ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第36話
初✩本編前のトロもずからの警告
もずくです。これまでの話でもなかなかに気持ち悪いシーン(スプラッターシーンなど)がバシバシ出てきましたが、今回はまた一段とひどいと思われます。
今更遅いですが改めまして、
今作には暴力的・グロテスクなシーンや人によっては非常に不快に感じられるシーンがあります。スプラッターとは違う種類のものです。
苦手な方は、この36話は飛ばしてくださって構いません。また何があったのかだけ知りたい方は最後のあとがきのみお読みください!
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
??? ?????疑ぁ?????目????
・・・・扉を開けて一歩踏み出すと、ぱしゃ、と水溜りを踏んだような音がした。
サマル「・・・・・・ひ、っ」
・・赤い。血・・?
血のような液体が地面を覆い尽くしている。
そこは薄暗いホールのような場所で、壁にはずらりと同じ扉がいくつも並んでいる。
赤い液体は扉の隙間から溢れてきているようだった。
・・・歩いていくとだんだん深くなっていく。
向こうの方まで行ったらどうなるんだろう・・・・・
ぱしゃん
・・え。っ!?
サマル「――!!」
突然血だまりの中から何かが伸びてきて、ボクの顔を掴んだ。
・・手・・・半透明な青白い手だ。
すると他の場所からも同じ手がたくさん、一斉に伸びてきて、僕の手足や肩を掴み・・・
サマル「・・・―っ!むぐ・・・・ぁ・・・ぐ」
肩を掴んでいる手と顔を掴んでいる手が、真逆の方向に力をかける。
ミシ、と変な音がした。
サマル「い・・・っや、やめ・・・ぁがッ・・・!」
痛い!痛い!嫌だ、誰か!!
・・たすけて、と叫びそうになった時、はっとした。
床に取り落としたあの本が開いてる。
必死に顔の手を振りほどいて見ると、
に くい
こ のからだ が にく い
に く ら し い
・・・!!
ボクは怖くなって体を滅茶苦茶に動かし、手をなんとか全て振りほどいた。
急いで本を拾い駆け出す。
バシャバシャと血溜りの中を進み振り返ると、青白い手たちは蠢きながら、恨めしそうにこちらを向いていた。
サマル「はぁ・・・はぁ・・・・・。・・・・・・・?」
膝上くらいまで血に浸かりながら周りを見てみると、一つの扉の横から手が生えていた。
半透明ではなく肌色の、普通の手・・だけど、傷だらけだ。
ボクの方に向かってゆっくり手招きしてる・・・。
サマル「・・・・・・・」
・・・いいのかな・・・・
でも、もう戻れないし・・・。
━─━─第三十六話 Period
ボクはその扉の方へ進んでいった。上半分くらいしか見えていない扉。
どんどん深くなって、血が腰上まで来た。扉、開くのかな。
取っ手に手をかけて押したり引いたりしてみるけど、びくともしない。
やっぱりだめか・・どうしよう。
誰かに腕を軽く叩かれた。
・・見るとあの手だ。傷だらけの。
僕が気付くと、今度はボクの腕を少し強めに引っ張って、けれどすぐに離した。
何もしないでいると、手はまた同じように僕の腕を引っ張って、離す。
・・・何だろう?
サマル「・・・どうしたの・・・・・?」
手はまたボクの腕を掴んで、くい、くいっと2回引っ張った。
・・・あ、もしかして。
サマル「・・同じようにやれってこと?」
手はボクの腕を引っ張らなくなった。
きずついた うでが ある。
ひきぬいて みますか?
はい いいえ
はい
ボクはその手を掴んで軽く引いてみたけど、特に何も起きなかった。
今度は両手で掴んで、両足に力を入れ、思いっきり引っ張ってみた。
すると“ズズッ”という嫌な手応えとともに手が少し伸びた。
・・さらに引っ張る。
腕はどんどん伸びて、やがて全然手応えがなくなった。
サマル「・・・・・あ」
水が流れる音がする。
ボクは血溜りのかさが徐々に減ってきていることに気付いた。
・・・・・・血が全てなくなると、穴が見えた。小さな穴。
多分ここに、この腕が挿さってたんだ。
腕はすごく長い。どこもかしこも傷だらけで・・・・・。
・・・・・! なんだろうあれ、人・・!?
部屋の角のあたりに誰かがうなだれて座り込んでいる。
・・・・でもよく見ると・・・人形だ。木で出来てる。血まみれだけど・・。
・・・ボクは扉を開けて中に入った。
その部屋はあまり広くはなかった。けど・・・・
いたるところに小さな木の人形がある。でも、みんな顔がない・・・。
顔のところだけ壊されて空洞になってる。
顔のない人形で埋め尽くされた部屋・・・・・。
サマル「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・嫌だな・・・・怖いな・・・・・・。
ここで何をしたら・・・?
ドンッ
サマル「ひィッ!?」
背後のドアがものすごい力で叩かれた。驚いて振り返る。
拳で殴ってるみたいだ。何度も何度も、扉が壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに激しく。
何も出来ずに立ちすくんでいたら、やがて音は止まった。
体が冷たい・・・。
けどボクはもう一度部屋の中を見て、さらに震え上がることになった。
サマル「・・・・・・・!!!」
・・顔のない人形が皆、ひとつ残らずボクの方を向いている。
サマル「・・・・・ひ・・・・・・っ」
何も起こらない。ただじっと、ボクの方を向いてる・・・・。
すぐにでも部屋を出たかった。でも扉が開かない。閉じ込められた!
サマル「な・・何・・・・!?」
まさか、罠・・・・!?
・・!もしかして・・・・
・・・怖かったけど、ボクは手に持っている本を開いてみた。
なん
で たすけ てく
れなか た
・・・・・え?
なに もみえ な
い なに も
き こえな い
・・・白いページに、文章が現れては消える。
そして、勝手にページがめくれた。
ずっ と こわ か
った だ れもし な せた く
なか った
にく い じぶ
ん が にく ら し い
お ま えが
し なせ た
・・・・ボクは顔を上げた。人形たちの顔に空いた穴から、青い液体が溢れてきていた。
それは床に落ち、ボクの足元へと流れてくる。
おま えの せ
い だ
サマル「!」
・・人形が動き出した。一番手前の一つだ。
反対側にある対の人形も動き出す。
そして片方が、歩いてくる片方を手で叩いた。
叩かれた人形は簡単に壊れ、破片になって床に転がった。
・・・・・・ボクは背後の扉にもう一度手をかける。
・・・・? 開くようになってる・・・。
さっき扉を叩かれたのを思い出してドキッとしたけど、怖いのを飲み込んで取っ手を引いた。
・・部屋の角には大きな人形がまだ、さっきと同じように座り込んでいた。
もずくです。これまでの話でもなかなかに気持ち悪いシーン(スプラッターシーンなど)がバシバシ出てきましたが、今回はまた一段とひどいと思われます。
今更遅いですが改めまして、
今作には暴力的・グロテスクなシーンや人によっては非常に不快に感じられるシーンがあります。スプラッターとは違う種類のものです。
苦手な方は、この36話は飛ばしてくださって構いません。また何があったのかだけ知りたい方は最後のあとがきのみお読みください!
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
??? ?????疑ぁ?????目????
・・・・扉を開けて一歩踏み出すと、ぱしゃ、と水溜りを踏んだような音がした。
サマル「・・・・・・ひ、っ」
・・赤い。血・・?
血のような液体が地面を覆い尽くしている。
そこは薄暗いホールのような場所で、壁にはずらりと同じ扉がいくつも並んでいる。
赤い液体は扉の隙間から溢れてきているようだった。
・・・歩いていくとだんだん深くなっていく。
向こうの方まで行ったらどうなるんだろう・・・・・
ぱしゃん
・・え。っ!?
サマル「――!!」
突然血だまりの中から何かが伸びてきて、ボクの顔を掴んだ。
・・手・・・半透明な青白い手だ。
すると他の場所からも同じ手がたくさん、一斉に伸びてきて、僕の手足や肩を掴み・・・
サマル「・・・―っ!むぐ・・・・ぁ・・・ぐ」
肩を掴んでいる手と顔を掴んでいる手が、真逆の方向に力をかける。
ミシ、と変な音がした。
サマル「い・・・っや、やめ・・・ぁがッ・・・!」
痛い!痛い!嫌だ、誰か!!
・・たすけて、と叫びそうになった時、はっとした。
床に取り落としたあの本が開いてる。
必死に顔の手を振りほどいて見ると、
に くい
こ のからだ が にく い
に く ら し い
・・・!!
ボクは怖くなって体を滅茶苦茶に動かし、手をなんとか全て振りほどいた。
急いで本を拾い駆け出す。
バシャバシャと血溜りの中を進み振り返ると、青白い手たちは蠢きながら、恨めしそうにこちらを向いていた。
サマル「はぁ・・・はぁ・・・・・。・・・・・・・?」
膝上くらいまで血に浸かりながら周りを見てみると、一つの扉の横から手が生えていた。
半透明ではなく肌色の、普通の手・・だけど、傷だらけだ。
ボクの方に向かってゆっくり手招きしてる・・・。
サマル「・・・・・・・」
・・・いいのかな・・・・
でも、もう戻れないし・・・。
━─━─第三十六話 Period
ボクはその扉の方へ進んでいった。上半分くらいしか見えていない扉。
どんどん深くなって、血が腰上まで来た。扉、開くのかな。
取っ手に手をかけて押したり引いたりしてみるけど、びくともしない。
やっぱりだめか・・どうしよう。
誰かに腕を軽く叩かれた。
・・見るとあの手だ。傷だらけの。
僕が気付くと、今度はボクの腕を少し強めに引っ張って、けれどすぐに離した。
何もしないでいると、手はまた同じように僕の腕を引っ張って、離す。
・・・何だろう?
サマル「・・・どうしたの・・・・・?」
手はまたボクの腕を掴んで、くい、くいっと2回引っ張った。
・・・あ、もしかして。
サマル「・・同じようにやれってこと?」
手はボクの腕を引っ張らなくなった。
きずついた うでが ある。
ひきぬいて みますか?
はい いいえ
はい
ボクはその手を掴んで軽く引いてみたけど、特に何も起きなかった。
今度は両手で掴んで、両足に力を入れ、思いっきり引っ張ってみた。
すると“ズズッ”という嫌な手応えとともに手が少し伸びた。
・・さらに引っ張る。
腕はどんどん伸びて、やがて全然手応えがなくなった。
サマル「・・・・・あ」
水が流れる音がする。
ボクは血溜りのかさが徐々に減ってきていることに気付いた。
・・・・・・血が全てなくなると、穴が見えた。小さな穴。
多分ここに、この腕が挿さってたんだ。
腕はすごく長い。どこもかしこも傷だらけで・・・・・。
・・・・・! なんだろうあれ、人・・!?
部屋の角のあたりに誰かがうなだれて座り込んでいる。
・・・・でもよく見ると・・・人形だ。木で出来てる。血まみれだけど・・。
・・・ボクは扉を開けて中に入った。
その部屋はあまり広くはなかった。けど・・・・
いたるところに小さな木の人形がある。でも、みんな顔がない・・・。
顔のところだけ壊されて空洞になってる。
顔のない人形で埋め尽くされた部屋・・・・・。
サマル「・・・・・・・・・・・・・・」
・・・嫌だな・・・・怖いな・・・・・・。
ここで何をしたら・・・?
ドンッ
サマル「ひィッ!?」
背後のドアがものすごい力で叩かれた。驚いて振り返る。
拳で殴ってるみたいだ。何度も何度も、扉が壊れてしまうんじゃないかと思うくらいに激しく。
何も出来ずに立ちすくんでいたら、やがて音は止まった。
体が冷たい・・・。
けどボクはもう一度部屋の中を見て、さらに震え上がることになった。
サマル「・・・・・・・!!!」
・・顔のない人形が皆、ひとつ残らずボクの方を向いている。
サマル「・・・・・ひ・・・・・・っ」
何も起こらない。ただじっと、ボクの方を向いてる・・・・。
すぐにでも部屋を出たかった。でも扉が開かない。閉じ込められた!
サマル「な・・何・・・・!?」
まさか、罠・・・・!?
・・!もしかして・・・・
・・・怖かったけど、ボクは手に持っている本を開いてみた。
なん
で たすけ てく
れなか た
・・・・・え?
なに もみえ な
い なに も
き こえな い
・・・白いページに、文章が現れては消える。
そして、勝手にページがめくれた。
ずっ と こわ か
った だ れもし な せた く
なか った
にく い じぶ
ん が にく ら し い
お ま えが
し なせ た
・・・・ボクは顔を上げた。人形たちの顔に空いた穴から、青い液体が溢れてきていた。
それは床に落ち、ボクの足元へと流れてくる。
おま えの せ
い だ
サマル「!」
・・人形が動き出した。一番手前の一つだ。
反対側にある対の人形も動き出す。
そして片方が、歩いてくる片方を手で叩いた。
叩かれた人形は簡単に壊れ、破片になって床に転がった。
・・・・・・ボクは背後の扉にもう一度手をかける。
・・・・? 開くようになってる・・・。
さっき扉を叩かれたのを思い出してドキッとしたけど、怖いのを飲み込んで取っ手を引いた。
・・部屋の角には大きな人形がまだ、さっきと同じように座り込んでいた。