【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ
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真っ暗闇とはこういうものを指すのかと
今、目の当たりにして思った
此処は…何処だ…?
不安と焦燥感に駆られている、その時
「そこのお前さん」
声の主を見ようと振り向けば
黒い布で全身を覆い隠し、手には蝋燭の灯りを一つ持った
背丈が自分と同じくらいの人物が独り、佇んでいた
「そこのお前さん、この船に乗るのかい?」
「…船で、ございますか?」
指された方向を見れば、木で出来た渡し舟が一隻浮かんでいた
「はい、漕ぎ出したら、引き返せませんよ…片道切符ですんで」
「―来たからには、乗らねばなるまいな…」
「そうさねぇ・・おっと、その手荷物は邪魔だね、置いてきな」
「しょ、承知した」
携えていた三つ又の愛槍二本を
少々名残惜しくもあるが、足元に置いた
「で、お代なんだがね…」
「・・この銭で、」
足りるかどうか訊こうとしたところ
予想を裏切る・・
というより、想像を遥かに上回る返事が返ってきた
作品名:【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ 作家名:勅使河原 知利