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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第28話

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MT.kWS遺伝子実験の詳細


MT.kWSとはヒトと、異次元にのみ生息する生物との混合生命体であることから、我々の生きる次元では細胞が適応できず、生まれてもすぐに息絶えてしまうことが多かった。しかし、YZアルカディアの最新研究結果から驚くべき新事実が発覚した。

国軍研究組織R・C(通称インタプリタ)が、異次元で発見した“生命の自然な営みにより発生したMT.kWSの個体”の細胞を採取し、ファストフォワードによって限界まで成長させた個体を所持していたというのである。
さらにその個体は生殖機能を失っておらず、天文学的確率で奇跡的に生まれた“原初体”であり、それに加え他の自発生完全体と決定的に異なる点を持っていた。

なんとその個体は、我々ヒトと言葉による意思の疎通が可能なだけではなく、これまでどの個体も例外なく持っていた「自分と自分の仲間以外の生命は視界に入れば即座に殺す」という行動式が適用されていないというのだ。それだけではない。

その個体は完成された自我を持っており、調査報告書によれば「性格は極めておとなしく他の物質・生命を傷つけることに恐怖を感じている」そうだ。

この発表により全研究機関は騒然とし、一時は混乱を極めた。
前代未聞の「人類に害をもたらさないRe.ar」の存在は、インタプリタ、YZアルカディアなど代表的研究機関の最高保護は勿論、政府の1級機密保護という世界初の最上級措置態勢を生み出した。

一部の研究者からは、「この世界に何らかの大革命が起きる前兆である」などという声も上がっている。

またRe.arの原初体は細胞の特徴や身体器官から「男性型」か「女性型」かを判断するだけであって、もとより性別というものが存在しない(どちらの型も単独で繁殖することができる)ため、今回発表された個体は自我を持っているという点でどちらを当てはめるかの判断が難しい。というのも、現在その個体は度重なる実験のストレスから、コミュニケーションをとることが困難な状態になっているとのことである。これも自我のあるこの個体のみに見られる事例だ。

―――――――――
――――――

最新の研究結果報告から、“奇跡の原初体”の型が判明した。
男性型であり、またこれまでにないほどヒトに近い身体構造をしているとのことだ。
そのため不要な臓器などは手術により切除し、生命活動に必要な全ては遠隔操作により行われることが決定した。
しかし興味深いことに、異次元から採取した細胞の影響か頭髪や瞳がこの世界には存在しない色素を持っており、自然発色では有り得ない色として我々の目には映るそうだ。

今回の件によって、停滞しつつあった異次元生物の研究は大きく前進したと言える。



――MT.kWS研究書“Jule(ジュール)”より










━─━─第二十八話 Stupefaction









5日目 08時57分 ―ロト―





そこは円形で、黒い部屋だった。
最初のフロアを終えてからほんの数分しか経っていないはずだが、何日も経ったかのような疲労感が体を包んでいる。
誰もがほとんど絶命寸前というところでこの部屋に辿り着き、ようやく使用を許された魔法で体力を回復したところだ。

・・・・・・壁からわずかに熱を感じる。手を当ててみると、ほんの少しだが振動しているようだ。

それにしても最も簡単だという最初のステージで、これほどまでに体力・精神力ともに削られるとは。
趣味が悪いなんてものでは到底ない。この先もっと過酷なことがいくつも待ち受けているのだ。

トライアングルの中心。ここでの選択の一つ一つが、俺たちの生き死にを左右する。それがどんなに些細なものであったとしても。

エックス「た・・・・・助かった・・・・・・・。うう、まだ痛い気がする」

サマル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

アベル「・・・・・・設計者は人間の体の構造を完璧に知り尽くしているようだったね。たぶん・・・この先は精神を試すものになると思う」

アレン「・・何故だ?」

アベル「順番があるんだ。人を苦しめたいときや服従させたいときに、どこをどんなふうに責めて行けばいいか」

エイト「・・・・・・・・テスト・・・・なんですね」

体が重い。振り返ると、レックがちょうど俺の方を向いて何かを言おうとしていた。
ひとまず聞こうと思いそのままでいると、・・・

レックが突然少しばかりふらついた。

次の瞬間にはその姿がふっと消えた。・・・・・・倒れたのだ。

どさりと音がした。

ロト「・・レック!!」

・・意識を失っている。一体何が・・・

エックス「・・なっ・・・おい、起きねーぞ・・・」

ソロ「・・・・・・・・・・疲労がたまったのかも知れない。休ませておこう」

アルス「えっ、・・大丈夫なの?」

ソロ「・・・本当は駄目だけどな」

ソロはそう言いつつぐったりしたレックを壁にもたれさせ、ため息をついた。
が、俺は見逃さなかった。

レックが倒れた直後、その隣にいたソロの手に何かが握られており、さっと服の中に隠されたのを。
確かあれは、注射器と呼ばれるものだった。

ソロ「・・・・・・よりによってこのタイミングでか・・・影響がないといいんだがな」

彼は平然と腕組みをし、そう言った。


――――――――――――
――――――――
――――






現れた扉の向こうに広がっていた空間は、あまりにも異様だった。
さっきと違って見た瞬間すぐに、その異常さが激しい不安感と恐怖となって記憶に染み込む。

・・かなり広いと言える。最初に耳に入ってきた大きな機械音は一定のリズムを刻み、刃物がこすれ合い勢いよく地面にぶつかる轟音を辺りに響かせている。
それが発せられているのは奥にある・・・・無数に並んだ巨大なギロチンに似たものからだろう。

しかしその機械のユニットは宙に浮いている。
俺たちが今いるのは吹き抜けになっている2階だ。
下の通路は迷路のようになっていて、高い壁とその上部にある電棘線が通路同士の干渉を阻んでいた。

また煙か蒸気のようなものが、通路の壁の様々な場所から一定間隔に吹き出たり止まったりしている。向かいにある壁がどれも溶けて爛れ変色しているので、あれを浴びればただではすまないことがわかった。

周りを見渡してみると、得体の知れない液体が入った巨大なボトルのようなものが天井や壁に並び、それぞれから何十本もの管が伸びていたる所に繋がっている。

ソロ「・・スクイーザールームか。これが2つ目に来るなんて・・・どうなってる」

ソロが前方の手すりに両手を置いて、下の大きな空間を恨めしげに見下ろす。

と、その時。

俺は、ある箇所の床の色が変わり始めたことに気付いた。

ロト「!」

後ずさり、それを見つめると、どんどん床の色が変わり・・・何かの模様を描いているようにも見えるが。・・・・いや、違う・・・・これは文字だ。

みんなも気付いたようで、同じように床を不安げに見ていた。


behind your time


エックス「・・・・あなたの時間の・・・後ろ・・・?」