のび太のBIOHAZARD カテゴリーFの改造版
「……そうですね。今は後悔することよりもやるべきことがありますね」
二人の言葉でのび太も前向きになれたようだ。
「校長先生には悪いけど、調べさせてもらいましょう。僕はこの机を調べます」
「でしたら、私はこっちの棚を調べますね」
「私はその間天井を見張っておくわ。さっきの化け物がまた来たら困るから」
調査役と見張り役を決め、校長室の探索にとりかかった。
「ここにも弾があるな。今のうちに弾込めをしておこう」
右側の一番上の引き出しを開けると、ハンドガンの弾が三十発入った箱あった。のび太はそのうちの十五発を先ほど空になったマガジンに込め、残りの弾と一緒に四次元カバンの中に入れた。
「まだ何かあるな。これは……ライターと鍵か」
引き出しの奥のほうには、校長の愛用品らしきオイルライターと、小さな鍵が一つあった。
「のび太君、その鍵はもしかしたらこの棚の鍵かも知れません。お借りしてもいいですか?」
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
聖奈がその鍵を借り受けて棚の引き戸の鍵穴に差し込んで回すと、ガチャリ、という音がした。どうやら当たりだったようだ。聖奈はすぐさま戸を開けてみる。
その中にあったのは、三枚のMOディスクであった。
「確か、このディスクは裏門を開けるときに先生たちが使ってたような……」
「はい。このディスクを学校内三カ所に設置された端末に差し込むと、パスコードが送信されて裏門のロックを解除できます」
のび太にそう説明してから、聖奈は三枚のMOディスクを四次元カバンに仕舞った。普通のMOディスクならとることはないだろうが、これらは裏口を開ける鍵になっている。脱出経路を確保するためには必要なものだ。
このMOディスクを手に入れてからも、二人は机と棚の調査を続けたが、目ぼしいものは見つからなかった。
(……ん? あのパソコンつけっぱなしだな。さっきまで校長先生が使ってたのかな?)
次はどこを調べようか、と考えていたのび太がふと前を見ると、部屋の中央にある応接用テーブルの上に置かれた、電源が入ったままのノートパソコンが目に入った。のび太はパソコンに近づくと、マウスを使って少しいじってみた。
(これは……動画みたいだな。ちょっと見てみるか)
すると、一件の動画ファイルが見つかった。どうやら、校長は死の直前までこのパソコンでこれを見ていたようだ。こんな非常時に見ているということは、何か重要なものに違いない。そう考えたのび太は、動画を再生してみることにした。
「ここはこの学校の更衣室かな? あっ、聖奈さんと咲夜さんが入ってきた……」
動画の内容は、この学校の更衣室の監視映像であった。再生から五秒ほどで、体操服にブルマ姿の聖奈と咲夜が、談笑しながら入室してきた。
「私と咲夜がどうかしましたか?」
「何か見つけたの?」
名前を呼ばれた二人が、のび太が何を見ているのか気になって彼のもとにやってきた。
画面の中の二人がおもむろに服を脱いで下着姿になったのは、そんなときであった。
(こっ、これは……!)
聖奈も咲夜も小学生にしては良いモノを持っており、隠しカメラはそれらをベストポジションで撮影していた。画面の中の絶景に、思わず見入ってしまうのび太。
「~~ッ!?」
「ちょっと! これ明らかに盗撮じゃない!」
聖奈は声にならない叫びを上げて慌ててパソコンを閉じ、咲夜は知らぬ間に行われていた犯罪行為に憤りを露わにする。どうやら、校長はこの非常時に生徒の盗撮動画で自分の欲望を満たしていたようだ。とんだ変態ハゲオヤジである。
「ぼっ、ぼぼぼぼ僕はなな何もみみみみ見てないですから!」
何も見ていないと主張するのび太だが、その挙動の不審さからバッチリ見てしまったであろうことは聖奈と咲夜にも察しがついた。
「「の、の……」」
「の?」
「「のび太君のエッチ!」」
「ぶふぉぅっ!?」
聖奈の右手と咲夜の左手が、バッチーン、と勢いよくのび太の頬を張った……。
作品名:のび太のBIOHAZARD カテゴリーFの改造版 作家名:カテゴリーF