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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録007

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少しの間呆気に取られていたベルティーニ博士は、しかしすぐに何のために自分がここに来たかを思い出し縋るような思いでソロに声を張り上げた。
また事も無げに断られることを心底覚悟していたが、返ってきた答えは予想外の物だった。

「わかった。一刻を争うんだったな。スワードソン博士とベクスター博士も来るといい」

「・・・は?来るって・・・どうやって。軍部にか!?」

少し混乱気味のベクスター博士を尻目に、ソロは2人の仲間に声をかけた。レックとアルス。彼らの中で最も強い魔力を持つ2人だ。

ベルティーニ博士がソロの腕を持つ。そしてレックがスワードソン博士を、アルスがベクスター博士を重力操作で空中に浮かび上がらせた。

「な・・・何だこれ!?待っ・・・」

「俺達の使う瞬間移動だとあんたらの身体は耐えられないから、引力で運ぶぞ。だが急がないといけないからちょっと辛いかも知れんが我慢してくれ」

浮き上がった身体が勝手にソロ達の方へ引き寄せられる。

「ちょっ待て、嘘だろ!?まさかこのままここから飛んでくんじゃねえだろうな!?」

「そのまさかだ」

言葉を失い呆然とするベクスター博士に、スワードソン博士が多少引き攣った笑顔を向ける。

「ま・・・まあ、死にはしないさ。多分。珍しい体験ができると思えば・・・」

その言葉にベクスター博士の顔が青ざめる。直後、2人の身体は空中に飛び出した彼らと同時に夜空へと放り出された。
――――――――――――――――――
――――――――――――


―エリアS16 総軍部特別収容領域にて 

・・・“それ”の意識は混濁していた。夢を見ているのかも知れない、その自覚はあった。

頼まれた書類の整理をしながら、にこやかに微笑む相手と言葉を交わす。
彼女といると不思議と心が安らぎ、辛い実験や犠牲になっていく生物たちの悲しみを忘れていられた。少し恥ずかしいけれど、心のどこかで彼女は自分の母親のようだと思っていた。

紅茶の香り。・・・・いつも話を聞いてもらっているあの人の香りだ。安心もするけれど少し緊張するイメージがある。

・・・・・・・?・・・・・緑色の髪・・・?・・・・・・黒い服・・・・誰・・・・・

――どこか遠くの方から、沢山の人間の声がする。目は開いているが視界は限界までぼやけており何も見えない。

身体を動かすこともできない。まるで感覚がなく、身体がここにあるのかどうかすら怪しい。
だが徐々にそのわけのわからなさは薄れていく・・・いつもそうだった。この体には、この世界の薬物は相性が悪い。すぐに効果がなくなってしまう。

やがて視界は鮮明になり、声も言葉を聞き取れるまで聞こえるようになった。
・・・・・。・・・・・追加の投薬がない?いつもならかなり小刻みに麻酔薬を打たれるのに。

今自分を取り囲んでいる人間達の顔にはどれも見覚えがない。知らない人達だ。まさか、自分には薬が効かないことを知らない?

・・ここは・・・アルカディアでは、ない?

・・・妙だ。そもそもなぜ自分に意識があるのだろう。脳に埋め込まれたはずの人工知能は?
そしてなぜ、知らない科学者たちに取り囲まれているのだろう・・・?

奇妙な感覚。ふと危機感を覚え、感覚がはっきりと戻っても意識がないふりを続けた。
そして会話に耳を澄ます。

「・・・・・から・・・―・・・くらいの金額が保証・・・るって話だ」 「・・また・・・・――」

「・・・つも可哀想にな――」 「所詮は使い捨て―・・・の・・・・・」

・・・・・使い捨て?

「・・・・・―いに・・・・薬物処分とは・・・」

薬物、処分・・・。・・・・・・―――――!!

処分・・・・・・・・・・・・・・・
       ・・・・・・・・・・・・・・・殺され・・・・・・る・・・・・・・・?

・・・・・・・注射器。かなり大振りの。あれは、あの色と匂いは。あの量は駄目だ。鈍く銀色に光る・・・・
針が、腕に近づく。近づく。・・あれが刺さったら・・・・・・・・・

・・・・・・・死ぬ・・・・・・・・・・?

   

――それは一瞬の出来事だった。



拘束具が大破し、強化ガラスの壁が一斉に破壊される。周りに待機していた研究員達は一人残らず吹き飛ばされる。注射を試みていた研究員は防護壁に身体を強く打ち付け即死した。

“それ”は簡易手術台から転げ落ち、床に身体をぶつけて苦しんでいたが、やがて手術台に手をかけふらつきながらやっとのことで立ち上がる。そしてよろよろと走り出しエリアを遮断する扉までたどり着くと、壁伝いに移動を始めた。

生命体感知器が絶叫し、この世の終わりを告げるようなけたたましいサイレンが領域全体に響き渡った。

・・・・・苦しい。肺が爆発しそうだ。なぜ自分はこんな知らない場所をよろめきながら必死に走っているのだろう。心臓を鷲掴みにされているかのような激しい恐怖で胸が満たされている。なぜこんなにも怖いのだろう。

決まっている殺されそうになったからだ、なぜ殺されそうになった?覚えていない何も思い出せない。自分は一体何をした?

乾燥した空気にさらされ続け、浅く早い呼吸を繰り返しているためか喉の粘膜がずきずきと痛む。
どこへ向かえばいいのだろう。さっき通り抜けた防護壁に描かれた巨大な数字には見覚えがある、ここは恐らく軍部、防護壁の数字は7だったつまりここはエリアS16区域。アルカディアまで足で移動するなどとてもできそうにない、その前にもう数分も経たないうちにここへストライクチームが武器を持ってやってくるだろう、ひとまず安全なところに身を隠さなくては。

ほとんど体を引き摺るようにして走り続けながら、頭の中に覚えている限りの地図を広げる。クリアの映像記憶のおかげでここがどこかも割り出せた、隠れられる場所は一番近いところで126ヤード先の武器庫だ。だがこの速度でそこへたどり着くには最短でも2分31秒時間がいる。・・無理だ、95.9%の確率でそれまでにストライクチームに囲まれる!

・・どうすればいい・・・?何もしなければすぐに殺されてしまう。だからといってもうこれ以上人を傷付けたくない。どうすれば・・・

・・・・・・足音だ。足音が聞こえる。数は数十人・・・40人以上いる、距離は約43ヤード。歩幅と走るペースから考えられる装備の重さと大きさから見るにアルファだ。

━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━━─━─━─

ノーメマイヤーの指示を受け、αストライクチーム―戦闘用の機械歩兵部隊―は完全武装の上エリア内を移動していた。インタプリタの研究員達が、アルカディアのレベル5オブジェクトの処分を試みたが失敗し脱走が起きたというのだ。

ノーメマイヤーから直接送り込まれる情報に従い、最短距離でオブジェクトとの間合いを詰める。
そして命令された場所に辿り着いた――が、そこに対象の姿はなかった。

アルファ達は隊列を解除し、まばらに散って探索を開始する。