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なかのあずま
なかのあずま
novelistID. 54195
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機動戦士Oガンダム

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 ≪そこまでにしなさい、アドルフ≫女の声と共に、攻撃が止んだ。≪あなたが欲しかったおもちゃをあげるわ≫

 ≪なんだって?≫
 「好きに使うといいわ、持っていきなさい」
 「い、いいんですか?」
ナナイ・ミゲルはマイクのスイッチを一時的に切った。<改ページ>
 「ワインスタイン所長から新型戦艦を譲渡するよう示達があったのよ。戦艦の形をしているだけで戦艦としての機能は期待できないわ。それに、すでにお払い箱みたいだし」
 サイコミュ搭載新型戦艦開発計画は開発途中から分岐し、より戦闘に特化したモビルアーマー、ゾディ・アックがすでに開発されていた。
 それでも、一度開発した兵器はなんとしてもニュータイプ開発に一役買わせる研究所の意地があった。ナナイは再び外部スピーカーと各機に繋ぐマイクの電源を入れた。
「すぐに出すわ、外に出ていなさい」

 タロはアウターをコロニー外へと走らせていた。アドルフは状況が終了したことを知らせていた。
 「四番隊各位、五番隊を回収して撤収。どうしたの?」背後で操縦桿を握るタロが震えていた。
 「さっきから頭の中で呻き声がしてるんだ・・・魂が溶ける音を聴いてからずーっとだ・・・ずっと」その音を聴いたのはアウターがドライセンにビームサーベルを突き刺した時だった。
「いいんだよ、望んだことなんだから」そういうアドルフの声も、僅かに震えていた。

 コロニー外へ抜けると別の港のハッチが開き、グワンバンを基に設計された艦体の船尾から船首にかけて400メートルを超える流線型のフォルムがズズズズズズと姿を現した。
 宇宙の闇に浮かぶ漆黒の姿は、暗黒星雲を思わせた。
 ≪アウターと直結することで性能を十分に引き出せるわ≫という言葉を残し、ナナイは通信を切った。
 「だから取りにきたんだよ」

                    ≠

 ゼーレーヴェ隊のモビルスーツはどれも試作段階のもので、地球圏では少し型落ち機体となってしまっている。
 ドックではそれぞれのモビルスーツを基に木星圏で想定される戦闘を考慮した新機体の開発プランが実行に移されていた。

 迫水とエヴァのガ・ゾウムはガザ系モビルスーツの発展系である。ネオ・ジオンの主力機として量産され戦場に投入されているが元より新たなガザタイプの開発計画が二つあり、それを実行に移している。機体名はガザX、ガザY
<改ページ>
 東條の乗るべルドルフは『ガンダムMk-V』のデータを基に開発された機体であり、その別系統の発展機にドーベン・ウルフという機体がある。ネオ・ジオンではこちらが正式採用され、当機は完全にバニシングマシンとなってしまっている。この機体の新開発プランは分岐の再統合である。機体名はヴェルデ・エア

 R・ジャジャ、ネオ・ジオンで正式採用されており先行試作型であるギュンター機よりも性能が向上している。しかしやはり白兵戦特化機体であり、乗り手を選ぶモビルスーツである。一年戦争時代、ゲルググに開発競争で敗れたギャンの正統発展後継機ともいえる機体であり、この機体の新開発プランはギャン最終型である。機体名はガルヴァドス

「お前これ改修ってレベルじゃないだろ・・・」
 ギュンターの目には自身のモビルスーツが跡形もなくパーツレベルで分解されている光景があった。
 「いやぁすごいですよ!ここに来てよかった!」
 当然のごとくゼーレーヴェ艦にもメカニックがいるわけで、彼らもアリエスの技術班に加わってモビルスーツの大幅な改修を行っていた。
 「完成したらテストしないとな」
 「あぁ・・・そうだな」
 キューベルたちはファナとパトリシアの捜索中にメカニック班にとっつかまっていた。
 機体スペックについて熱弁をふるうメカニックのシュペーアにノれずにいると、「あ!いた!」タイミングよくパトリシアの声が響き渡った。彼女の後にはファナもいた。
 「ねぇ、私はどうすればいいの?」
第一声とはうってかわって温度の下がった声がキューベルに向けられた。
 ところがキューベルはパトリシアをギュッと抱きしめ
 「絶対に私たちから離れないで、いい?」今にもこぼれそうな涙を浮かべる目とは裏腹に決意の色を宿していた。
 「・・・わかった」
キューベルの思いを受け取ったパトリシアの声は穏やかだった。

 「ねぇ」
 居住ブロックに戻るなかで、キューベルがファナに尋ねた。
 「ずっとわからなかったんだけど・・・なんできたの?」
 「え?」<改ページ>
 「悪いとかそういうことを言ってるんじゃなくって…なんていうか、ニュータイプだからっていうのがわからなくって・・・」
 「あぁ、それは」ファナは澄んだ瞳でキューベルを見た。「そうすればお兄ちゃんにもう一回だけ会えるって思ったんです」
 「・・・・・・お兄ちゃん」
 「はい、それだけです」

                    ≠

それから、数週間が経ったある日のこと
 「なに!ミネバが!?」
 「私がお世話をしていたのですが今朝お部屋に伺ったら・・・」
 ミネバ・ラオ・ザビの部屋はもぬけの殻になっており、行方知れずとなってしまっていた。うつつを抜かしていたわけではないシャアだったが、自分の甘さを呪った。
 ミネバの世話係のジュリアがしどろもどろしている横で、シャアは手掛かりを探っていた。
 彼女が誘拐されたとすればその心当たりはただ一人、昨日から今朝にかけて木星圏へ一足早く発ったヨドルフ・ヒトーリンだった。
 シャアは「君のせいではない」とジュリアの肩に手を当て、もう一人の重要参考人のもとへ走った。「ちぃっ、こうも仇になるとは」
 ヴィルヘルムに注意を向けていたばっかりに、ヒトーリンがそのような行動を起こす事を考えていなかった。
 その男を見つけると出会い頭に胸ぐらを掴んだ。「ミネバをどこへやった!」
 「私は存じ上げませんが。」ヴィルヘルムは表情筋一つ変えずに答えた。彼に心臓があるのだろうかとすら疑う反応だった。
 「そんな事はわかっている…!ヒトーリンは?!」
 「ヒトーリン司令なら6時間前に木星へ発たれましたが。」
 「ッ・・・えぇい!」
 シャアは掴んでいた胸ぐらを突き離し総統執務室へ駆けて行った。その様子を見送るとヴィルヘルムは部下へ次のようなことを伝えた。
 「ファナ・コ・アサティを呼び出してください。ニュータイプのテストをします。」
<改ページ>
 「行くのか・・・シャア」
 「あぁ、奴を野放しにはできん。準備が整い次第木星へ発つ」
 「そうか・・・」
 総統執務室で、シャアの離別とも取れる言葉にカーン・ジュニアは目を伏せた。
彼とはもう二度と会うこともない、そう感じていた。
 「ここは、お前の好きにするといい」
 「・・・・はい」

                    ≠

 エスタンジアという勢力下にいるものの、再び火星圏へ向かう中でマイクロ・アーガマ隊には安息の時が訪れていた。
 地球圏を脱してしてから面倒を起こしても、どちらにも利益はなかった。それに面倒を起こす気力もない。
 そんな環境の中、与えられた部屋でクシナが休んでいると
 「・・・・タロ」
 「おれ、どうしたらいいんだろう」