。

自分の運命を。