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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第37話

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ソロ「ああ、だって俺はそもそも生き物じゃないからな。そこらへんの原子をかき集め、練り固めて造られた人形だよ。ランク分けしたら俺は“物質”、お前は“生命体”。俺よりお前の方がランクが高い・・・・はずだった」

今までは。・・極めて不快そうに、ソロはため息をついた。

レック「・・どういうことだ?」

ソロ「・・・うーんとな、俺はちょっと色んなことに手を出しすぎたらしい。“物質”の分際で高次元の問題に首を突っ込みすぎてな。それじゃあ上にいる奴らの面目が立たない。仕方ないから上に交渉して、俺を“概念”に昇格してもらったってわけだ」

レック「・・は?え・・?ちょ、それ・・やばいんじゃねえの・・・」

ソロ「やばいよ。“物質”が“概念”に昇華するなんて前代未聞だったらしくてな。何が起こるか上層の神々にも見当がつかないそうだ。ここから考えると只者じゃなかったのは俺じゃない、ソロだ。なにせ俺はソロが書いた計画書に従って動いてるだけだからな」

・・・・待て。ソロは確か、自分の目標・目的を、たとえ何があろうと必ず成就させるということを誓い、そのためだけに自分を捨て、こいつを造った。
つまり、それは・・・

ソロ「俺が“概念”になったことで、今のところ宇宙にもたらされた変化は2つ。
ひとつは、「可能性が完全にゼロでなければ、それは100%以下の全ての可能性に変化しうる特性を持つ」こと。つまり、すべての並行世界のうちどれかひとつでも起こる可能性がゼロより大きければ、すべての並行世界において起こる確率が0<X≦100%になる」

レック「お・・・おう。なんとなくわかった」

ソロ「簡単に言うと、「絶対無理じゃなければできなくはない」。なんつうか、当たり前だろ?」

レック「・・ああ、至極当然だな」

ソロ「厄介なのは2つ目だ。・・今俺が言った“平行世界”って言葉。
これを、生み出しちまったってことだ」

レック「・・・・・な・・・・!!」

・・・・嘘だろ?それじゃおかしい・・・おかしいじゃないか。その平行世界って概念のせいでソロは、他の世界の自分たちを皆殺しにする羽目になったはず・・!!

ソロ「おかしくなんかないさ。なにせすべての時間軸に影響が出るんだからな。はは、きっと今頃上の奴ら大忙しだぜ。神も天使も総動員して、過去も未来もあれこれ修正、修正、修正の嵐だ。いい気味だな」

レック「そんな・・・。・・・ソロは・・そこまでわかってて・・・」

ソロ「ああ。気付いた時はさぞ悔しかっただろうよ。死に物狂いで殺しまくって苦しみ抜いたのが全部自分のせいだったんだからな。いや、違うか・・むしろ嬉しかったかも知れないな、あいつ責任を一人で背負い込むの大好きだろ」

レック「・・・・ソロが生まれなかったら、平行世界なんてものは存在しなかった・・・宇宙に時間はひとつしかなかったってのか・・・?」

ソロ「うーむ・・・因果応報ってやつか。まあ好き好んでやってたわけじゃないけどな」

“概念”とは、それほどまでに世界や宇宙に多大な影響を与えるものなのか。

レック「・・この先もまだ何か新しいルールができるのか?」

ソロ「そうだな。この先できるんだとしたら今この時点でもうあるはずだけどな。細かく検索してやってもいいが・・・・面倒だなあ」

レック「なら、それほど重大じゃないってことか?」

ソロ「お前たちにとってはな。上の奴らにはいい迷惑だろうけど」

レック「・・お前がさっきから言ってる“上の奴ら”って何なんだ?神様か?」

ソロ「ああ、創造神たちとその部下についてる神と天使だ。関係ない奴らは相変わらず好き放題してるさ。・・今俺たちで遊んでるようにな」

レック「・・・破壊神たちか」

ソロ「奴ら曰く、これも立派なお仕事だとよ。憎たらしいことにこのゲームは天界での恒例行事だ。創造神含め、すべての神がスポンサーについてる」

レック「は・・・!?何だよそれ!!」

ソロ「あのな、破壊神とかそういう・・いわゆる邪神にカテゴライズされてる連中ばっかり、世界に悪い影響を及ぼすひどい奴らだと思われてるが、それは大間違いだ。
あいつらはあくまで、失敗したり途中で駄目になった世界や宇宙をリセットする係なんだ。んで最近になって、そいつらがこのゲームを提案した。
やることがパターン化してて暇を持て余してた奴らは大喜びさ」

レック「・・・・・なあそれ・・・本気で言ってんのか・・・・?
神様って・・・そ・・そんなひどい奴らなのか・・・・?」

ソロ「・・いいか?まずこれを「ひどい」って認識してる時点で、お前の思考はニンゲンって生物が勝手に生み出した方程式から抜け出せてないんだ。そしてその方程式に気付き、そこから抜け出すことを主張し始める賢い奴が現れると、ニンゲンはそいつを「狂ってる」とか「頭がおかしい」とか「病気だ」と言って批判し、蔑み、輪から外す。そういうもんなんだ、ニンゲンは」

レック「ふっ・・ふざけんな!!そんなのわかるわけねえだろ!?第一お前、言ってることが滅茶苦茶だ!オレたちの味方なのかそうじゃないのかどっちなんだよ!!」

ソロ「何をそんなに怒ってるんだ?俺は聞かれたから答えただけなんだけどな」

レック「何でそう得意気にしてられるんだよ・・・オレたちって、人間ってそんなにおかしいのかよ・・!?」

ソロ「言ってるだろ、別におかしくはない。そういうふうに設計されてるんだから・・まあ少しばかり予定から外れはしたがな。まあ、“勇者”であるお前に理解できないのは当然だ。そういう理が絶対に理解できないように、特殊な法則でもって生まれながらに拘束されてるから。ニンゲンたちの自己防衛機能の産物だ」

レック「何だよそれ、どういうことだよ!!」

ソロ「悪かった悪かった、ごめん。・・“光の輪の法則”っていう、世界ごとの“勇者”に適応されるルールがあるんだ。勇者を勇者たらしめる法則さ。本人たちは自覚がないが、生まれてから死ぬまでそのルールに縛られながら生きる。普通の人間にできることができなかったり、普通の人間にできないことができたりして、あとはそうだな・・魂の扱いがちょっと特殊ってだけだよ」

レック「・・・・・・。・・それで「なるほどそうなのか」って言えるかよ」

ソロ「言えないだろうな。まあそんなわけで、色んなことが色々とヤバいってことはわかっただろ。それならいいんだ」

レック「・・オレはよくねえよ・・・わかんなくていいことまでわからせやがって」

ソロ「悪かったって。・・まあひとつ確実に言えるのは、ソロは生まれた時点で神々の創った道筋を大きく外れてた異端児だったってことだ。いわば失敗作。お前にこんなこと言うのは酷だろうがな・・・」

・・・・。・・・そんな。神にすら望まれずに生まれた存在だなんて・・・。

ソロ「そんな奴を“勇者”にするとは、また嫌味が効いてるよな。
・・・はぁ。無駄話はこの辺にしておこうか。待ってる奴がいるみたいだ」

そう言うとソロは立ち上がり、しばらく鏡を見たあとオレの方を向いた。

レック「・・・・何だ?」

ソロ「・・・ん?今俺を呼ばなかったか?」

レック「え・・・いや。呼んでねえよ」