【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ
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彼が船頭になり、あの渡し場を発って
暫くすると、唐突にいろいろと訊ねられた
生い立ちから
自分の身体にある傷一つに纏わることまで
そうやって話し出せば
頭の中が白くなっていくのを感じた
アレ…俺ハ…誰ナンダ?
その境い目すらも、危うく見失いそうになってきた
でも話すことは止めることが出来ない・・・
そして、一頻り話し終えれば
船頭がこんな話を切り出してきた
「ここには、ゆく先を知らずにやってくる奴が山ほど居るんですよ
自分がどの様な状況に立たされているかも知らずに
この船に乗って向こうまでいこうってね
そんな奴、珍しくもないんだけどね
…寧ろ多いんですよ、アンタみたいに」
そう言われば…
何故この様な場所に居るのだ…?
俺は、戦場に居て・・
戦の真っ只中で・・―?
――あれ、何をしていたのであろか・・・?
思い出そうとすれば、脳髄にピリっと小さな痛みが奔る
作品名:【戦国BASARA二次創作】声の呼ぶ方へ 作家名:勅使河原 知利