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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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「深海棲艦が初めて確認された30年前から時代は経てその10年後、私は教職者研修の一環で、海上自衛隊のある基地の敷地内で行われた、米軍後援、防衛省と総務省・厚生労働省の共同プロジェクトとされるある活動の開幕式に出席しました。私達教職者の他にも別の職種の代表と思われる集団もその開幕式に参加していたようでした。私達の前、式の舞台の中央には男女、歳もバラバラでゴテゴテと機械の塊や銃と思われる物を身につけて立っていました。中にはどう見ても小学生にしかみえない年端もいかない少女・少年も混じっているように見えました。 あの当時私たちは何が何やらまったく理解が追いつかずただ参加していただけでしたので何が起こるのだろうと式を最後まで見ていたところ、私たちはとんでもない発言を政府の人間から聞きました。そんな武装した少年少女たちが、海に現れた怪物を退治にしに行くというのです。私たちは唖然としました。非難の声すら上げられないほど驚いた我々でしたが、その瞬間私の頭には昔聞いた、封殺された事件と関わった小学生集団の話が頭に蘇りました。」
 その話に那美恵や提督は驚きを隠せないでいる。明石はさきほどの独り言をまだ続けて、校長の口にする話に何か思いを巡らせている様子をしていた。
「それが……最初の艦娘だったんですか?」と那美恵。
「えぇ。当時説明を聞いたときは、"艤装装着者"と聞きました。まだ艦娘という表現はない頃ですね。そんな彼ら彼女らが海に身を乗り出して海の上を滑っていく姿も私たちは目にしました。不思議な光景でした。きっとその場に居た誰もがこれから起こることを何から何まで不思議に思ったことでしょう。昔ゲームや漫画で見たような怪物が本当に現れる事自体理解の範疇を超えていましたので、参加していた面々には正しい理解をできた人間などいなかったことでしょう。そんな中、私の頭の中では違う思いが大部分を占めようとしていました。なぜ国は、あんな若い少年少女を怪物との戦場に送り込むのだろうと。第二次大戦以降争いらしい争いを一切経験してこなかった日本で育った私達一般市民には、到底納得いく想像や回答を見出すことは出来ませんでした。ただ一つの手がかりといいますか、何かこの状況に一石投じるにはあの事件の話を再び聞くしかないと思い浮かべました。」

「また……おばあちゃんに話を聞きに行ったんですか?」
「えぇ。今度は最初は私一人で光主さんのお祖母様にお話を伺いに行きました。何度か足繁く通いやっと私は彼女たちと話をさせていただけるようになりました。私はまず深海棲艦のこと、艤装装着者の事を話しました。光主さんのお祖母様方は深海棲艦のことをご存知だったようで、話はスムーズにつながりました。どうやらお祖母様を始め封殺された事件の関係者の一部には深海棲艦と艤装装着者の話は伝えられていたようなのです。どういう意図で事件の関係者に話したのかはわかりかねますが……あなたのお祖母様やその後聞きに行った元ご学友の方々は、揃って一つだけ心境を吐露してもらえました。」

「それって……」那美恵はそうっと尋ねる。
「昔(の自分たち)を思い出すようだと。そして彼ら彼女らが活躍した未来、自分たちと同じ運命を辿りはしないかと心配なさっていました。きっと自分たちの頃と当時の艦娘となった少年少女たちを重ねたのでしょうね。」
 祖母が艦娘(艤装装着者)と深海棲艦のことを自分が生まれる前から実は知っていた。そのことに驚きを隠せない那美恵。