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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:disorder 歪みゆく英雄譚の交錯 第40話

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聴いているうちに、指先・・・身体の末端から冷たさが広がる。見ると冷たくなり感覚がなくなった部分から、指が解けて粉状になり、空中に溶け込んでいっている。
そして消えた部分には、同じように空中から現れた新しい組織が絡み合って結合し、指を形作っていく。

レック「・・・・・・・・!」

それは徐々に早く大規模になり、指から腕、肩、首とみるみるうちに作り替えられていく。そして冷たさの波が頭を通り過ぎると、かなり集中しないと聞こえなかったソロの歌声がはっきりと聞こえるようになった。またさっきまでは見えなかった、ソロの声が生み出す空間の揺れを視認することもできる。

声が聞こえるたび、ソロを中心に青い光の輪のようなものが高速で広がり、オレたちの体や空間の壁に当たって弾け、消える。

エックス「な・・・なんだこれ・・・・・っ体が・・・・!」

変化が起きているのはオレだけじゃない。誰もが小さな光の粒と化し、瞬時に別の身体として再生される。痛みは一切ない。交換された部分は最初は感覚がないが、徐々に冷たさが和らぎ、通常と変わらない温度と感覚を取り戻す。

イザリエ「・・成程ね。もとのお人好しの貴方じゃ出来ない芸当だわ」

イザリエは魔力を膨らませながら、地上に降り立った。
そして両手を広げると、その体の周りに大きな剣の形をした影が集まり、円状に並ぶ。
間髪入れず、その影の切っ先が飛んで――

レック「!!」

・・遅い。さっきまでのような、視界に捉えられないほどの速度がない。
十分に余裕を残して避けきることができた。みんなも同じだったようで、危なっかしい避け方をした奴はひとりもいない。
これは・・・・まさか。

イザリエ「今のでわかったでしょ?私が攻撃にこれまでよりも手を抜いたわけじゃないわ」

一旦魔力を収め、上空にとどまったソロを見やる。

イザリエ「彼の歌声の賜物よ。一種の洗脳。そして同時に肉体の組織を細胞から全部入れ替えたの、より優秀でレベルの高いものにね。でも一切痛みは感じなかったでしょ?」

・・・・・そんな。いや、でも・・・・・。

レック「・・・・・・――」

ソロの表情はここからじゃわからない。だが大体予想はつく。

アベル「・・やるならやると知らせておいてくれると有り難いんだけどねえ」

エックス「全くだぜ、心臓に悪いったらありゃしねえ」

エイト「今に始まったことじゃないですよ・・・」

・・文句をたれつつ、みんなもうしっかりと身構えている。
オレは同じようにしながらも、やっぱりソロの方を見ていた。

光の波紋に邪魔されて顔を見ることができない。
歌声は途切れることなく、繰り返し反響するように頭の中に響き渡る。これはたぶん旋律だけじゃなく、意図的に変えてある歌詞に主な効果があるんだろう。

何も考えずに聞くとその発音はでたらめで言葉には聞こえない。だが部分的にやっとのことで聞き取れる程度の単語が挟まれていて、それだけを並べると文章を逆さまにしたような言葉が出来上がる。

レック(マジで洗脳しにきてやがるな・・・)

実際、反射速度や運動の効率は抜群に上がった。さらに効果は心理面にも及んでおり、軽い興奮状態になっているのが自分でわかる。痛みを軽減する作用もあるに違いない。
こりゃあ、補助呪文の出る幕はないな。

イザリエ「でもお気付きかしら?一人だけ、彼の歌声の効果が及んでない子がいるわ」

オレはその言葉を聞いてハッとした。心当たりがある。
・・・振り返る。

ロト「・・・・・・・・・・そうか。やっとわかった」

そして確信した。・・・ロトの体が、ソロと同じように半透明になっている。

アレフ「・・・――ッ!!ロト様・・!?」

・・・ロトは何かを悟ったようだった。その表情はどこか、今まで抱えていた疑問が解決したかのような。口元には笑みさえ浮かんでいる。

ロト「・・やっと、思い出したぜ。俺が何も覚えていない、覚えているはずがないということを。これで全部・・・・わかった」

・・同時にオレも悟った。
そして思い出していた。

ソロが言っていたことを。


―このゲームが始まった時から、生存者は11人しかいなかった


・・・・そうか。そういうことか。


・・ロトはもう既に死んでいる・・・どころではない。


まさにオレたちの中にある、存在だったのだ。