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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録008

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すると案の定、気付いたいくつかの部隊が武器をこちらに向けてきた。

「・・おい、また撃って来るぞあいつら・・・」

「かもな」

ソロが前に進み出る。

「おい兵隊ども!よく聞けよ。お前らが今から攻撃しようとしてるのが何なのかは飼い主から聞かされてないだろうが、それはお前らが奴らにとって使い捨てだからだ!死にたくなければすっこんでな。そんな粗末な武器が役に立つとは思わないことだ」

「ちょ・・それじゃ悪役みたいだぞ」

「いんだよアホにはこんくらいで。・・とにかく、お前らの親はお前らのことを銃の弾程度に思ってるってわけだ。五体満足で家に帰りたきゃ今すぐこのエリアから離れるこったな!!」

ソロが言葉を切ったその時、攻撃態勢を向けられていた基地内部から爆発音に似た何かがさく裂した。
・・見ると基地の建物が小刻みに揺れ、上部に入った斜めの直線から綺麗に切れて崩れていくのだ。

「うわっ・・・」

「もう攻撃が始まっているようだよ!あれはワンのクリアだ・・・」

ソロは盛大にため息をつき、次に大きく息を吸うと――

「コラああぁぁぁッ!!!死にたいのか貴様らぁぁ!!」

その場にいたほぼ全員、そして兵士たちが仰天した。

「耳が悪いみたいだな!もう一度言うぞ死にたくなければすっこんでいろ!!今すぐケガ人引っ担いで逃げな!!」

そのあまりの剣幕と一瞬で崩壊した基地にさすがに恐れをなしたか、兵士たちが動揺しざわめき始める。

「ふん、せいぜいビビるがいい。奴もじき出てくるはずだ」

「出てくる?・・まずいんじゃないのかそれ」

ベクスター博士が呟いた。

「ああ出てくるっていうのもな、もうひとつふたつ厄介なのが現れるからそれから逃げるためだ」

「厄介?」

ソロが振り返り夜空を見上げる。つられて博士もそこに視線をやると、なにやら陽炎のようにも見える歪みが空に浮かび上がっていた。

「・・・おいおいおい冗談じゃねえぞ!こんな近くにいたら!!」

「この歪み方はナピアスだ、まさか・・奴が2度も連続で現れるなんて」

2人の博士が動揺を隠せずに後ずさる。同時にMolecule Changer達が武器を手に取り身構える。

「・・ワン・・・ワンは出てくるのね?」

「ああ、だがあの化け物から逃げるためだから今すぐ接触はできないな」

やがて空間の歪みから白く光る細長い触手が数本はみ出てきた。そしてその先の細長い本体が顕になる。そこには既に赤い球があり、本体の表面を縦横無尽に移動しながら周りを確認しているようだった。

「目が既に出てきてるぞ。本気モードだ、最初から・・・どうなってんだよ。まさかあの時の奴がまだ生きてたのか!?」

「いや、あいつはあの場で確実に死んだ。同族が意趣返しに来たのさ。どうやらあの白い奴らは相当仲間意識が強いらしいからな」

そして仲間を倒した彼らを見つけるなり、化け物は全身を震わせて怒り狂ったように甲高い振動音を発した。

「来るぞ!」

「くっそー、やっぱこうなるのか!」

「ベルティーニ博士。ワンを追うのはこいつを片付てけからだ。軍部の奴らはさすがに逃げるだろうから放っておく。安心しろ、あんたらの安全は俺が保証するからそこにいてくれ。あと耳を塞いでおいた方がいいと思う」

「わ・・わかったわ・・・」

ソロが博士達の前にクリアのシールドを展開し、怪物を見やる。

「・・ああ、さっき倒した奴の母親か・・・どうりでデカいし速いわけだ」

「ソロ!早送りのやつ頼む!」

「はいよー」

先程と同じように声の周波数と入り組んだ音程の力で細胞を強化し、今度はさらに言葉で加速を加えて音速を超えられるほどまでに進化させた。

眼前で繰り広げられる目でとらえきれない神速の攻防に、ベクスター博士は舌を巻き耳を塞ぎながら呟いた。

「・・夢だよな・・・これ・・・」


「ぐっ・・こんなに速くしてるのに食らうのか攻撃・・・いってえ」

「大丈夫かい?べホマ!・・あの白い子はなかなかの強敵だねえ」

「サンキューアベル。そうなんだよなあ、あと見た目がちょっと気持ち悪いよな・・・ん?」

音速を超えた一撃を脇腹に食らいよろけたエックスに、アベルが回復呪文をかけた。
とその時、身体がほんの少し重くなり皮膚が張る感覚が全身を包んだ。

「・・・大丈夫?今スクルトしておいたけど・・・」

「サマル。ありがとな、これで楽に戦えるぜ」

「エックスさん、大丈夫だった!?こいつさっきの奴より強いね・・・大きいからかな。魔法もなんだか効きにくいし直接攻撃した方がいいかも知れないよ!」

少し遠くからアルスが叫ぶ。その傍らではナインが巨大な黒い波動から闇色の電撃を打ち出していた。

「何だあれ、ドルマドン!?ナインお前そんなの使えたの!?」

「はい、消費が大きいのでちょっと控えていたんですが・・・どうやらこの魔物は闇属性に弱いようです」

「てことは光属性?うーん、白いしそうなのかなあ」

「おーい!ナイン、アルス!ちょっとそいつそこから動かないように攻撃しててくれないか!?」

はるか上空まで飛び上がったレックが声を張り上げた。

「・・いいけど、そんなところから何するの!?呪文とか届かないと思うよ!?」

「大丈夫!!」

「・・あいつマジで何する気だ?魔力のオーラは見えるけど・・・」

「・・・。もしかすると、重力操作で何かするつもりなのでは?レック殿は覚えも早かったことですし、練習がてらに新しい攻撃法を編み出したのやも知れません」

「ああ、あれだけの魔力なら・・・ひょっとしたら可能かも知れない」

「可能って何が?・・まさかとは思うけどあのまま突っ込む気じゃないよな」

「そんな感じに見えますね。レックさんならやりかねない気がしますよ」

目を細めてエイトが呟く。そしてその予想通り、青白い電撃を纏ったレックがもの凄い速度で急降下し――

「おっしゃぁ!食らえええぇぇぇぇッ!!!」

白い化け物の目と思われる赤い球に、重力加速によって超強力になったキックを食らわせた。

「うわあぁ!ちょ・・衝撃波が凄い!」

「・・でも見て!あいつの目みたいなところが割れて壊れたよ!」

鋭い蹴りによって目が粉砕され、化け物は苦痛と怒りに絶叫した。

「・・・よし、いいこと考えたぞ!俺の世界にはもともと重さを増やす呪文があるんだ。それと同じやり方であいつの重さを増やせばもっと強力にできるんじゃないか?」

「なるほど!エックスさん頭いいね!」

「スクルトもかかってるから身体は耐えられるだろうし、確かに妙案だ。レック、今のもう一回できるか!?」

「これぐらいなら何回でもできるぜ!」

アレルの問いに、早くも再び上空に駆け上がりながらレックが応える。

「よおし、じゃあやってみようぜ。せーーのっ」

エックスの掛け声で、ナインとアルス以外の全員が魔力をレックの身体に集中させ、重力を大きく付加し始める。

「・・うお、すっげー重い・・・なるほどこれで攻撃力上げるのか!よっし、やるぞ!!」

一回転して勢いをつけると、先程の数倍の速さで化け物目がけて落下する。

「行っけええええぇぇぇ!!!」