ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第39話
そうして へいこうせかいのそんざいをしり あんこくぶっしつの つくりかたをしった ひとびとは、さまざまなうちゅうを わたりあるいて しゅうげきし、そのぼうだいな ぶんめいのちからで ほかのうちゅうを しはいするようになりました。
むすこは まんぞくでした。しかしかみさまたちにしられてしまえば、きっとすごく おこられるにきまっています。そこでむすこは みつからないように、こっそりきろくだけをとって そのせかいを まきもどしました。そしてかみさまにいいました。
「おとうさん、おとうさん、せかいをもとにもどしたよ。ぼくがなにもしてないせかいまで もどしたよ。」
するとかみさまは こんどは おこりませんでした。
ただ ほめてもくれませんでした。かなしいかおで むすこを みつめるばかりです。
そうして、ひどい きりついはんをおかした むすこのかわりに、かみさまはばつとして けされてしまいました。むすこは なぜちちおやが いなくなったのか わかりませんでした。かんがえてもかんがえても わかりませんでした。
そこでむすこは とってあったきろくをたよりに せかいをげんかいまで さいせいしました。そうして にんげんたちに といかけたのです。
「どうして ぼくのおとうさんは いなくなってしまったの?」
にんげんたちはすぐに こたえをはじきだしました。
むすこは まったくわけが わかりませんでした。わけが わかりませんでしたが、ひどくきずつきました。にんげんたちは むすこを「くろいたいよう」とよび、てつがくや しゅうきょうしんりがくの たいしょうとして しらべあげました。てっていてきに しらべあげました。
いつしかむすこは にんげんたちに すべてをしられてしまいました。
どんどんはがれおちて きえていくじぶん。こうかいしても もうなにもかも おそいのです。
むすこは そのときはじめて じぶんがしたことは いけないことだったのだと しりました。
そんなかれを とおくからじっとみつめているかみさまが ひとりいました。
かみさまは そっとかれにちかづいて こうささやきました。
「じぶんがなにをしてしまったのか どうしてそれがいけないことだったのか じぶんでかんがえてみなさい。そしてこたえがわかったのなら あなたのおもうように してみなさい。」
むすこはかんがえました。ずっとずっとかんがえました。ずっとずっとずっとかんがえつづけました。やがて、もうすぐにきえてしまうという そのしゅんかんに、むすこはこたえがわかりました。
そしてむすこは すぐにそのせかいをこなごなにしました。
よこにならぶすべてのうちゅうを しはいかに おき、ちょうじげんのそんざいまでをも かいめいしてしまった そのせかいを、すべてばらばらにひきさいて うちくだき、はかいして けしさってしまいました。
そのせかいの そんざいした きろくごと あとかたもなく けしてしまいました。
そのせかいのひとびとは、 とつぜん ひょうへんしたむすこを 「よわのだいさいがい」とよび、すでにかいめいした かれのちちおやのそんざいと あわせて ほかのうちゅうに じょうほうだけをのこしました。
そんなかれをみていた かみさまは、しずかに わらいました。
そしてやさしく てをさしのべて、かたりかけました。
「ようこそ。それじゃあ、いっしょにいきましょう」
むすこはなにもいわずに、かみさまのてを とりました。
ながいじかんが たちました。 かみさまとむすこは ふたりで たびをつづけるなかで、じぶんたちとおなじ せいしつをもつがいねんを たくさんあつめました。
そうして ほかのかみさまたちに そのちからをみとめられ、つよいたちばと けんりを もらいました。
じつはというと、むすこのちちおやは じょうほうがながれついた ほかのうちゅうで ふたたびうまれ、さいせいしていました。かみさまたちが かれのつみを ゆるしたのです。
やがてちちおやは、じぶんのむすこがいま どうしているかを しりました。そしてむすこのもとを おとずれました。しかしかれはもう、むかしじぶんのむすこだったそんざいとは まったくべつのものに なってしまっていました。
「みてみて おとうさん。」
むすこは うれしそうにわらいかけます。
ひとつ、またひとつと ゆがんだせかいをこわし、ざんがいを まぜあわせてつくった にんぎょうを さしだして わらいます。
「これがぼくだよ。そっくりでしょう。おとうさんも いっしょに やろうよ。たのしいよ。」
ちちおやが なにもこたえなくても、むすこはたのしそうに しゃべりつづけ わらいつづけました。
いくらでもうまれる まちがったせかいを こわしながら、ひとりで わらいつづけていました。
ちちおやは なにもいわないまま、そっとむすこにせをむけ はなれていきました。
なにもできなかった じぶんをなげきながら。
こわれてしまった むすこを あわれみながら。
それいらい、ふたりが ふたたびあうことは ありませんでした。