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ゆち@更新稀
ゆち@更新稀
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Dandelion Ⅰ

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「兄貴は、変わりましたね」

幽の薄墨色の牟が、セルティの黄色のヘルメットをゆらゆらと映す。

「眉間の皺が、減りました」
『・・・・言われてみれば、確かに』
「でしょう?」

幽が緩く首を傾げる。セルティは思わず、どきりと肩を上げた。

( 今、少し――・・・笑った――・・・のか? )

『笑う』――おかしさ、嬉しさ、決まり悪さなどからやさしい目付きになったり、口元を緩めたりする行為。
幽の口元も目元も、会話の最初から最後まで(もっと言ってしまえば初めての出会いから今の今まで)少しも変わってはいない。
それでも、セルティにはその一瞬、幽が『嬉しそうに笑った』ように感じた。
だからきっと、彼は嬉しいのだろうと理解して、ふと見せた”それ”がまた余りにもあどけなく――魅せられたのだ。

何時だったか、彼の兄に言った言葉をセルティは思い出す。

――『お前は本当に弟のことが好きなんだな』
――『―・・・・けっ。うるせぇ』

そう口元を緩めた平和島静雄の表情と、目の前の彼のそれは、形こそ違えども。

『お前も、本当に兄貴のことが好きなんだな』――キーボードに指を滑らせようとするが、おもむろに立ち上がった幽がそれを邪魔する。

「俺、帰ります」

兄貴にでも渡しといてください、と幽は飲んでいない方の缶コーヒーをセルティに差し出した。
セルティが頷いて肯定を示し、それに手を伸ばそうとする、のも幽の「あ、ちょっと待って下さい」という言葉によって邪魔された。
幽はポケットに手を入れて携帯を取り出すと、その表側に無造作に張られていたシールをかりかりと指で剥がし、缶の側面にそれを貼った。

「お願いします」
『ああ、分かった。――だけど、いいのか?久しぶりに何か話でもしたかったんじゃないのか?』
「ええ、まあそのつもりだったんですけど・・・・時間が、もう無いので。それにもうすぐまとまった休みが取れる予定もありますから、その時にでも」
『なんなら、送って行こうか?』
「大丈夫です」

失礼します、と軽く会釈をして、缶コーヒーをぽいとゴミ箱に捨て、幽は公園を後にする。
段々と小さくなっていく後ろ姿を、セルティは暫し見つめていた。
手の中の珈琲が、まだ熱を持っているのを感じる。

この熱が消える前に彼の男は戻ってくるだろうかと、半分粘着力を失って剥がれそうになっているシールを指で擦りながらセルティは一度だけ溜息をついた。


作品名:Dandelion Ⅰ 作家名:ゆち@更新稀