春から冬まで 1
其の壱
バタバタと騒がしい音がする。
こんなにドッスンドッスンやっていたら、木製のこの家 ―本丸― は壊れてしまうかもしれない。
また籐四郎の誰かが騒いでいるのだろうか。
はたまた別の誰か。そんな騒音の中、大和守安定は重い瞼を必死に開きながら、加州清光を起こすべく、はたきを手に取った。
「加州清光、起きてよ。」
パンパンとはたきで頭を打つ。
「ん・・・ぅ・・・」
しかし手で払われてしまった。
しばらく考えた後、最終手段を早々に使う事に決めた。
その最終手段とは、相手の布団に潜り込み、思いっきり締め上げるというもの。
これはやる相手を選ばなくてはいけない。三日月宗近にこれを仕掛けたところ、三十分間抱きしめられたままになってしまったのだ。
だが今回の相手は清光。楽勝だろう。
「・・・せ~のっ」
ギュ~ときつく抱擁をする。
「・・・ん、痛い・・・。」
作戦成功。任務完了だ。