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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第26話

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ソロ「・・・・・運命、だったんだ。俺や他の奴らに決められることじゃなく。
だから俺が生まれたのもまた運命だ。どうやっても反論のしようがないんだ。
だから、・・・・・・・・・・・・・」


・・・・・・俺のせいでお前が辛い思いをすることも、運命だったんだ。


後に続くその言葉を言うのはついに耐え難かったらしく、ソロは口をつぐんだ。

何も隠さずに、自分の至った結論をそのままにさらけ出した本音だった。

それはあまりにも悲しく、忍びなく、残酷で・・・

あまりにも、真実だった。


ロベルタ「・・運命・・・?・・決まってた、こと・・・・?」

ロベルタの目が絶望に染まる。

ロベルタ「だったら何なの・・・・?僕って何だったの・・・・・?
今までずっと、ずっと・・・辛い思いして一体、
・・何のために・・・耐えてきたの・・・・!?」

大粒の涙が頬を伝い、地面に落ちていく。

ロベルタ「無駄だった・・・意味なんてなかった・・・・・・・・
どんなに我慢しても報われないなら僕が生まれてきた意味って何なの?
お兄ちゃんの苦しみのはけ口になるためだけに生まれてきたって言うの!?」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・」

ソロは、否定しなかった。
それは傲慢でも思い上がりでもなんでもなく、・・・ただ真実を受け入れた、そういう無言だった。

ロベルタ「・・・・・・・・・・・・・僕ね・・・・・・待ってたんだよ。
僕のこと知ってて、覚えてくれてる人がいて、お友達になってくれて・・・」

笑みを浮かべて、ロベルタはソロに語りかけた。
悲しみと絶望の青に染まりきり、白い部分などただの少しもない、そんな笑顔で。

ロベルタ「いつかお父さんやお母さんにも会えて、よく頑張ったね、偉いねって、言ってもらえて・・・・・お兄ちゃんとも仲直りできて・・・っ」

ソロ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ロベルタ「一緒にお絵かきしたり、お人形で遊んだり、追いかけっこしたりとか・・・いつかそんなふうになったらいいなって、ずっと思ってたんだ・・・・・・。
・・なのに・・・なのに・・・・・・・・」

それは許されないのだと。永遠に叶わないのだと。
知ってしまった。

ロベルタ「・・・・・・・・・ひどいよ、こんなの・・・!
こんなはずじゃなかったのに・・・こんなはずじゃなかったのに・・・!!」

打ちひしがれてくず折れ、声をあげて泣いた。

ソロは再び、ロベルタに向かって歩み寄る。

ソロ「お前にずっと謝りたかった。俺のせいでたくさん辛い思いをさせたこと。そして、それが必然であったことを。
・・・本当に、すまなかった。・・・でももう大丈夫だ」

ロベルタ「っ・・・」

ソロ「これからはずっと一緒だ。お前が不自由な時間はなくなる。
もう、2人には戻らない」

オレははっとして顔を上げた。
ソロは、座り込んだロベルタに手を差し伸べていた。

ソロ「罪を償うんだ。きっと許してくれる。たとえ許されなくても、もう二度と誤らないと誓えば認めてもらえる。
だから、一緒にいよう」

とても悲しげで、柔らかな声だった。

ロベルタは顔を上げ、少しだけ・・・・・本当に少しだけ、笑みを浮かべた。

それは永遠に続く冷たい闇の中に、一筋の救済の光を見出した・・・それでありながら見るに耐えないほど痛々しく、哀れな微笑だった。

ロベルタ「・・・・・・・・お兄ちゃん・・・・・・・・・・・・・・」

そして腕を上げ、差し伸べられた兄の手を取ろうとした。




・・・その時だった。




空を切る音。

走る赤い光。


・・・・・・・・・・何か鋭利なものが、何か柔らかいものを、貫く音。

それは、赤い光の線のようだった。


・・・ロベルタの背中から胴を貫いた。


ロベルタ「・・・・・・・・・・・・・え?」


ソロの胸や顔に血飛沫が飛ぶ。
その目の前すれすれを、赤い線は嘲笑うかのように通り過ぎ・・・・・

広がって蜘蛛の巣に酷似した形になると、ロベルタの体に巻き付いた。

ソロ「・・や・・・・・やめ」

目を見開いて口が半開きになったまま、ソロが掠れた声で言いかけた時。

蜘蛛の巣は移動しながらロベルタの体をへし折り、包み込んで、・・どんどんその体積を減らし・・・収縮していく。

骨が折れ砕ける音。ぐしゅっと血があたりに飛び散り、絞り出された肉片のようなものが蜘蛛の巣の隙間からこぼれ落ち・・・・・


ソロ「やめろぉ・・・・ッ・・・リトセラぁぁああぁぁああッ!!!」


ぐしゃっ。

原型を留めずに、滅茶苦茶に丸め込まれた肉塊から、はみ出るように手が生えていた。
ところどころ折れ、指先から血が滴り落ちている。

骨や内臓が突き出ているところもある。

水に浸した雑巾を絞ったみたいに、血が。血が。
それに混じって小さな肉片や骨も、地面に落ちて。

蜘蛛の巣が解けると、その中にあったどろどろのミンチになった何かが、落ちてきた。

それはもはや人体ではなくなっていた。
ひき肉の塊に異物が混じった奇怪な物体。

はみ出た指や骨の欠片、服の端が、それがもともと人であったことを思い出させるだけ。






2日目 12時11分(8日目 02時29分) ―ソロ― 


硬直した頬を、血の雫が伝って地面に落ちた。

目をそらすこともできずに、ただそれを見つめていた。

その時俺の中にあったのは、疑問だ。ただ、疑問が、疑問ばかりが浮かんでは消え、浮かんでは消え、・・その残骸は冷たい氷となって、煮えたぎるマグマとなって、少しずつ思考を侵食していった。

なぜこんなことになった?


ソロ「ぁ・・・あ・・・・・・・」


声が聞こえた。聞こえたのではなく、頭に直接響き、語りかけてきた。
あの破壊神の声だ。


『よかったね、邪魔者がいなくなって。それとも後悔でもしてるのかい?
・・・・・ふっ・・・くくくっ、おめでとう。これで君は晴れて自由の身だ』


笑い声が尾を引くように消えていった。


ソロ「・・・う・・うあぁぁ・・・・!」

何も考えられなかった。
何をしようとしたのか、何のためにそうしたのかわからない。

俺はロベルタのほうに走り出していた。


その時、目の前に光が走った。

突然体の支えがなくなったような感覚。

走り出した勢いそのままに、俺の体は前に放り出され、地面に叩きつけられるようにしてうつ伏せに倒れこんだ。

ソロ「・・・・っ!?」

肘で上半身を起こし、振り返る。

・・・両足の膝から下がなくなっていた。
血だまりが広がっていく。

その時初めて、これが自分の不注意のせいであることに気付いた。

「あっはっは、馬鹿だねえ!急に動くからだよ!」

今度はきちんと聞こえた。空間に響き渡る声。

・・・上空には、自らの持つ黄金色の鎌に腰をかけ、こちらを見下ろす破壊神の姿があった。

レック「なっ・・・・・!」

ロト「・・・!!」

リトセラ「しまい忘れてたのが跳ね返ってきたのさ。君でもそんな失敗をすることがあるんだねえ」