艦これ知らない人が大和を引けない友達を煽るとこうなる。
戦闘行為を行う組織の司令官として日々を過ごす僕にとって、彼女の安らかな寝顔を見ていることは、確かに心が安らぐ。この観察は、どれほど続けても飽きないくらい幸せなことだと思った。
だが、しかし。
幸せなことのはずなのに、眠る彼女を見続ける僕が、たまに時計を見て「まだこんな時間か」と感じるのは何故だろう?
確か、辛い時間はゆっくり流れて、幸せな時間はすぐに過ぎてしまうものではなかっただろうか。この幸せな時間が実にゆっくり流れているように感じるのは何故だろう?
考えるに、それはきっと、もっと幸せなことを僕は知っているからだ。
彼女の寝顔を見て安らぐ時間よりも、起きている彼女の表情を見て声を聞いている時間の方が、もっと幸せだからだ。
(何よりも、幸せなことを待つ時間が一番長く感じる……かな。)
退屈な会議から解放される時を「待つ」時間、説教の終わる時を「待つ」時間、暇な状態を変化させてくれるきっかけを「待つ」時間……辛い時間を長く感じるというのは、幸せを待つ時間と同じなのだ。だから僕は今、幸せなのに、もっと幸せな「彼女の目覚め」がやってくるのを待っているから、長く感じている。
それを結論としてみると、またひとつ思うことがある。
榛名も時津風も時雨も、そうなのかもしれない。
起きている僕と一緒に話したり遊んだり雨を眺めたりするのが彼女たちは好きで、僕が寝ている間はそれを待つ時間で、するとその時間が彼女たちにとって一番長く感じる時間なのだ。だから待ちきれなくて、寝ている僕を見に来たと考えることも出来る。
もしそうだとしたら、彼女たちには悪いことをした。耳では彼女たちの存在を認識していたのだから、億劫だなんて言わずに少しでも起きて話してあげたらよかったな。眠気を優先してしまった自分の意志の弱さを感じる。朝になって、彼女たちに会ったら謝ろう。
それと、目の前の彼女が起きたらまず伝えよう。きっと僕を待っていた皆も同じだと思うけれど、同じことを僕は目の前の彼女に伝えよう。
君が起きるまで、時間が過ぎるのをどんなに長く感じたか。
声をかけたり揺り起こしたりするのを我慢するのに、どんなに努力を必要としたか。
その忍耐と努力が報われた時、たった一言だけ伝えよう。
『大和に会える時を、ずっと待ってたんだよ。』
そう伝えるために、今は頑張ろう。辛い時に頑張ってこそ、後で本当に嬉しいのだ。
作品名:艦これ知らない人が大和を引けない友達を煽るとこうなる。 作家名:エルオブノス