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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録007

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「僕も今必死に考えてる。ひとまず彼女に追い付かなければ・・話はそれからだ」

ベルティーニ博士はテータジャイロ―エリア間を移動する際に使用される航空機―の離着スペースに着くなり、待機していたパイロットに指示を出そうとした。

パイロットが彼女の姿を確認し声をかけようとしたその時。
大きな音と衝撃波と共に、テータジャイロの機体が下の金属床ごと大破した。そして驚き逃げ出そうとするパイロットの身体が宙に浮かぶ。

よく見るとその体には白く光る触手のようなものが巻き付いていた。そしてパイロットは悲鳴を上げながら持ち上げられ、下から現れた怪物の本体に向かって放り投げられる。
流動する細長い本体の滑らかだった表面に突如巨大な穴が現れ、パイロットはその中の闇へ吸い込まれていった。

穴が閉じるとぐしゃり、という言い表しようのない音が鳴り、穴が閉じた後の切れ目から赤い液体が一筋零れ落ちた。

ベルティーニ博士は悲鳴を上げることもできずに後ずさり、目を見開く。そして宙に浮かぶ白銀色の化け物を見上げて呟いた。

「・・・・・ナピアス・・・・・・」

音速をはるかに超える異常なスピードで動き、ありとあらゆる生物を食い荒らす白い悪魔。これまで2度しか観測されておらず、個体数も非常に少ない。レーベンスボルンを襲うクリーチャーの中でも極めて危険な生物だ。

手先に震えが走り、全身が一度冷たくなったあと冷汗が滲み出てくる。呼吸が止まった状態のまま、ベルティーニ博士は振動する床の上をふらふらと後ずさった。

白い表面に突然赤黒く透き通った球―おそらく眼球の役目を果たす器官―が現れ、ぎょろりと動いた。・・その先には強張った表情のベルティーニ博士の姿がある。

「・・・・!」

それに気付き、彼女があまりの危機感に動きを止めた―――
次の瞬間。

後方から光のようなものが一閃、床から宙に浮かぶ化け物へと走った。
光がぶつかった瞬間、ナピアスと呼ばれる化け物は大きくよろめき悲鳴のような甲高い音を立てる。
・・化け物の細長い体に直線が浮かび上がり、直後その線から化け物が真っ二つに割れた。
断面から黒い粘着質な液体が吹き出し、動きが止まり空中に制止した白い体を染めてゆく。

「・・え・・・・?」

そして直後、ベルティーニ博士の目の前に何かが落下―着地した。
・・白い戦闘服。青い髪、両手に握られた一対の片手剣。
レックだ。

彼は背後を一瞥し博士の無事を確認すると化け物に向き直り、剣を構え直した。

「・・・・・・・・・・」

そして次々と同じように、複数人のMolecule Changer達が離着スペースに降り立つ。

「アリー!無事かっ!?」

背後から飛んだ声に振り返ると、ベクスター博士とスワードソン博士が駆け寄ってきていた。その頭上にはソロもいる。

「・・・ッ無事よ・・・彼のおかげで助かったわ。ソロ、後でお礼を言っておいてくださるかしら」

「もちろん。・・厄介な奴が現れたな、あれは再生型だろう。いちいち再生する奴ばかりで鬱陶しいな」

多少面倒臭そうに地面に降りると、ゆったりとした足取りで彼の仲間達のもとへと向かう。
徐に立ち止まると、一度深く息を吸い込んだ。
そして――信じられないほど大きな声で叫んだ。

「・・・・・!?」

だが叫んだといっても何か喋っているわけではなく、ただ口を開けて声を出しているだけだ。
そのあまりの音量に空気がびりびりと震え、キィン・・・という音と共に博士達の耳はソロの声以外を受け付けなくなった。

「な・・・何だ・・・!?」

喋ったはずなのに、自分の声がちっとも聞こえない。ベクスター博士は戸惑った。

・・徐々に、ソロの声の音程が上がっていく。どんどん高く、またどんどん遠く大きな範囲に広がっていくような気がした。

やがてその声が、まるで録音したものを小刻みに再生と停止を繰り返しているかのように途切れ途切れになる。一定の間隔のブランクが徐々に大きくなっていき――

ついにほとんど聞こえなくなるレベルまで声が高くなると、不思議と周囲の音や感覚が戻ってきた。

「っ・・・何だったんだ、今のは・・・・・」

じんじんと痛む耳を手で押さえようとして、スワードソン博士は異変に気が付いた。

・・上げた手の動きが異様に速かったのだ。軽く腕を上げただけだったのに、全力で腕を振り上げた時より速かった。

「え・・・」

「な・・・何なの、これ」

見ると、化け物と戦うMolecule Changer達の動きも速度が上がっていた。ただでさえ速かったが、今はもう目で追うのがやっとというほどの速度だ。

ソロが振り返る。その動きだけは、なぜか加速しておらずもとのままだった。

「周波数と音階の持つ可能性を極限まで使うとこうなる。俺の身体とこの世界の物理法則だからこそ成せる業だ」

そう言って微笑むと、ふわりと宙に浮かび上がる。そして化け物の方に向き直り、消えた。
――――――――――――――――――
――――――――――――


「・・ソロ!なあこのすっげえピオリムってお前がやったんだろ!?」

「そうだ。あの化け物の本気の速さは俺達でも目で追えないからな。だがまともに戦うには俺達の意識も加速させないといけない・・・行くぞ」

そう言うと、ソロは両手を低く広げる。そして歌い始めた。

「・・・・・・!」

再び、鼓膜から全身に震えが走り麻痺する。弱い電流に似た小さな痛みの波が去ると、動き出した白い化け物の動きがまるでスローモーションのように鈍く見えた。

「・・よし!これなら・・・」

「うん、行けるね!!」
――――――――――――――――――
――――――――――――


一定のメロディーに乗せて紡がれる逆再生の言葉と特殊な周波数を持つ声の効果は凄まじかった。

様々な色の閃光が立て続けに空間を駆け抜け、目では到底追えない速度で動く化け物の身体を的確に切り裂き破壊してゆく。

・・何重にも加速された戦いは、本来の速度から観測すればほとんど一瞬で片が付いた。

焼け焦げ、細切れになった化け物は黒い煙を上げながら、ゆっくりと落下し闇の中へと沈んでいった。

・・・・・・しばらくすると耳から体の感覚が完全に元に戻り、あらゆる速度も現実感のあるものに戻った。

「・・・・・・・・・・・・凄い・・・・これが彼らの力なのね・・・・」

軍部が最新の重火器をいくら用意しても傷一つつけられなかったナピアスを、いとも簡単に倒して見せた。
・・・・次元が違う、桁が違うなどという言葉は今までよく耳にしたが、これほどそれらの言葉が当てはまる光景はないとベルティーニ博士は思った。

「・・ナピアスとかいう化け物は死んだぞ。これでひとまずは安全だ」

「すげえなおい・・・あんなに簡単に倒しちまうなんて」

「簡単?いやいや、かなり手間取ったし多少は苦戦もしたぞ。ただもの凄い速さだったからそう見えなかっただけさ」

「・・・ねえ、お願いがあるの。ワンのことは知っているんでしょう?私をあの子のもとまで連れて行って!」