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エルオブノス
エルオブノス
novelistID. 54547
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艦これ知らない人が大和を引けない友達を煽るとこうなる。

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 ある大規模な作戦の後。
 連日の徹夜、眠っても一時間。そんな数日の努力が結実し、作戦は成功に終わった。何よりも艦隊の被害が非常に軽微であったことが嬉しい。

 僕は被害が最小限になるようにと最も気を回す節があるから、撤退による作戦失敗も少なくはなく、そんな報告をするとお歴々にはあまり良い顔をされず……しかしながら、その選択が致命的な結果をもたらすことも無いので、(時に昼行灯と呼ばれつつも)安全運転の提督業のままで許されていた。
 だが今回は、今までと同じ安全第一の戦略でありながら、快勝を果たしたのだ。手前味噌ではあるが、ほとんど完璧と言ってよい。それどころか、これだけの大規模な作戦を遂行した結果の被害としては、歴史の中でも稀だと言われた。少なくとも、この戦いの記録上では僕の名前に「名将」と冠して差し支えないとまで。なんたる栄誉か。

 そしてその完全勝利の代償は、僕の疲労だけ。寿命が縮む思いではあったが安いものだ。そんなもの、勝利と栄誉と皆の笑顔から引き算したってひとつも減じないほど、微々たる代償と言える。

 ……まあ、しかし、無論、それらの報償が僕の身体的なダメージを減らしてくれるわけではない。誇りで腹は膨れないと言うが、要は肉体と精神は結局別の場所にあるわけだ。

 僕は戦果報告の後、帰ってくるや否や、倒れるように寝床に入った。精神には幸福を、肉体には限界を、それぞれ感じていた。そんな結構訳の分からない状態を認識しながら、泥のように眠りに落ちる。

 夢さえ見なかった。あまりに疲れきっていると、脳は夢という思考をすることさえ拒否するのだろうか?記憶も想像も映像化することなく、僕はただひたすらに身体を休め続けた……。

 ……と思っていたのだけれど、職業柄か僕固有の性質か、どうも耳だけは敏感に働いていたらしい。聞こえてくる音を、半分眠ったままで聞いていた。その時にはっきりと目覚めはしなかったものの、曖昧に意識はあったし、いくつかの声を聞いた記憶は目覚めた後にも残っていた。


「起こしては駄目ですよ、提督はお疲れなんですから……。」

 誰の声かな。多分、榛名かな。寝室のドアの開く音に続いて聞こえたので、誰かと一緒に入ってきたのだろう。

「大丈夫、大丈夫。司令の顔見るだけだよ。」

 こっちは誰かな。小声で喋ろうとしているが、うまく出来ていない。すると多分、小さいもののどれかだ。

 パタパタと小走りの足音が近付いて、ベッドの近くで止まった。
 多分僕の顔を見ているな、と感じながら、しかし目を開けるのも億劫で耳だけを働かせる。

「しれー、寝てるのー?……ふふふ。寝てる寝てる。」

 ああ、時津風だ。笑った声だとすぐ分かる。ニコニコ顔が目に浮かぶようだ。

 不意に、誰かが僕の布団をかけ直してくれる感じがした。時津風はそんな気を使わないから、榛名だろうな。どうもありがとう。

「はい、司令。時津風がお布団をかけ直してあげたからね。ゆっくり寝なさい。」

 あ、そうなの?どうもありがとう、時津風。

 ……いや、ちょっと待て。時津風の気配や声の位置は、最初から動いていない。かけ直したのはやっぱり榛名だろう。時津風、意味の分からない嘘をつくな。

「それじゃ、様子も見たし行きましょう。……提督、お休みなさい。」

 時津風の無意味な嘘をスルーして、榛名は退出を促した。
 どうやら秘書艦として僕の様子を見に来た榛名に、時津風がついてきたようだ。榛名も時津風も、僕を気にかけてくれてありがとう。……でも、時津風は意味の分からない嘘をつかないように。

 離れていく足音。ドアが静かに閉まる音。
 再び静寂が訪れて、僕は少し寂しいその静けさに身を任せるように意識を落としていった。