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勅使河原 知利
勅使河原 知利
novelistID. 331
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【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ

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「それに、お前に勝手に死なれたら、この俺はどうすればいい・・?

――誰が俺の相手してくれるんだよ・・・?

他の奴じゃ物足りねぇんだよ、お前しか居ねぇんだよ・・・なぁ?」


今まで自分に懇ろに伝えられた言葉とは違う―
その吐露された感情に、驚きを隠せなかった

もっと、深い・・本能的な
昂ったことで剥き出しになった想い

恋慕だとか、愛情だとか
そんなでは単純な物では決して無い

何と呼べばいいだろうか・・・

改めて言葉にされれば
自分の心臓が早鐘を打つ様に、鼓動が跳ね上がった


「―――そして」



「え・・待って・・」


幸村の静止を聞かず、政宗は先程落とした懐刀を拾い、
握り返して、天高く振り翳した
其れを畳に深く突き刺し、刃は幸村の左頬を掠めていった

そして、互いの鼻先が付くくらいに顔を間近に近付け
真っ直ぐに見つめて言い放つ


「アンタに手をかけられるのは、この俺だけだ・・・you see?」


静かな中に覗かせる狂気に、ぞくりと背筋が凍る
でも、それと同時に


熱い高揚感を覚えた


――眠っていた感情が覚醒するのを感じる・・・


やはり俺は

この男の、自分に向けられた執着に

惹き付けられてしまっているようだ・・・・


「―政宗殿が、某に生き続ける為の理由を与えてくださるのですね?」


「あぁ・・逆も然り、だぜ」


「それは・・・光栄でございますな」


正面から政宗を見据えれば
身を起こして、先程とは一転して、此方に柔らかい表情で微笑み返してきた


「・・・いい眼してるぜ、アンタ」


慈しむ様に、幸村の頬を撫でながら
そう言い残して、新しい止血帯を取りに部屋を出た





手首にある傷痕を見やって
自分の愚かさを悔い
政宗の言葉を何度も反芻させて、決意を新たにする




俺は、此方ですべきことがある

未だ・・向こうに逝くことはない――







‐END‐