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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 大人びた、とは言ったものの、その振る舞いはまるで子供だった。オレンジブラウンのショート・ヘアにぱっちりと青い目を開く仕草のせいで、より幼く見える。全体的に見れば大人ではあるのだが・・・
 危険を及ぼす人間でないことはわかっても、どこか浮世離れしたその女に、ファナは警戒を解けずにいた。
 「あの・・・誰ですか・・・?」<改ページ>
「え〜っとぉ・・・」
 女は少しバツが悪そうな表情を浮かべ
 「どっか隠れられるとこないかな?」
質問には答えなかった。
 彼女の屈託のない様相に、ファナの内に開いた穴が塞がっていくようだった。いや、単に蓋をしただけかもしれない。
 このような女性をスラム街にひとり置いてけぼりにするわけにもいかず、ファナは思いつく限りの安全な場所を思い浮かべていた。
 ファナのその様子があまり乗り気でないと見えたのか、彼女の顔に憂いが帯び、先ほど幼く見えた表情は一気に大人びていた。
「わかった!自分で探すね!」
 「あっ、ねえっ!」ファナは今にも走り出しそうな彼女を引き留めた。
「私の家でもよかったら・・・」
 彼女をここで一人にできない事もあり、ほとんど反射的に出てしまっていた。無意識になにかにすがりたかったのだ。
「え!?いいの!?」
 さっきまでそんな素振りを全く見せなかったからか、彼女はクジが当たったように驚喜した。
 もっとも、あまり街に出歩かないファナには思い当るところも限られていたのだが。
 「うん、ちょっと散らかってるけど…誰もいなくなっちゃったから・・・」
「・・・・・じゃあ、お願いね!!」
 曇ったファナの顔を消し去るように子供のような顔に戻り、彼女はファナのお願いを受け入れた。
 「あの」
 「うん?」
 「名前、聞いてないなって・・・」
「あれ!?まだいってなかったっけ!?」
 彼女は青いクリッとした目をさらに丸くし、名前すら言っていないことに自分で驚いていた。
「リモーネ・パトリシア・プルッカっていうの!」
彼女は無垢な顔で笑った。
<改ページ>
 アサティ家から再び話し声が聞こえてきた。違うのは二人とも少女の声と言うことだ。
「ごめんね!何か押しかけちゃう感じになっちゃって」
「いいんです!ぜんぜん!」
誰かが部屋にいてくれるだけでも、ファナの心は楽になる。
 ちょっと散らかってる程度ではない部屋を見ても、彼女は嫌がるどころか、やっと落ち着きを取り戻したように安堵していた。
 「あ、ファナちゃんっていくつなの??」
 リモーネは何の前触れもなく聞いた。思いつき次第行動に移す節があるようだ。
「えーっと…13です」
 「えぇっ!大人っぽいねぇ!8こも下なのに!」
「っていうことはリモーネさんは・・・21!?」
 いくら幼く見えると言ってもせいぜい17程度だと思っていた。しかし彼女の成熟した身体を見れば成人はしていて当然とも思える。
突然、ぐうううぅぅぅとリモーネのおなかが鳴った。
 「ごめん、ここに来るまで何も食べてなくて・・・逃げるので精一杯だったから」
「え!?大丈夫ですか!?」
彼女は「あははっ」と力なく笑って「アイスとか・・・ある?」と聞いた。
「あるけど・・・アイスでいいの?」
 「・・・・うぅん」
パトリシアは首を振って頬を赤らめた。

                    ≠

 エンドラ級巡洋艦ゼーレーヴェ艦長、キューベルはメインブリッジ中央の艦長席に座り一点を睨みつけていた。その視線の先には暇を持て余している男が一人
 「まだですかねぇあとどのくらいで着きますかねぇ?」
 暇を持て余しているというよりは何かを待ち構えてそわそわと落ち着きのない様子である。そんな彼にキューベルは我慢の限界が近づいていた。
 「・・・・・ちょっと」<改ページ>
「はい?」彼の目障りな挙動がピタリと止まりキューベルを見る。
 「静かにしてくんない?」
彼はパイロットでない。さらに整備員でもなければ正規の乗組員ですらない。
 とあるテストのため被験者の保護観察としてニュータイプ研究所から派遣された研究員であり、名をヨーゼフ・クビツェクと言う。もっとも、その被験者は一週間ほど前に専用機で脱走して行方をくらましてしまったのだが
 「いやぁ〜、生きてる事がわかってどうにも落ち着いていられないんですよぉ」
 彼は元から垂れた目をさらに垂らし、柔和な笑みを浮かべた。端正な顔立ちではあるのだが彼自身のふるまいですべてが台無しになってしまっている。
「なにニヤついてんのよきっ持ち悪い」
 被験者が逃亡を図り、後を追跡したものの、専用機体は自爆し被験者は死亡扱いとなっていた。ところがクビツェク一人は被験者の死亡を受け入れず、キューベルに捜索を直談判していたのだ。
 彼女は訴えを聞く気など毛頭なかったが、そこにタイミングよく“マシュマー・セロ”と名乗る人物から
 『アウター・ガンダムを回収し、被検体と共に特定の場所へ届ける』よう指令書を受け取ったので仕方なしに捜索を再開したのだ。
 宇宙空間で被験者を探す事は、砂漠の中から一本の針を探すくらい不可能である。
 手掛かりとなりそうなブラックボックスをデブリ群の数ある反応の中からなんとか探し出し、キューベル自らがそれを解析した結果、被験者は火星圏の方へ向かったと予測できた。
 そしてそれは奇しくも、アウター・ガンダムの回収ポイントと重なっていた。
「あ、あのー・・・え〜っと…僕はここで待機していればいいんでしょうか?」
 「はぁ?あんたも行きなさいよ」
「え?僕はパイロットじゃ」
 「うるさい、あんたがごちゃごちゃ喚いている間も私は24個のブラックボックスを一人で解析したんだからね」
彼女は今にも噛み付きそうに静かに言った。
「で、でも艦長さんがわざわざやらなくてよかったんじゃあ・・・」
 「この中でできるのがあたししか い、な、い、か、ら、ね!」
 彼が呑気なことを言うのでキューベルは殺意まで抑えなければならない。銃があれば弾を撃ち尽くしていただろう。
「艦長!前方に巨大な建造物の反応があります!」
オペレーター、アルマの割って入るような報告でキューベルの殺意はどこかへ消えた。
「映像、ズームいける?」<改ページ>
「やってみます!」
 CG処理された宇宙の映像が展開されたスクリーン上で、別ウインドウの拡大映像が目標物に寄っていく。
「ちょっと!これって・・・」
 「コロニーじゃないっすか?しかもかなり古い奴、っていうか最初期の試作タイプっすよコレ!」
 キューベルが唖然としていると、ゼーレーヴェ隊の一人、ギュンター・エンゲルスが言った。
 宇宙開拓時、スペースコロニーはバナール型、トーラス型、シリンダー型の3タイプが存在した。
 それぞれの勝手がわかってくると、人体に一番負担の少ないシリンダー型が主流となり、バナール型とトーラス型は影を潜めていった。故に最初期のタイプというには語弊があるが、彼らの認識としてはそんなものである。
 「どうしてこんなところにあるのかしら?回収ポイントは確かにここだけど・・・」
「単に流されたんじゃないですかねぇ」