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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録006

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「はぁ。やりたいって言うから許可出したけど、これじゃ俺達の方が全然自己紹介できないじゃないか。少しは手加減してやれよ」

悪戯っぽく笑いながら肩をすくめるレック。

「いやはやスワードソン博士まで一度目で負けてしまうとあっては、本気を出さざるを得ませんね・・・」

にこやかに微笑みながら席を立ち、カズモト博士が腕捲りをした。

「・・なんかラスボス感が漂ってるな・・・」

ぼそりとクロウ博士が呟く。

1回目は初のドロー、2回目も同じくドロー、そして3回目。
カズモト博士の手は鋏を形作っている。対してレックは手を広げていた。そう、紙だ。

「おお!勝った!すげえ、さすがは主席心理学士!」

「初めて彼が負けたなあ。今まであいこにもならなかったのに」

「あちゃー、やられたな。最初に勝てなかった場合3回目ってのは一番危ないんだぜレック。特に相手が人の心を読むプロだった時はな」

ソロの言葉に驚き、レックがカズモト博士を見やる。

「ふふ、それを言うのはなしですよ。私について知りたければ勝ってくださいね」

訳した文章を聞き、変わらず優し気な笑みを浮かべるカズモト博士。

「心を読むプロ?どういうこと?」

「何か特殊な・・・超能力とかがあるんじゃないのか?」

レックの後ろで続けざまの勝負を見ていた仲間達が話し合う様を見て、心理学を知り尽くした男はにこやかに微笑みながらソファに腰を沈める。

・・・その後彼らは全員がかりでラスボス、もといカズモト博士を倒しにかかったが、幾度かドローにはなるもののついに勝ちを得ることはできなかった。
未来文明の最新心理学の前に惨敗を喫したのである。

「なるほど、これで丁度良く自己紹介が終わったってところだな。一人を除いては」

「だな。でもカズモトさんに勝つのはもう難しいんじゃないか?」

「そこで、だ。特別に助っ人として俺が参加しよう」

「え、お前だとほぼチートじゃねえか」

「わかってる。だから俺は絶対に予知はしないのが前提だ。予知はしないがクリアは使って、カズモト博士と同じように心理面の探り合いだけでやる、これでどうだ?」

「おお・・・それはいい。見応えのある勝負になりそうだね」

その後の勝負では延々と引き分けが続き、手を出す回数が100を数える頃ソロの勝ちで決着がついた。ソロは手で顔を押さえて空中に倒れ笑い転げていたが、カズモト博士は苦笑しながら右手の手首を回していた。

「敗因は疲弊による集中力の低下ってとこだな。その点俺はエネルギーをいつでもどこからでも補給できるから有利だったわけだ」

「どっちみちチートじゃねえか!つか見てる方ももう疲れたよ!」

「お前ってツッコミうまいよなランディ。まいいわ、やっとカズモトさんの自己紹介が聞けるってわけか・・・」

「そうですね・・・。・・私はコウキ・カズモト博士です。心理学と言って、人の心・・・意識の動きや表出としての働き・・言うなれば心の科学を研究する仕事をしています。
ですので、貴方がたの仕草や表情、言動などからジャンケンで何を出すか予想したり、自分がどれを出せば勝ちやすいか考えるなど面白い芸当が身につくわけです。今もこれまでとほとんどやっていることは変わりませんね・・・あ、好きなものは紅茶です。最近は色々なブレンドを試していましてね・・・」

・・そしてカズモト博士の自己紹介と紅茶に関する熱の入った語りが終盤に差し掛かる頃、コーヒー色の髪とアイスグリーンの瞳を持つ青年アレルは気付き始めていた。
ガラスの壁の向こうに広がる、代わり映えのない暗く寂しい夜空を横目に見ながら。

・・自分たちがこの世界に来てからもうかなり時間が経った。だが、おかしい。
夜空。星ひとつない、漆黒の闇が広がる空。この景色がいつまで経っても変わる気配を見せないのだ。


・・・・この世界には、朝が来ない・・・?



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