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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第30話

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それらは真正面からぶつかり、まばゆい光を放って相殺した。

直後、その光を破って2人同時に最大出力のギガデインを放った。

行動のずれをリセットされた悔しさで、この時俺は舌打ちをした。

轟音と共に、周りの壁や地面が崩壊して崩れる。
その向こうには暗闇が広がるばかりだ。
だがその景色に驚いている暇はない。

俺が先に落ち、その暗闇に吸い込まれていく。

それを追って相手も落ちてくる。

2人とも、ぎりぎりで手に取ったアサルトライフルを相手に向かって撃ちながら。

破壊神たちはこうなることも予想していたのか、そこにはご丁寧に新たなフロアができていた。
暗闇が続く空間の中に、大小様々な大きさと色の単体の歯車のようなものが無数に浮かび、回っている。

足場はそれだけだ。下に落ちればどうなるかわからない。

俺は銀色の歯車に着地すると同時にそれを蹴り、自分に向かって落ちてきているであろうそいつに向かって飛び上がった。同時に、アサルトライフルを振りかぶって殴りかかる。

鋭い金属音と共にそれは阻まれ、擦れ合う金属が火花を散らす。
だが次の瞬間、ものすごい力でライフルを持った右手首を掴まれ、相手が重力に従って落ちる勢いそのままに体を横に投げ出された。

当然ながら、自分と同じで相手の腕力が並ではないことは知っていたが、咄嗟かつ一瞬の判断でここまで・・・自分と同じ体重の人間を片手で投げられるほどの力を出せるとは。

この時はさすがに驚いたものだ。しかし感心するばかりで何もしないわけにはいかない。

自分がどこへ向かって投げられたかわかった。
すぐ近くに迫っている・・・ひときわ高速で回転する歯車が重なっている場所だ。
巻き込まれればひとたまりもない!

俺は自分の下に向かってイオラを撃ち体を浮かび上がらせると、投げ出された格好のまま2つの歯車の中心に銃口を向けた。

1秒と経たない間に全神経を指先に集中させる。狙った場所に確実に弾を当てれば・・・

・・・ガキンッ、と何かが挟まったような音が響き、歯車の動きが止まった。

うまくいった、と心の中でガッツポーズをし、止まった歯車の上に降り立つ。
が、銃の弾なんてものではこの状態は数秒ともたない。すぐに違う歯車へと飛び移った。
直後、2つの歯車の間に挟まっていた弾が潰れ、それらは再び高速回転を開始する。

俺のすぐ背後を、相手が撃った銃弾がかすめていく。
だが、今はまだ相手は落ちている途中で体勢を整えにくいだろう。

俺は歯車を思い切り蹴り、空中を一直線に飛んで、防御不能状態にある相手に向かってギガデインを放った。

・・直撃!
さすがに今すぐ反撃はできないはず。俺はライフルを両手で持つと、相手を暗闇の底に叩き落とそうと振り下ろした。

だがその瞬間光が目の前を走り、ライフルは何もない虚空を切り裂いた。

驚きを隠せず一回転して振り返ると、あいつはかなり離れた歯車の上に立っていた。

それだけではない。その体の前には、同じアサルトライフルがいくつも浮かんでいるのだ。
銃口は全て俺に向いている。

どういうことだ、と俺は一瞬固まってしまった。
それを見逃さず、あいつが銃を撃つ。と同時に浮かんでいる無数の銃も一斉に俺に向かって発砲した。

空中ではよけることもできず魔法の詠唱も間に合わない。
どうすることもできず、一斉射撃をまともに食らった俺は血を噴き出しながら落ちていった。

が、すんでのところで意識はあった。かなりの魔力を込めて下にイオラを撃つ。
反動で体が浮かび上がる間にベホマをかけ、相手の姿を探した。

そして俺はさらに自分の目を疑うことになる。

あいつは、宙に浮かんで静止していた。
その背後には、金と橙の混じったような髪をもつ青年の姿をした破壊神―今は奴の名前がリトセラだと知っているが―がいたのだ。

リトセラの姿が消えた途端、あいつの足元と背後に巨大な魔法陣が現れた。血のような色をした、かなり複雑な・・・見たこともないものだった。

俺が歯車に着地して身構えたその時、その魔法陣から赤い光と共に収束した魔力が放たれた。

咄嗟にマホステを唱えたが、どういうわけか効かずにそれはシールドを突き抜け、俺の体を貫いた。

今にして思えばあれはリトセラの魔力を借りてやっていたのだから効かなくて当然なのだが。

瀕死から回復した直後に、また瀕死。

どうもおかしい、ということには随分前から気付いていたが・・・・
まさか破壊神の力を借りていたとは。

あとからわかったことだが、“犠牲者”は死後に魂を破壊神に譲ると契約することで、その魔力を吸収し強大な力を得ることができるのだという。

俺は歯を食いしばり、またベホマをかける。

急に相手のことが腹立たしく思えたのだ。

・・・・・大切な仲間を守りたいのはよくわかる。実際、俺もそれを目的に動いているのだから。
だが・・・・・

そのために破壊神に魂を売って、それでみんなを救えたとして・・・満足か?

俺は歯車を蹴り飛び上がって、魔法で勢いをつけつつ相手との距離を詰めていく。

すると再び赤い魔力砲が放たれ、俺の左半身はすべて蒸発した。だが怯むことなく回復し、そのまま突進を再開する。

相手は俺を見て、少し気味悪がっているようにも見えた。今度は右手を高く上げ、上空に魔力の塊でできた刃を無数に出現させる。
そしてその手を振り下ろし、それらを俺に向けて飛ばす。

俺は防ぎもしないで、すべて真正面から食らった。腕は千切れ、脚は潰れ、体中切り刻まれても、すぐに回復し動き続けた。

それで相手はだいぶ焦ったと見える。後ずさり、右手を大きく振り払った。

するとさっきよりも大きな刃がいくつも、俺の心臓の周りを取り囲んだ。
すぐにそれらは動き出し、一気に胸を貫いた。

俺は行動不能になり、そのまま落ちていく・・・・・ふりをした。

俺が死んだことを確認しようと、相手が魔力を収めたその瞬間を狙って。

自分にベホマをかけ、ぶら下がっていた歯車に飛び乗り――
一瞬で、相手の目の前まで詰め寄った。

銃口を、そいつの左胸にあてがって。

驚愕の表情で俺を見つめるそいつに向かって、俺は言い放った。

お前の負けだ、と。

そして・・・発砲。

魔法で回復ができないよう、倒れ込む相手の喉を完全に切り裂いた。

・・・・・・そいつが動かなくなったのを見届け、俺は鍵を奪った。

そして上を見上げ、今の戦いを見ていたであろう破壊神たちに向かって勝利したことを報告したのだ。











正直、人を殺すことに傷つくにはあまりにも今更だ。
今の俺にそんな資格はないのかも知れない。

けれど・・・・・俺はこの罪を背負って生きる。
そして、みんなを救う。

犠牲になった他の世界の自分たちのためにも、必ず目標を達成してみせる。


そのためには・・・・・まだ俺は不完全だ。
だから、決めた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・
ありがとう、レック。

今日夢の中で話すのが最後になるだろう。でも、誰にも言わないでおくよ。
お前にも。