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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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 一呼吸置いて、校長は続けた。
「ですから私は語り継いだ記憶と私の信念に従って一度は拒みました。でも……先ほどのあなたと西脇さんのお気持ちを聞いて、私はあなた方を信じて託してもいいかもしれないと思いました。ですから私が過去にあなたのお祖母様から伝え聞いたこと、そして深海棲艦と艦娘のことを話しました。」
「校長先生……。」
「光主さん、あなたはきちんと意識し、周りに良い影響を与えて過ごしてきたんですね。3ヶ月前に西脇さんと一緒に私を説得しに来たときのあなたとは、まるで違うとひと目でわかりました。」

 珍しく照れまくり、恥ずかしそうに那美恵はつぶやいた。
「そ、そうなんですか……?」
「えぇ。私はこれでも何百人・何千人の生徒をこれまで送り出してきたんですよ。生徒の些細な違いくらいわかります。この2〜3ヶ月の間の艦娘の経験は、あなたにとって本物になれるよい経験だったのですね。」

「エヘヘ。ちょっと恥ずかしいです……。」
 那美恵は照れ隠しになにか言おうとしたが言葉が出てこない。校長はゆっくり目を閉じつつ語り、そして開いてまっすぐ那美恵を見る。
「憧れた人のお孫さんが、彼女と同じように戦いに加わり、記憶を紡いでいく……。運命と言ったらかっこよすぎかしら? 光主さんのお祖母様が打ち明け私たちが語り継いできた記憶はもう本物の歴史に乗ることのない失われた記録になってしまうでしょうが、あなたたちのは違います。世間に艦娘のことがある程度知られている現在、ありえないと思えてしまう戦いを本当に経験している当事者なんです。歴史に残り得る戦いだから、あなたたち自身でしっかり決着をつけてそして語り継いでいって下さい。世界中の海が荒らされているのですからね。」

「はい。あたしは西脇提督のもとで、やりきってみせます。」
「校長先生、俺…いや私も、彼女たちが安心して安全に戦い、そして無事に帰ってこられて心休める場所にできるよう努めます。あと、語り継ぐのもお任せ下さい。ですので……」
 提督が校長の返事を急くと、その前に校長が一言を発した。