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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 よっぽどセンスがあるか、お前みたいにニュータイプとかいう人種じゃなけりゃあな」
 「開けて」
 いつの間にか彼らは目的地前まで来ていた。オリガは男たちの会話なぞお構いなしとでも言うように断ち切り、彼らを顎で使った。
 「ニュータイプって言われんのはイヤか?」独房の扉をあけながらグランは言った。まるで尻にしかれた亭主の様な状況下なので格好がつく物もこれではつかない。
 「いい気はしないですね」
 半ば情けない背中に、タロとしてはもう少し入り組んだ話をしたかった。それは、べルドルフとの交戦中でのことだ。
 背後から迫る敵機を認識した途端、タロの纏う肉の鎧は、彼の意志に応えるようにスラスターを噴かして翻し、身を槍のようにしてべルドルフへ向かっていったのであった。
 『モビルスーツが自分の意志を読むことなんてあるんだろうか・・・・あの時、僅かだけど、気のせいかもしれないけど早く動いたような・・・』
 なんてことを考えている間に気を失った男は独房室に放り入れられた。
 「んじゃ、戻ろっか」オリガはまるでやっと一仕事終えたかのような爽やかな女の顔をしていた。
<改ページ>
 クビツェクが連邦軍の戦艦の独房に放り入れられたことなど露知らず、ゼーレーヴェ艦はカピラバストゥコロニーへ入港していた。
 「うっわ・・・」
 「ほんとに行くんですかぁ・・・」
コロニーの様子を見たキューベル艦長がドン引きし、エヴァが雀のような声をあげた。
 砂塵の舞うスラム街はどう見てもごみ溜めそのもので、果たしてここにターゲットがいるのか、というよりいてほしくない思いが彼らに浸透していった。
 「すぐにでもこんなとこ出たいけど・・・アルマ!アレ出して」
「はい!」
 オペレーターのアルマがアレという言葉だけで即座にメインスクリーンへ指令書を映し出し、そこには次のような文字が羅列していた。

[エンドラ級ゼーレーヴェ艦長 キューベル・ポルシエ殿
 貴公ラ海驢隊ニ次ノ通リ指示ス
 リモーネ・パトリシア・プルッカノ回収ヲ命ズル
 尚、アウター・ガンダムノ回収ハ此方デ別動隊ニ指示スルノデ必要無
 以上
                      レヴァハン・M・ヴィルヘルム]

 つい先ほどのことを地獄耳で聞きつけたような指令書に一同はため息をついた。
 「意地でも回収しろってことよ。各員ノーマルスーツを着て!」
気を取り直すようにキューベルはパンッと手を叩いて指令書に従うことを決めた。
 「モビルスーツに乗った方が早いのでは?」東條だ。
 「どういうこと?」
 「誘き出しやすいという事です」
 彼女は少しの間東條の言葉を内で反芻して熟考し「先にエヴァと迫水二人が聞き込み!3時間手掛かりをつかめなければアンタとギュンターがモビルスーツで出て!以上!」
 「ええぇぇぇ?!おれぇ・・・?」
 「がぞーむちゃんがいいなぁ〜・・・」<改ページ>
 迫水は素足で虫を踏みつぶしたような顔になりエヴァも迫水程でないにしろ不満を漏らしていた。
 「うっさいわね!艦長命令なんだからさっさと行きなさい!!」駄々につきあう道理はない。
 キューベルが金属バットで殴ったような声で彼らの反論を叩き潰すと、先発の二人はぶつくさ言いながらノーマルスーツで街へ赴いた。
 「それにしてもこの別動隊ってなんすかね?」ギュンターが纏め上げた茶髪をポリポリと掻きながらカットをかけるように聞いた。「それにこのレヴァハン・M・ヴィルヘルムって誰っすか?」
 「アクシズ…ネオ・ジオンのニュータイプ研究所の所長らしいわ。詳しくは知らないけどね」
 「なーんでそんなとこから指令書が来るんすかねー」
「指令じゃないわ」キューベルは懐から煙草を取出し火をつけた。「ただの雑用よ」

                    ≠

 マイクロ・アーガマのモビルスーツデッキではメカニック班がアウターの装甲を取り外し機械構造を調べていた。
 なぜかというとそれは次の通り、オリガが男を独房へ放り込んでメインブリッジへの帰路でのこと
 「君さぁ、タロ君だっけ?さっきコイツに言ってたことだけどさ・・・えーっと、なんだったっけ?」“コイツ”のとこでグランを指差した。
「えっと・・・モビルスーツが自分に馴染んでいくっていうか」
 「そうそうそれそれ!それさぁ、ちょっと引っかかるんだよねぇ」オリガは体をくるりとタロの方に向け、後ろ歩きになった。「あんたニュータイプなんだっけ?」
「・・・・・はい」
 「ならちょっと見てみたい事があるから付き合ってよ!グラン、あとよろしく」
 後ろに進んでいた足をぴたりと止め、タロを捕まえるとグランを残して来た道を戻る様に流れていった。
そして今に至るのだが・・・・・
 「ん〜・・・・タロ君」装甲が外され内部の機械構造が剥き出しになったアウターがオリガの目に映っていた。「こいつの装甲外して何かおかしいと思ったらさ、アナハイム製とそれ以外のパーツが混じってんのコレ」
 「えぇっと、それは・・・・?」
 モビルスーツ、ことにそのパーツといえばコロニーでジャンク屋が拾って売っていた物でしかないタロにとって、メカニックのことなど無知の領域である。
 「んー何って言ったらいいかなぁ・・・簡単に言うと連邦とネオ・ジオンの機械構造がごっちゃまぜになってんの。わかる?」<改ページ>
 「はぁ、まぁ」
 噛み砕かれた説明は幸いにも伝わった。
 「あの変なモビルスーツもいじったから気付けたようなもんだけど・・・」
 一方その変なモビルスーツ、ガザDには同じくメカニック班がとりついていた。その中から一人、といっても4人程度しかいないが、眼鏡のガラスを割りそうなくらい目を大きくしながらヒヨコのような声で見た目も幼い新米のフィア・ヤンチャイが彼女らのもとに流れてきた。
「オリガさん!やっぱりですっ!同じパーツが使われてますっ!」
 「だよねぇ。あー、こういうのってややこしいんだよなぁ・・・ちょっとまだそっち見てて」「はいっ!」フィアの小さな体がまた小さくなっていった。
 「あの」
 「ん?」
 「なにがややこしいんですか?なんとなくはわかりますけど」
 「あぁ、兵器は軍が全部を作っているわけじゃないからね〜」
 「そうなんですか」
 「だいたい兵器ってのは軍じゃなくて製造会社が殆ど造るんだよ。
 例えば一年戦争の時は・・・連邦だったらアナハイム・エレクトロニクス、ジオンだったらジオニック社とかツィマッド、MIPとかいった会社がモビルスーツとかモビルアーマーを開発してたんだけど、ほら、連邦が勝ったじゃん?
 だから今は実践に投入されるモビルスーツはアナハイムが殆ど造ってんじゃないかなぁ?」
 「・・・なんで、そんなことするんですか?」
 「え?」
 「だって、同じところが造ってるんでしょ?それだったら戦争なんか起きないんじゃ」
 「ほぉ〜、キミは言葉を知らないだけで頭はいいんだねぇ」
 いかにも予想外だという反応をしたかと思うと彼女はタロの肩をがっしりと掴んだ。「でもね…これは、今のキミが知る事じゃない」
 タロに死の商人の話はまだ早い、オリガの息が少年の鼻腔を擽った。