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伝説の超ニート トロもず
伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録009

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バトルソング一覧
“薬物周波数” 
特殊な周波数を持つ声の重なりなど、一部の脳機能を一時的に昏睡状態にさせる音階の組み合わせによって脳を騙し、戦闘に有利な影響を及ぼす歌声および歌。


・流星の歌 Laffriemat Scealhootel
レベル1 …素早さ+180、重さ-30
レベル2 …素早さ+360、重さ-60
レベル3 …素早さ+400、重さ-90、防御力+30

・血壁の歌 Laffriemat Agnivirieass 
レベル1 …マインド強化+60%、全耐性×2、血液量減少率-15%
レベル2 …マインド強化+120%、全耐性×2.5、血液量減少率-20%
レベル3 ???????????

・白侵の歌 Laffriemat Witgaberae
レベル1 …防御力+100、最大HP+120
レベル2 …防御力+200、最大HP+240
レベル3 …防御力+300、最大HP+450、重さ+60

・蒼撃の歌 Laffriemat Bellaragella
レベル1 …攻撃力+120、きようさ+80
レベル2 …攻撃力+240、きようさ+160
レベル3 …攻撃力+480、重さ+30、常にテンション+20付与

・闇夜の歌 Laffriemat Hachweriad
レベル1 …最大MP+200、攻撃魔力+30%、回復魔力+20%
レベル2 …最大MP+350、攻撃魔力+60%、回復魔力+40%
レベル3 …最大MP+500、攻撃魔力+90%、回復魔力+60%


━─━─記録009 Ris Iyorh Outhometa “A Biological Automaton”


仲間達の歓喜と称賛の声に包まれながら、レックは笑顔の下で思い返していた。
・・・見たのだ。今ソロや白衣の人間達が追っているものの姿を。

2度目に上空へ上がったとき、“それ”は建物を完全に破壊して北東の方角へ飛んで行った。
白っぽい服が血と思われる赤い液体にまみれていたせいか、はたまたもうひとつの要因のせいか1秒となかった瞬間の画像がくっきりと脳に刻み込まれた。

背格好と髪の色、そして少し遠かったが顔も、・・・ソロにそっくりだったのだ。
だが髪の長さだけは違った。うなじより上で切られており、前髪も短かった。

「・・・・・・・・・・」

・・・ソロが話そうとしない以上、まだみんなには伝えない方がいいんだろう。

「・・片付いたみたいだな。それじゃあ逃げたやつを追いかけるぞ」

「うん・・・わかってるんだけど、ちょっと疲れちゃったなあ」

「それな。さっきの結構強かったし・・・」

「気持ちはわかるがここが踏ん張りどころだ。安心しろ、これでもうしばらくの間戦いはないから」

「ほんとか?そりゃいいや、もう丸一日以上ほとんど長距離移動と戦いだったからなあ・・・」

ソロは振り返り、耳から手を外した博士達に声をかける。
そしてまた重力飛行。いつの間にか撤退していた軍部部隊の残した銃器の残骸の上を通り、逃走した“それ”を追う。


「・・・・・この先だ。どうする?君ひとりで行くか?」

「・・気が利くのね。そうさせてもらうわ・・・」

重く沈み強張った表情で、ベルティーニ博士が歩き始める。

「・・・いいのかよ、ひとりで行かせて。お前が彼女の言葉を代弁するんじゃなかったのか?」

「彼女は答えを見つけた。迷いなく自分の力で奴の精神を混沌から引き戻す選択をした、それがその証拠だ。なら、俺がどうこうする必要はない」

「でも危険だろ!?万が一ってこともちゃんと考慮してるのかよ!?」

「そんなに彼女が心配ならあんたがついていってやればいい」

「俺が行ったってしょうがないだろ!これっぽっちの戦力にもならないんだから・・・ああ、クソッ」

そう言いながらも、ベクスター博士は少しだけ迷った後ベルティーニ博士を追いかけようとした。が、ソロが「冗談だ」と言いながらくすくす笑いをしたため、すぐに顔を真っ赤にしてスチームポットのようになりながら戻ってきた。

「・・ミック、君は素直でいい奴だよ。人間正直が一番だからね」

「うるせー!」

笑いながら言うスワードソン博士から顔をそらし、ベクスター博士は足を止めるのが悔しいのかしばらく付近をうろうろと徘徊していた。
――――――――――――――――――
――――――――――――


手のひらが僅かに湿っており心臓は忙しなく音を立てる。小さく深呼吸をして、姿をとらえた“それ”のもとへと一旦止めた足を動かした。

「・・・・・・・・・。・・・・・・・・ワン・・・・・・私よ」

“それ”に向けての呼びかけで声を作ったのは初めてではない。一度目の時彼女の胸にあったのは悲しみだけではなかった。後悔、絶望、自責の念。
だが今回はそれらの代わりに新しい要素が加わっていた。

「・・・はい。何か御用ですか?・・もしかして、新しいミルクパズルですか?この間の大きな板チョコレートは興味深かったですが、少し難易度が低かったですね・・・」

日にちが変わっている。先程の“カーター博士からデータのバックアップを頼まれた”のは今年の5月、もしくは8月のことだった。
彼が“この間”と表現する期間は必ず1週間以内であり、ベルティーニ博士が“大きな板チョコレートのパズル”をプレゼントしたのは1月の終わり頃。

彼の中にある多すぎて正確すぎる記憶が混じり合い、とりとめがなく多数の時間が入り組んで重なり合った奇妙な世界が出来上がってしまっているのだろう。

どれほど高い演算能力や記憶力を持っていようと、彼の精神はと言えば知識のない子供同然なのだ。辛く苦しい経験があまりにも多くその上持ち前の優しすぎる性格のせいで、彼は追いつめられ続けここまで壊れてしまった。

「・・違うわ。パズルはあなたには簡単すぎるでしょうから、今日はクイズをしましょう。とっても難しいわよ。全部正解したら、メンデンホール博士が特別に作ったクリップ演算式のデータをあげる」

優しく微笑みかけ、ベルティーニ博士は“それ”の世界に入っていった。
ただ、今までに一度もなかった会話でもって彼に違和感を与える。

「・・クリップ?」

わざと現実には存在しない言葉を与えて、混乱させる。

「・・・それは何ですか?カードからインストールできるものですか?それと・・・メンデンホール博士とは誰ですか?」

そして少しずつ、ここは記憶の中の世界ではないのだと言い聞かせてゆく。

「あら、覚えていないのね。去年一度会ったことがあるはずよ。ほら・・・いつも変な柄のネクタイを着けているの。珍しいわね、あなたが物忘れをするなんて」

「・・・珍しいということは、以前にも忘れたことがあるのですか?そんな・・・そのような名前の人は記憶にありません。本当に会ったことがあるのですか?」

“それ”は完全な映像記憶能力を持っている。そもそもがほとんどコンピュータに近い記憶の処理・保管が可能であり、物忘れをするなどということはありえない。

「まあいいわ。それじゃあ最初の問題よ。スワードソン博士の月曜日のネクタイの色は何色かしら?」