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同調率99%の少女(6) - 鎮守府Aの物語

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--- 1 交渉に向けて



 鎮守府に見学に行った翌週から、那美恵たち生徒会メンバーは通常の生徒会業務をする傍ら、鎮守府見学の報告書を作成し始めた。主に書記の和子と三戸が写真・動画を選んで文章を書き、レビューを副会長の三千花が、最終レビューを生徒会長の那美恵が担当して作業する。
 文章力などは三千花が得意ということもあり強いため、最初のレビューでは三千花が内容は別として全体的な構成をチェックし、肝心の内容のほうは那美恵が艦娘としての立場を踏まえてチェックするという流れである。内容的に足りなそうな点は、那美恵が提督や五月雨にメールで確認し、もらった回答をそのまま書記の二人に伝えて完成度を高めていった。

 生徒会の仕事である程度書類の作成能力は付いていると本人たちは思ってはいたが、それはあくまでも学生同士のレベルでの話である。そのため不安を感じた那美恵と三千花は、無理を承知で西脇提督にも第三者からの視点として内容を見てもらうように依頼することもあった。(なお提督はさらに明石や妙高など、歳の近いほかの人にも見せてチェックしてもらっているが、それは那美恵たちがあずかり知らぬところである)

 立場の違う大人がそれぞれ密かにチェックした甲斐あり、報告書は無事に完成した。完成した報告書は改めて提督に見てもらい、那美恵はその後迎える校長先生との打合せに向けて提督と話す内容のすり合わせをする予定を取り付ける。


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 完成した報告書を手にし、那美恵と三千花は教頭経由で校長先生に、再び鎮守府Aの西脇提督と話をしてもらえないかどうか交渉しに行くことにした。放課後に職員室に赴き、教頭に相談することにした。

 那美恵は自身が艦娘になってからすでに2ヶ月ほど経っており、ある程度活動していることを教頭に伝えた。そして和子たちが作成した報告書も教頭に見せて反応を伺う。
 教頭は報告書や那美恵が隣の鎮守府や東京都からもらっていた写真をしばらくじっと読んで見入っている様子を見せた後、顔を挙げて那美恵に微笑み、よく頑張りましたね、の一言を発した。

 もともと教頭は、鎮守府が国に関わる組織という前提のために乗り気で那美恵に協力的だった。だが学校の意思は校長の決定が全てなので、それ以上は言えなかったのだ。
 それから今回教頭は意外な事実を口にした。実は教頭の孫娘も、別の鎮守府で艦娘をしているというのだ。最初に那美恵が交渉しに行った時に教頭が自身の身の回りのことを話さなかったのは、那美恵自身がまだ着任してまもないということで、様子を伺うためでもあった。
 那美恵が艦娘として実績をあげたことで、教頭は那美恵が単なる興味本位や浮ついた気持ちで艦娘制度に関わり、学校との提携を望もうとしているわけではなく、本気で望んでいるのだということを確認した。最後に教頭は、君たちを値踏みしてるのは私だけではないはずですよ、と一言ポツリとつぶやいて那美恵たちとの打合せを締めきった。