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機動戦士ガンダムRSD 第13話 新η艦隊出撃

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激戦を潜り抜けたα艦隊は、マドラス基地へと急いだ。
「艦載機の収容が全機終了しました」
 エルヴィン中尉が艦載機の全機収容を報告した。
「もうこれ以上の追撃は、ないと考えたいところだけど判らないな。
パイロットは、兎に角休ませろ。
ミハイル、各艦の被害状況の把握を急げ」
 マーカー艦長は、希望的観測をいいミハイルに命令した。
「了解」
 ミハイル副艦長が答えた。
マーカー艦長は、緊張が切れたのか大きく息を吐いた。
「ダメージコントロール、各セクションは速やかに状況を報告せよ」
 ミハイル副艦長が各艦に命令した。
「でもこうして切り抜けられたのは、間違いなくサオトメ大佐のおかげだな」
 マーカー艦長は、素直にサオトメの力を褒めた。
「はい、信じられませんよ。
空母2隻を含む敵艦6隻ですからねえ、6隻。
そんな数を私は、聞いたこともありません」
 ミハイル副艦長が興奮しながら言った。

             ※

 リーン・ホースJr.のマン・マシーンデッキでは、サオトがガンダムサイガーMk-2のコックピットを開けた。
「副隊長」
 すると部下たちがサオトメを呼んでいた。
サオトメは、その声に導かれるように昇降リフトで下に降りた。
「聞きましたよ。
すごい活躍でしたね」
 部下の1人は、サオトメと握手しながらそういった。
他の部下たちも目を輝かせながらサオトメの活躍をたたえた。
サオトメは、エリート中のエリート艦隊であるα艦隊であれば自分の戦果などで皆は喜ばないと思っていたので困惑してた。

             ※

「もう間違いなく勲章ものですよ」
 ミハイル副艦長は、興奮しながらそういった。
「ニュータイプというかサオトメの力なのか」
 マーカー艦長は、冷静にそういった。
「え?」
 ミハイル副艦長は、マーカー艦長が何を言いたいのかわからなかった。
「何故バイオ脳ではなくサオトメにあの機体が預けられたのかずっと不思議だったけど。
まさかここまで解ってったってことなのか。
総統は」
 マーカー艦長は、なぜアダム総統が宇宙軍兵学校の在籍生にガンダムサイガーを預けたのか不思議でいっぱいだった。
「かもしれませんね。
総統は、戦略の天才ですから」
 ミハイル副艦長は、アダム総統が先見の明を発揮することで有名なことを言った。
マーカー艦長は、その言葉に何度もうなずいた。
「いやそれにしても凄かったです。
あの状況を突破できるとは、正直自分も思いませんでした。
噂に聞くヤキン・ドゥーエのリード中将やマーク少将だってここまでじゃないでしょう。
うん」
 ミハイル副艦長は、サオトメがガンダム四天王をしのいでいると考えていた。
マーカー艦長は、ミハイル副艦長の言葉を聞いて微笑んだ。
「マドラス基地に入ったら報告と共に叙勲の申請をしなくちゃならないな。
軍本部もさぞ驚くだろうな」
 マーカー艦長は、サオトメの戦果にサイド8の人間が目を見開いてるのを思い描いていた。

             ※

「さあ。
ほらもうお前ら。
いい加減仕事に戻れ。
マドラス基地までは、まだあるんだぞ」
 サイジョウ元帥の言葉でお開きになった。
サオトメもその場を離れようとするとカレン中尉が近づいてきた。
「だけど本当にすごいです。
サイジョウ元帥を助けるなんてスーパーエース級じゃないですか。
次期元帥も狙ってるわけですか?」
 カレン中尉は、サオトメに一緒に歩きながら野望があるか質問した。
「相手が雑魚だったからさ。
それにサイジョウ元帥の技量であればあれくらいの危機は、自分で打破できるし軍艦の撃沈数だって俺より多いさ」
 サオトメは、謙遜した。
「じゃあ元帥には、ならないんですか?」
 カレン中尉は、残念そうに質問した。
「まあ、兵学校を卒業したことになってるしこれだけの戦果だ。
いずれは、なるだろう」
 サオトメは、客観的というかあまり興味がなさそうに答えた。
「なんにせよお前が艦隊を守った。
生きているということは、それだけで価値がある。
明日があるということだからだ」
 そこにサイジョウ元帥が来て働きをたたえるとサオトメの肩を軽くたたくとその場を去った。
 サイジョウ元帥は、満ち足りた気持ちで自室に向かっていた。

              ※

「議会は、決議しました。
これを受け政府は、来週にも世界安全保障条約機構に正式加盟する方針です」
 オーブ首長国連合では、アナウンサーが地球連合に加盟することを伝えていた。
 カガリは、父であるウズミ前代表の墓標に花を添えていた。
そしてこれまでのことを回想していた。
「私は」
 カガリは、自分が取った道が本当に正しかったのか自問自答した。
「相変わらずだねえ此処は」
 そこにユウナが来た。
「まったく昔のままだ。
おじ様達の墓ももういい加減ちゃんとしないといけないなあ」
 共同墓地は、豪華に造られているとはいえ早急に造ったため所々に荒さが目立っていた。
「此処だと思った。
でも駄目じゃないか。
護衛の1人も連れずに歩き回っては」
 ユウナの忠告にカガリは、反論できなかった。
「オーブ国内は、安全とはいえ今は情勢が情勢なんだよ?」
 ユウナは、そういうと墓標の前で死者たちの安らかな眠りを祈った。
 カガリとユウナは、ユウナが乗ってきたセイラン家専用のリムジンで帰途についていた。
「それで何の用だ?
用があるから来たんだろ、わざわざ。
だったら早く言えよ」
 車内は、静寂に包まれていたためカガリはユウナに用事を言うように催促した。
「やれやれ。
君は、まずその言葉遣いをなんとかしなとね。
国の母であろう立場のはずの君がいつまでもそんなんじゃやがて皆呆れるよ?
今は、良くてもね」
 しかしカガリは、変える気などもうとうなかった。
「僕はさっきおじ様の碑に御報告と誓いを申し上げてきた」
 カガリは、ユウナの報告内容が気になった。
「オーブもカガリも僕が命に代えても守りますってね」
 ユウナは、カガリに報告内容を言った。
「ユウナそれは」
 カガリは、結婚は時期早々だと感じていた。
「だいぶ慌ただしくは、あるが式はオーブ艦隊派兵による凱旋後になった」
 ユウナが式の時期を伝えた。
カガリは、その言葉に驚いた。
「最近の情勢には、国民も皆動揺してるからね。
我々首長たちは、皆想いを同じくし一丸となって国を守った。
その成果を示す意味もあるし」
 ユウナが結婚の意味を言った。
「そんな。
ちょっと待てよユウナ。
私は、まだ心の準備ができていない」
 カガリは、慌てふためいていた。
ユウナは、突然カガリの手を握った。
カガリは、恐怖で身を引こうとしたが狭い車内では引ける距離などたかが知れていた。
「子供の時間は終わりだよ、カガリ。
ちょっと早くて可哀相な気もするが」
 カガリは、産まれて初めて男性への恐怖心を感じた。
「君も僕もコーディネイターなんだ。
そしてオーブは、地球連合に加盟する」
 もはやカガリは、自分には何も決定権が存在しないことを思い知らされた。
「派兵艦隊には、オブザーバーとして僕も乗る」
 カガリは、その言葉に驚いた。