ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第31話
明日になれば、こうして触れ合うことも永遠にできなくなる。
思い出したくない。
その事実を少しでも忘れたくて、俺はレックの手を引いて扉を開けた。
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8日目 15時34分 ―ロト―
サマル「・・・あ」
サマルの見た方に目を向けると、レックとソロが歩いてきていた。
少し前にここに来て本を読んでいたアベルが顔を上げた。
アベル「・・・2人とも、もう平気なのかい?」
レック「ああ。もう大丈夫だ。心配かけてごめん」
ロト「そうか。・・・・何かするべきことは見つかったか?」
レック「・・・いいや・・まだ何も」
その時ソロが、返事をしたレックを見た。
なぜか怪訝そうに周囲を伺っている。
レック「・・どうかしたか?」
ソロ「・・・・・・いや」
ロト「ソロ?・・・・・・何を話してたんだ?」
レック「ああ・・・・・少し状況の整理というか。お互いのするべきことを再確認した」
レックの言葉を聞いた途端、ソロがはっとしたように俺を見た。
これ以上ないほど目が合い、だがソロは微動だにしない。
ロト「・・・・・・・・ソロ・・・?どうした?」
ソロは答えず、視線を外す。
ソロ「・・・・・・・・・レック。・・・ここにいるのは何人だ?自分を入れて」
レック「へ?・・・・・そりゃ・・・6人だろ」
確かにレック、ソロ、アベル、アレン、サマル、俺の6人だ。
一体どうしたんだ?
ソロ「・・・・・そうか。・・・・そうだな」
・・・・・・・・・・・・・そういうことだったのか。
ソロはそう呟いた。
そして俺の方を見て、目を伏せた。
数秒経ってから顔を上げ、しかし視線は床に向けたまま言った。
ソロ「・・・レック、来てくれ。伝えたいことがある」
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8日目 15時48分 ―レック―
レック「・・・なあ、どうしたんだ?」
リビングを離れ、2人だけになってから訊いた。
ソロ「今初めて知った。もう俺が完全に人間じゃないからわかったことだと思うが」
一度下を向きかけ、けどすぐに顔を上げ・・・オレの目を見た。
ソロ「・・・さっきあの場にいた人数は5人だ。
このゲームが始まった時から、生存者は11人しかいなかった」