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伝説の超ニート トロもず
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ドラクエ:Ruineme Inquitach 記録010

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「うーん、どうやら彼らが知ってるのはガラスの蓋をかぶせてあったり、コルクなんかで栓をしてあるファンタジックなタイプのものだったようだね」

「アンティークで飾られてるような奴な」

「・・・・そうそう、その部分を持ってさっきと同じようにやれば開くんだ。結構思いっきりぐいっと」

ジャムの瓶を手渡し、ベクスター博士はもう一度今度は勢いよく蓋を回して開けるジェスチャーをしてみせた。
アレルはなんとなく博士のやった通りに動きを真似して、蓋を少し強く捻った。

ばきっ

「・・・・・あっ」

「・・・あら・・・・」

・・・・ジャムの蓋は、開かないまま瓶から外れた。ガラスの欠片が床に落ちる。

「・・・・・握力が強すぎて蓋の内側のガラスまで一緒に捻ってしまったようだね・・・」

「・・・・・・・・・・・」

アレルは真顔のまましばらくジャムを見つめ、無言でそっと瓶を隣のエックスに手渡した。
エックスもまた真顔でそれを受け取り、しばらく見つめたあと顔を上げて何か短い文章をアレルに言った。

「・・あいつ今“俺に渡されても・・・”みたいなこと言ったんだろうな・・・」

「・・・絶対そんなようなこと言ったな・・・」

「ははは、いいじゃないか。今日のうちに消費してしまえばいいだけの話だ。人数も多いことだし大丈夫だろう」

「彼らの筋力で扱うには、この宇宙のガラスは脆すぎたようですね。クラッカーを持ってきましょうか」
――――――――――――――――――
――――――――――――


「・・・・・本当にいいのね。誰も望んでないどいないわ。でもあなたがどうしても望むのなら、私はその願いを汲んであげられるけれど」

「はい。・・・これは私の我儘です。ただの自己満足です。それは理解できています。だからこそ、私が私自身を赦すために必要なのです」

手術室に向かいながら、ワンとベルティーニ博士は話していた。
ワンが生まれて初めて自分から博士にお願いをしたのだ。だがその内容は、彼女にとって喜ばしいとは言えないものだった。

「・・これが終わったら、あなたは5年前のあなたに戻ってくれるのね?」

「・・・・保証はできかねます。しかしまた別のことなら約束できます」

博士はドアにライセンスを翳そうとして、手を止めた。

「これが終わったら、私は・・私を憎むのをやめます。これから起こることは私への戒めではなく、また私が引き連れてゆく罪を可視化したものでもないのです。
私が自分を認めるためにどうしても・・・・必要なものなのですよ」

「・・・本当に?・・・貴方自身を担保するための足枷ではないのね?」

「足枷ではありません。それを外すための鍵です」

ベルティーニ博士がワンの顔を見る。・・ワンは少し面映ゆそうに微笑んだ。

「5年前の私に戻るのは難しいかも知れません。しかし、これは私がこの先罪を犯さないために私自身を人質にすることとは違います。それだけは約束できます。
・・5年前ではなく今のあなた方と・・・そして私自身が求めるワンになりたいのです」

・・・ベルティーニ博士はまた喉と目頭が熱くなるのを感じ、そっとため息をつく。そして小さく頷いた。

「・・そう。そうね・・・その通りだわ。あなたは強くなって、自分を信じられるようになるのね。ようやく・・・私達が知っているあなたになってくれるのよね。
・・ありがとう、ワン。あなた自身と私達を赦してくれて。・・・・本当にありがとう」

ワンは何も言わず静かに微笑み、少し涙声になって佇むベルティーニ博士の隣で、生まれて初めて味わう複雑な・・それでいて清々しく大きな幸福感に満ちた未体験の感情を噛み締めていた。










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