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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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「ですが私にとっては実感のない借り物の体験談であり、本当の記憶ではありません。ですから当事者がどういう思いで戦いに携わったのか、推し量ることはできても正しい理解はきっとできていないでしょう。多分、今回も同じです。」
 那美恵はなんとか言葉を紡ぎ出そうとするが、それが出てこない。那美恵たちがリアクションできないその様子は校長の語りをさらに続けさせる要素になっていた。
「その当時のことを聞いた時ですら、私たちにとっては理解の範疇を超えたとんでもない出来事でした。ですからその当時の教師は貴重な記憶をとにかく語り継いで事件を風化させないことで守ってきました。それと同時に深海棲艦と戦おうとする艤装装着者になろうと安易に考える子どもたちに命の大切さを説いてきました。私達の役目は今後も変わらないでしょう。ですが私達が語り継ぐのにはいずれ限界が来ます。だから30年前からの深海棲艦の出現、20年前から始まった艤装装着者と深海棲艦との戦い。艤装装着者……艦娘たちの戦いの記録・記憶も、次の世代の誰かが同じように語り継いで守っていかなければならないと思うのです。もしかしたら深海棲艦根絶後に、光主さんのお祖母様方が経験したような弾圧めいたことが繰り返されるかもしれない。次世代にまた戦いがありその時また子どもたちが安易に危険に身を乗り出すかもしれない。そう考えると怖いとは思いませんか?」
 那美恵たちはもはや言葉なく頷いて同意を示すのみになっている。

「お祖母様や私の世代ではやりきれなかったことを、光主さん、あなただけではなく西脇さん、そしてそちらのお三方、あなた方の世代が担うべきなのだと思います。光主さん。私はね、ただむやみに反対していたのではないのですよ。あなたは生徒会長として、あの方のお孫さんとして評判負けすることなく、学内外で評判良いのは知っています。あなたは大変出来る方です。いつかあなたもお祖母様のように何らかの大事に巻き込まれるか憧れるかして、関わる未来が待ち受けているかもしれない。あなたがあの方のお孫さんだということを知った時、なんとなく感じていました。でもそれがまさか私の任期中、あなたの高校在学中になるとは思いもよりませんでした。あの人のお孫さんが、軽い気持ちで艦娘と深海凄艦の戦いに関わっているのだとしたら、傷ついたり下手をすればあなたが戦死してしまった時に、あの人やご両親に申し訳が立たないと思っていたからです。」