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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 一年戦争終結直後、シャアのいたアクシズのモウサと呼ばれる居住区にはファースト・フードや衣料品などの店が立ち並んでいた。
 そこと比べるとアリエスの居住区はなんとも味気のないものだ。
 「ここは軍事施設が主なのであのような場所を作る必要はありません。それにこのような僻地です。商業施設を設けたところで大して役には立たんでしょう」
 「精神的な安らぎはあった方がいい」
 「ご安心ください。そのような場所は設けてあります」

 モビルスーツドックに向かうまで、一般兵がすれ違いざま彼に敬礼をしていた。
 「こちらがわが軍のモビルスーツ並び、モビルアーマーです。」
 地球圏と火星圏のはずれのコロニーで見たグランド・ザック、その隣に一風変わった形のモビルスーツが並んでいた。
 そのモビルスーツには頭部と下腹部から長い角のようなものが生えていた。「これは・・・水陸両用というわけではなさそうだが?」
 「キタラと言いまして…あの先からビーム状の刃を形成して前から来る機体へ、ガーン!と」
 「なかなか使い手を選びそうだな」
 「そしてこちらはヌバフォック、我が軍の次期主力モビルスーツです。この機体はデュアルアイを搭載しております」<改ページ>
 キタラの向かい側にはそれこそ水陸両用のようなずんぐりとした肩のモビルスーツが並んでいるが、シャアはモビルスーツが立ち並ぶ奥の方に二本の脚で立つ特徴的な巨大な影を見ていた。
 「ビグザムです、改良型です。この他にもぺズン・ドワッジ、リック・ギガン、ドガッシャなどがありますが、ただ今出払っております」
 「そろそろ教えていただきたい・・・・木星には何があるのかな?」
 「は、はい?」
 「このモビルスーツやモビルアーマーの数・・・軍隊を組織しているようなものだ」
 「あ、は、はい・・・すでに現地へ向かっている先遣隊からこのような画像が送られてきまして」
 額から脂汗を流すヒトーリンの言葉に合わせるように、レヴァハンは手に持っていたタブレット状端末の画面をシャアに見せた。
 そこには岩盤に人の形をした何かが張り付いている画像が映し出されていた。「これは・・・・・?」
 「そしてもう一枚」
 拡大画像には機械の繊維が人型に張り付いており、その横には小さく人形のようなものが取りついていた。そこを拡大すると
 「・・・・ザクがこのサイズとなればかなりの大きさだ」
 「我々はこれがニュータイプの鍵を握るものと見ています。この物体の謎がわかればニュータイプの謎も」
 「それがわかったところでどうするつもりだ?」シャアの青く鋭い眼光がヒトーリンに突き刺さった。
 「そっ、それは、その…」
「では・・・私の研究施設へ向かいましょうか」
 冷や汗をかくヒトーリンに代わり、レヴァハン・メンゲレ・ヴィルヘルムの感情のない声が木霊し、静寂がおとずれた。

『No Trespassing』と書かれた扉をくぐると、薄暗い蛍光灯に照らされた機械の密集した空間があった。
 その中に、無数の管がついた人ひとりが入れるカプセルが一つ。レヴァハンはそれを一瞥してシャアの方へくるりと向いた。
 「少しテストをして頂いてもかまいませんか?」
                    ≠
「はぁっ・・・はぁっ・・・!うぇっ…!!」
 総統室横の部屋のバスルーム、カーンJr.は一糸纏わぬ汗にまみれた姿のまま嗚咽と共に液を垂れ流していた。彼もまた、封じられていた記憶を呼び覚ましていた。<改ページ>
「そうか・・・私は…いや・・・!」
「カーン・Jr.様・・・?」
ウィノナの濡れた胸が、彼の背に密着した。
「いや…いい・・・だいじょうぶ」カーン・Jr.は小刻みに体を震わせ、掴んでいる自分の腕に爪を立てた。
「すべて思い出した・・・あの男の事も・・・生かしておけない奴だってのも」
                    ≠
機械まみれの部屋の中で、テストを終えたシャアが静かに座っていた。
 「おつかれさまでした。おかげで素晴らしいデータが取れました。」
 「それはよかった」
受けたテストはモビルスーツの戦闘シミュレーションという一見シンプルなものだった。
 「こちらは今後の技術開発に役立たせていただきます。」
 「一つ聞きたいのだが」
 「はい。」
 シャアはこの空間の壁に遮られたさらに向こうを見つめた。「・・・・・いや、この向こうを見せてもらいたい」
 「わかりました。」
 レヴァハンが懐からリモコンを取出して壁の方へ向けると、鈍い光が部屋を満たしていった。
「これは・・・・!」
 さらなる空間が広がっていた。18メートルのモビルスーツが何機も横たわる事が出来るくらいの空間があった。
 しかしそこには100メートルはあろうかという巨大なモビルスーツが、機械を剥き出しにして横たわっていた。そのシルエットには、倍以上の大きさがあるものの、見覚えがあった。
「サイコガンダムか・・・?」
 「えぇ。今はまだ開発中ですがサイコガンダムとは別物と言ってもいいかもしれません。これはアウター・ガンダムの発展機でもあります。総帥の手元に一度わたったと思いますが。
 先ほどのテストはサイコガンダムMk-IV、つまりこの機体に総帥の戦闘データを搭載するのが目的でもあるのです。」
 「・・・・・あまり私を甘く見ないで頂きたいな」まるでプログラムで返しているかのようなレヴァハンの口調に、シャアは声を尖らせた。
「申し訳ありません、今はこう説明するしかないのです。まだ実験段階なものですから。」
<改ページ>
 マイクロ・アーガマで一夜が明け、ジョブ・ジョン達クルーはその間殆ど口を聞かなかった。
 彼らの前に置かれたモニターが24時間ぶりに点灯し、タロとアドルフ少佐が再び画面に現れた。
 ≪じゃ、タロ・アサティ、答えを聞かせて≫
 少佐が画面越しに右手で合図を送ると、マイクロ・アーガマクルーに再び機関銃が突き付けられた。この右手が振り下ろされた時、彼らは・・・
≪・・・・・・・・・・≫
 ≪何も言わないの?≫
 「タロぉ!なんか言えぇっ!」
 少佐の小さな右手がゆっくりと振り下ろされていき、突き付けられる銃の引き金に力が加わっていく重圧に耐えきれなくなったクシナが叫ぶ。
 ≪そっか・・・哀しいけどこれでお別れだね、さような≫
 ≪約束したんだ≫
 ≪ん?≫
 ≪今よりもいい世の中にするってさ。俺が・・・ニュータイプの魁になってさ≫
アドルフは眉間にしわを寄せ、タロを見ていた。
 ≪エスタンジアならさ、できるんだろ?≫
 タロが右手をスッと差し出し、アドルフはそれに応じた。すると、タロの意識が彼の中に流れ込み、アドルフの口角が上がった。≪・・・・・そのための義勇軍だよ≫
 
 「・・・・・交渉成立、か」
手を取り合う二人の姿にジョブ・ジョンは、安堵と一抹の不安を感じていた。

 「じゃあ見に行こうか、地球に魂を引かれている奴らを。ケツァルコアトルのエンジンがこちらにある今、急ぐことはない」

                    ≠

 火星圏小惑星アリエス基地の総統室の客間で、シャアは部下のキグナンと通信でやり取りをしていた。