ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第34話
そしてそうすることが本当に必要かどうかも、まだ考える必要がありそうだ
―・・・・・神を愚弄する気か?お前如きすぐに、存在した記録すら残さず消し去ることができるのだぞ
―ああ、そうしてくれて結構。むしろ消して欲しいくらいだ。
・・・・・・本当にできるなら、の話だが・・・・・な
―うん。この段階で彼を削除するのはまずそうだ、ウイル。
許可が下りるとは思えないし、それに・・・ふふふっ
―・・何だ、一体
―うふふふっ・・・・・何って、面白そうじゃないか!
最初はただの人間に過ぎなかった存在がここまで・・・神と張り合って交渉を行えるまでになったんだよ?僕としては頗る興味深い!
今までよりずっと見応えのあるゲームにできそうだと思わないかい?
―・・・・・はぁ・・・・・・お前という奴は・・・・・・・
―何度も同じことの繰り返しで、いい加減飽き飽きしてたところだったんだ。
退屈だったんだよ。それを紛らわせてくれるならこんなに嬉しいことはないね!
僕にとってはまさに救世主だよっ
―それじゃあ俺としても、せめてポップコーン片手に笑顔で見てる余裕をなくすくらいには話を盛り上げないといけないな。
・・一度は負けた身だ。チャンスをくれた恩返しに、まずはその退屈を出来うる限り紛らわせる努力をしよう。
・・・・そしていつかは、長年忘れているだろう“敗北”をプレゼントしてやる
―いいねえ・・・期待して待ってるよ。
でもそこまで言い切ったんだ、もし結果が僕の予想の範疇を超えていなければ、その時は・・・君が一番苦しむ最悪の世界に永遠に閉じ込めてあげるからね?
―ああ。望むところだ
―また勝手なことを・・・。・・それで、どうするんだ。注意書きは。消しに行くのか?
―まさか!そんな勿体無いことするわけないじゃないか。せっかく楽しくなりそうなのにさ
―・・・・・・・・・お前なぁ・・・・・・・・
―そうか、何よりだ。じゃあその機嫌を保ったまま観客席に引っ込んでくれれば、もっと嬉しいんだけどな
―残念ながらそうはいかないね。決まりは決まりだ。
んー・・・でもなあ、僕とは既に戦ったしなあ。・・・・んん?
―・・・・・・・・何故俺を見る・・・・・
―よしっ、決めた。君やりなよ。
こっちサイドとしては一応止めにかからないといけないから
―な、何を言い出すかと思えば・・・!
お前一体どこまでッ
―い~じゃん、どうせ暇だろ?ここは裏方だし、止めたっていう既成事実さえあればいいんだから!
―・・・・・・・・。・・・もはや怒りも呆れも起こらんな。まったく。
・・まあそんなお前でも一応は上司だ。命令には従わねば・・・・・
―破壊神のくせに生真面目な奴だな。
ウイルラトア・デラウアタス。・・・この100年以内に新しく配属されたにも関わらず、序列第4位・・・さらにバルタエンクの評議会員でもある。なるほどなあ。
そんなエリートが相手とは光栄の至りだが。まあお手柔らかに頼むぜ
―ええ!?バルタエンクの・・・初耳だよ!
そうだったのか、どうりで細かいこと気にするわけだね
―ぐっ、よりによって一番厄介な奴に・・・。
・・・・・・貴様、まさかこの俺の因果律を計算ずくで割り出しているというのか。
概念にそんなことが可能だと・・・?
―不可能でないなら、俺にはできる。可能性が完全にゼロでなければ。
つまり、俺はそういう概念なんだ。手段を選んでる余裕はない
―・・すごい。君の進化の早さには驚かされてばかりだよ。うかうかしてるとあっという間に因果律ごと分解されそうだ。
じゃあ、まあそんなわけでウイル、頼んだよ。僕はとりあえず彼女を全力で止めに行ってくるから
―なっ。・・・・・・・・。
・・・・・・・はぁ・・・・・・・・厄介なことになった
―全くな。上がああだと嫌でも下がしっかりするんだろ。
・・さて、どうする?5・6回くらい殺されてもいい程度には準備してきてるぞ。遠慮はいらない。憂さ晴らしでもしたらどうだ
―お前もお前でかなりおかしいな。・・・まあ、悪くはないか。たまには
―ああ。ストレスなんか溜め込んでもろくなことないからな
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