二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

機動戦士Oガンダム

INDEX|15ページ/46ページ|

次のページ前のページ
 

 音速を超える速度で撃ち出されるニードル状のルナチタニウムを食らえば、いくらアウターの装甲と言えども無事で済むはずはない、この金属はモビルスーツの装甲に使われているガンダリウム合金でもあるのだから。
 お互いつかず離れずの攻防が続いていた。長期戦は免れないかと思われた時
≪パトリシアをこちらに渡して頂ければ引き揚げます≫
 敵機からの通信が入った。いつの間にか接触回線が取り付けられていたようだ。
「・・・・・・パトリシア?」
 少なくとも数時間前マイクロ・アーガマ隊に加わったタロには聞いたこともない名前だ。
≪それと、そのガンダムの回収命令が出ている。パトリシアとガンダムの二つをこちらに渡してもらえば我々はすぐにでも引き上げる≫
 その条件は飲むべきではない、タロは漠然と思った。それに敵機の男からはわずかに焦りが感じられた。押し殺した微弱な焦りが。
 「パトリシアなんて人は知らない。それに、これを渡すことも出来ない!!」
≪・・・・なら用はない、死ね!≫
 回線が切れると、敵機は人が変わったかのように電磁砲をマシンガンの様に連射し始めた。
「なっ!?」
 最早乱れ撃ちであり相手がどこを狙っているか、いや、どこも狙っていないので弾道が全く読めなくなった。集中し直す隙も与えられなかったタロは無心で逃げるしかない。

激昂にも似た感情が東條を支配していた。
 パスン
 ニードル弾が切れるとバックパックから電磁砲を切り離し、そのままアウターの背後に廻り、ビームサーベルでコックピットを確実に狙う

空を斬った
 アウターは“上”から来た。矢の様に鋭角に。
 東條は間一髪で避けるも矢はコックピットをかすり、全天周モニターの中から映像ではない宇宙が顔をのぞかせ、彼の肝は一瞬にして冷えた。<改ページ>
「まぁいい・・・・」
 本能的な恐怖を感じて機体の奪取任務の放棄を決めると、目的地であるコロニーを一瞥した。
 べルドルフから信号弾が放たれ眩い光が辺りを照らし、戦闘がピタリと止んだ。しかしクシナはその明かりを視界に入れることはなく、Z Mk-?は相も変わらずビームサーベルで敵機を叩くことに夢中になっていた。
 ≪おい!!!≫
 「なに!!」
 コックピットの内部スピーカーからニロンの怒声が爆発し、彼女の手は止まった。
≪敵さんが停戦信号を出した。そこまでにしときなよ≫
 「こいつまたっ・・・てあれ?」後方へ振り返ると先ほど一戦を交えかけた機体がいた。「ニロンだよね?どしたのそれ?」
≪変な奴が乗り捨てたのをパクったんだよ≫
二機の話し込む隙を見て迫水の乗るガ・ゾウムは撤収していた。
 「あ!あいつ逃げたな!!」
≪停戦信号見落としたら家族共々死刑らしいぞ、やめとけ≫

 「・・・・あいつら何しに来たんだ?」
 突如襲来した敵部隊が引き上げていくとグランが呟いた。

                    ≠

≪はぁ〜!?取り逃がしたぁ〜!?≫
 ギュンター達隊員が帰還しメインブリッジ手前まで来ると、キューベルのチェーンソーのような金切り声が聞こえてきた。どうやら一足先に戻った隊長の東條がこっぴどくお叱りを受けているようだ。
 ≪あんた何やってんの!?両方取り逃がすなんてバカじゃないのこのバカ!アホ!!ノロマ!!!≫
 決して彼自身はバカでもアホでもノロマでもないのだが、何一つ手土産を持たずに戻ってきたおかげで怠け者の烙印を押されてしまった。
「うわぁ・・・入りたくねぇ・・・」
 こういう時ほど日常で面倒くさいことはない。ヒスを起こしたら冷めるまで待つしかなく、ギュンターが入るのをためらっていた。<改ページ>
 「なにやってんだよ早く行こうぜ」
 キューベルのチェーンソーボイスが鼓膜に届いていないのか、どちらか問えば彼のほうがノロマという言葉にはあっている迫水は、ぬるりと扉を開け修羅場の中へ突入した。
 これで罵倒も少しはやむかに思われたが、彼女は一向に気にせず東條を切りつけていた。
 「艦長」怒号の嵐の中で、東條が静かに言った。
「なに」
 「アウター・ガンダムは捉えられませんでしたが、もう一つの標的の見当はついています」
 「・・・・・どこ」
 キューベルは態度を1ミリも変えず、キンっと凍った声で返した。
 「確証はありませんが」と言って東條はモニターに映るコロニー、カピラバストゥを指さした。「私の見立てでは敵艦にパトリシアはいません」
 「へぇ〜、なんでわかるの」
「アウター・ガンダムのパイロットのおかげです」

「あ、あのぉ〜」
 場がシンとしてひと段落着いたころ、エヴァが今にも消え入りそうな細々とした声をあげてゼーレーヴェ隊全員の帰還を知らせた。キューベルはそれをちらっと見ると
 「進路、依然変更なし!」
と舵を取った。