ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第28話
それは骨と骨の間に挟まっていた。まわりの肉と同じ色をしているが、光沢があるので見ればすぐにわかる。無我夢中でそれを手の中から引き抜き、文章の書いてあった壁にある鍵穴に挿した。そしてタイマーの『12』という数字を確認してから、痛みをこらえて回した。
5日目 09時34分 ―ロト―
全員が迷路のユニットをクリアした。幸い移動が不可能になるほどの怪我をした者はおらず、死者も出ていない。これで2つ目か・・・
ロト「ソロ、あとどれくらいあるんだ?」
ソロ「3つってとこだ。・・・ここからが本番だな」
2つのユニットをクリアした時点で誰も死んでいない、致命傷を負った者もいないという点から、この先一気に難易度が上がると推測できる。そういうことか。
エックス「あと3つか。・・・この調子でいけるといいなあ」
ソロ「それは・・・難しいぞ、はっきり言って。クリアした2つを10回やり直しても足りないくらいだ」
いつの間にか、ソロは俺たちと同じ足場まで降りてきていた。
ソロ「ここからは俺も無傷じゃ済まなくなる。半端な気持ちで挑むと精神の方をやられるからな」
横目で、時間を巻き戻す装置を見た。まだ1度も使っていないが・・・
アレフ「・・・・・・・あれは・・・・」
ソロ「・・・フリーザールームへの入口だ。おそらく次のステージにあれが来るんだろう」
奥の方にある、くすんだ青色の扉を見た次の瞬間。
ロト「・・・・ッ!!?」
エックス「うぅ・・・!!」
部屋全体が大きく揺れ、鼓膜が破れそうなほどのけたたましいサイレン音が鳴った。
ソロが何かを叫んでいるようだったが、鳴り響く轟音にかき消され何も聞き取れない。
その時、前方の床が突然崩れ始めた。ボロボロと割れて下に落ちていき、あっという間にこちらまで・・・
とっさに後ろに移動しながら、皆に壁の方まで下がるよう促した。すると逃げ遅れたサマルが、崩れた足場とともに落ちていくのがスローモーションで視界の端に映る。
床を蹴り、間一髪のところでサマルの手を掴んだ。するとそれを合図としたかのように、床の崩れがピタリと止まった。
サマル「ロト様・・・!」
サイレン音が徐々に小さくなり、声が聞き取れるようになった。
そして床の残骸が落ちていくその空間を見て、俺は絶句する。
数メートル下の空間には、数え切れないほどの・・・何かの装置があった。だが見た瞬間、そこに落ちた者がどうなるかわかる装置だ。
下の地面に突き刺さった棒のような軸に、そこから生えるように大きな刃が何枚もついていて・・・それが高速で回転しているのだ。
似た構造の風を送る装置が前の屋敷にあったのを覚えているが・・・
それが下の地面を覆い隠すようにあるのだ。
サマル「ごめんなさ・・・・っロト、様・・・?」
ロト「・・・・引き上げるぞ。・・・下、見るなよ」
俺の表情の変化を読みとってか、サマルが不安げに眉をひそめる。
とりあえず安全を確保するためサマルを床の上まで引き上げた。