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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

INDEX|38ページ/46ページ|

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 その言葉に従い、ゼーレーヴェ一行はちょこんと座っているミネバの向かい側のソファーにドカッと座った。「ちょっ、何も全員こっちに座ることないじゃない!」
 彼らが一先ず落ち着いたのを見計らうと
 「さて・・・君たちがここまで来た訳を聞かせてくれないか?」シャアの猫撫で声が静かに響き渡った。
                    ≠
「あれ?」
 パトリシアが身体検査を終えるとキューベルたちではなく、オペレーターのアルマと数名のメカニックがいた。
 「あ、あの」ファナがアルマに尋ねた。「あ!ファナさんとプルさん!」
 「キューベルさんたちは・・・?」
 「艦長なら総帥からお呼びがかかってましたよ?てっきり一緒に行かれたのかと」
 「総帥・・・?」
「えぇ!私も初めて知ったんですけど総帥ってあの赤い彗星のシャアなんですよ!」
                    ≠
 「ほう、ヴィルヘルムが?」
 キューベルはニュータイプの被検体の護送任務により紆余曲折しながらアリエスへ辿り着いた経緯を話していた。
 「えぇ、私たちは彼から指令を受けてここまで来たんです」
 「そうか・・・」シャアはチラリとミネバを見て声を落とし「実をいうと私がここに来たのもほんの数週間前でな、彼らの素性が少しでも知りたい」
 「で、では、その2人の情報収集のために私たちを・・・?」
 「それもあるが…それよりも気にかかるのは先ほど言っていた2人だ」<改ページ>
 「リモーネ・パトリシア・プルッカとファナ・コ・アサティですか?」
 「そうだ。彼女たちをヴィルヘルムに近づけない方がいい」
 「えっ?それってどういう・・・」
 「君たちも知っている様にヴィルヘルムはニュータイプ研究所の」シャアが言葉を言い終わらないうちに、ドンッと重く鈍い打音が室内を巡った。
 「・・・誰かいるんですか?」
 「あぁ、私の秘書だ。今は少し気が立っていて・・・」シャアに突然黙り、眉間に皺をよせ顎に指を当てた。
 「あの〜・・・・」
 訝しげな視線が突き刺さる中で
 「いや、やはり彼にも加わってもらおう」おもむろに部屋の左奥へと歩いていき戸を開けた。
 そこに現れた人物にキューベルらは目を疑った。
「ハマーン・・・さま・・・?」
 「カーン・ジュニア、ハマーンの弟ということになっている。ここから先の話には君にも参加してもらう、いいな?」
ハマーン・カーンと瓜二つの顔がこくりと頷いた。
「えっ?!お・・・弟?!!」
 キューベルとギュンターは口々に騒ぎ迫水とエヴァは呆気にとられ東條は信じられないといった表情で三白眼になりかけていた。
 何も言わずにこちらを睨む彼を前にキューベル達の声は小さくなっていった。そして一同が静かになると、カーン・ジュニアが初めて口を開いた。
 「私がヴィルヘルムについて話す」

                    ≠

 サイド3、月の裏側に位置し地球から最も遠いコロニー群である。その中の一つに、かつて一年戦争時代にニュータイプの研究機関として名を馳せたフラナガン機関の流れをくむニュータイプ研究所が密かにあった。
 エスタンジアは小型輸送艦に白兵部隊とアウター・ガンダムを乗せて、狭いドックへ入港していた。

 「これよりサイコミュ搭載新型艦の奪取を始める。第一段階で遂行に支障が出た場合、先行した五番隊がガスを散布し四番隊が後に続く・・・作戦開始」<改ページ>
 ≪こちらカルヴィン、五番隊、行きます≫

 「ミゲル所長代理、アクシズからの定期輸送便が入港しました」
 「・・・いつもより早いわね」
 現在、研究所の所長代理をナナイ・ミゲルという女が勤めていた。彼女は今朝起きてからというもの、ざらついた感覚が頭から離れなかった。俗にいう女の勘、とも違うものだった。
 「あの子が帰って来たわ、警護体制を強化して」

「こちらが今回の分です」
「あれ?いつもより早いですね」
「えぇ、ちょっと立て込んでましてね」
 カルヴィン率いる五番隊が作業員に成りすまして研究所職員と手続きを行っている中、輸送艦の中でフランチェスカ率いる四番隊が完全武装でスタンバっていた。
「では、物資搬入しますので後はお任せください」
五番隊のブレアが突入の合図を送ろうとしたその時、
 「いえ、その必要はありません」
 「え?」
 「それよりも」職員は懐から銃を突きつけ「あなた方を調べてもよろしいですか?」
いつの間にか輸送艦はドックの4方から警護隊に囲まれていた。
 「くそっ・・・散布開始!!」
隊長のカルヴィンの合図により、狭いドック内が白煙に満ちた。

 「あのコロニーの時もこうやってたんだな」
 「そうだよ、今回は血を流さずに済ませたいね」
タロ、そしてアドルフがアウターのコックピットで出撃を控えていた。
 「なぁ」
 「なに」
 「いや、別に・・・」
アドルフはなぜこんなところにいるのだろう?タロはそう思っていた。「・・・・・・」<改ページ>
 「すぐ探ろうとするその癖、やめた方がいいよ」
 「あ、あぁ…」
 「ま、一応言っとくと」アドルフは振り返り「“ここ”にいたからだよ、君にはわからないだろうけどね」
 その時、五番隊隊長カルヴィンから通信が入った。≪少佐…勘付かれてしまいました・・・直ち、に・・・四番、隊をっ・・・・≫
 「仕方ない・・・こうなったら強行突破だ、アウター出すよ」
 「ま、待てよ…今アウターを動かしたら・・・!」
 「大丈夫だよ。彼らは生身でガスを使えるんだから」その言葉が意味するところに、タロの中に晴らしどころのない感情が渦巻いた。
満ちた白煙の中に、18メートルの巨人の影が立ち上がった。

 「ミゲル所長代理!ドック内にガスが撒かれ警護隊は撤退、さらに貨物艦からモビルスーツが現れたそうです!」ナナイ・ミゲルのもとに報告が入った。
 「モビルスーツ?」
 「えぇ、こちらがその画像です。ガスでよく見えませんが」
 渡された端末には撤退間際にとられたドックの様子が映っていた。
 「帰ってきたのはあの子だけじゃなかったみたいね・・・・・できるだけ時間を稼ぐように伝えて」彼女は唇を軽く噛んだ。「この事を所長に報告しないと」

                    ≠

 アリエスの総統執務室でキューベル達の頭は、カーン・ジュニアの話が進むにつれ重くなっていた。
「そして、奴は務めていたオーガスタ研究所から自身の研究資料と共に突如行方をくらました。
 新たな偽名でフラナガン機関の流れをくむジオンのニュータイプ研究所で、自身の研究を続けた。そうしているうちに・・・奴は悪魔のような閃きが・・・!」
彼はこみ上げてくる吐き気をこらえるように事の始まりを語った。
 「強化人間の記憶操作とクローンの技術を用いれば・・・他人の記憶を植え付けることができるんじゃないか」
 その刹那、キューベルの中で今まで不明瞭だった言葉が鮮明になった。
 「それが・・・メモリー、クローン・・・・・・」ただ唖然と、愕然と、茫然としていた。「なんで、そんなこと・・・・」<改ページ>